プリンセス・トヨトミ

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163278803

感想・レビュー・書評

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  • 万城目学『プリンセス・トヨトミ』読了。大阪国に会計検査院が入る!そして検査院の出さんとする回答に反発し、大阪国はその機能を停止するのだが…。という物語のクライマックスに至るまでがちょっと長い。大阪国の男衆が取る緊急連絡方法のくだりにワクワクした。女性へのフォローもまあ合格?w

  • 大阪国、"守る"存在。
    慶長20年、太閤秀吉が築き上げた豊臣家の栄華が滅び去ったと徳川家が認識した瞬間、密かに産声をあげた国。
    存在自体を口にすることが禁じられ、「一人の子供の身の安全を守ること」その為に存在する国。

    慶応4年、明治政府と(新政府)は大阪国の存在の承認し、大阪国は行政制度に組み込まれることを承諾した。
    そしてこの協定自体を秘密条約とし、大阪国の存在も秘することを最後に添え、条約は締結された。

    大阪国の人間として認められるのは、二つの条件を満たす必要がある。一つは十八歳を超えていること。もう一つは父親がこの世を去っていること。


    突拍子のない話でしたが、父と息子、母と娘の想い・絆が羨ましく、大阪に生まれたかったな・・・などと思いました。

    ところで、本当に王女だけは大阪国の存在・自分の立場を知らずに過ごして行くのでしょうか?
    その後の話がいつか読みたいです。

  • 日本国に独立国家として存在する大阪国、その役割は豊臣家直系の末裔を守る事、という何とも大胆な設定。その国民は100万人とも200万人とも言われ、内閣が簡単に手を出せない存在である。
    そこに基づくのは、大阪の男が代々父から受け継ぐ秘密と、緊急時のある「サイン」。そのサインを見たとき、大阪中の男が己の役割を果たし、燃えるように赤く染まる大阪城の元に集まる光景は、狂気の沙汰ではない。父から受け継ぐのは、400年守り続けた大阪の秘密か、それとも親子の対話の中で感じる父の覚悟か。

  • 歴史を、プリンセスを、父親の意思を、ただひたすら守るために大阪の男たちは集う。武器を持って戦うのではない、静かで熱い団結と男気に溢れていて、精神面でも、日本人的な魅力を感じるファンタジー。
    主人公大輔の切実な悩みによる「少年がセーラー服を着ている」という奇抜な設定が程良くパンチを効かせており、緊張感の中でも自然にユーモアの入る余地ができて全体にやわらかい雰囲気。でも大輔に限らず、みんなちょいちょい笑かすための隙を持ってるので、万城目氏は計算高い。しかしそこが好きだ。
    「鹿男あをによし」に出てきた南場先生も一瞬登場。そうか、南場先生も大阪の男だ。でも、ということはお父上は・・・とか色々考えて複雑な気持ち。
    後半たたみかけるように笑いのツボを押され、声出して笑いました。だいぶ前に映画化されてるが、これって国の仕組みがすごいんであって、視覚的に特に迫力ある戦いがあるわけでもないので、映像化は向いてないんじゃないかと思ったんだけどどうなんだろう。今度借りて見てみよう。


    -----------------------------------------------
    【あらすじ:「BOOK」データベースより】
    このことは誰も知らない。五月末日の木曜日、午後四時のことである。大阪が全停止した。長く閉ざされた扉を開ける“鍵”となったのは、東京から来た会計検査院の三人の調査官と、大阪の商店街に生まれ育った二人の少年少女だった―。前代未聞、驚天動地のエンターテインメント、始動。

  • 大阪国って設定と、その存在意義がもうめちゃくちゃなんだけど、なんか結構いい話だった。

    大阪国について知る条件の設定はなんだか感動してしまい、大輔と茶子それぞれがちょっと成長してるとこも素敵。

    女は男が何してるのか知ってるけど、あえて知らないふりして見守ってる的なとこが好きだ。

    映画はこれがどうなってるのか気になる!

  • だらだらと書いてみた。



    504ページ、長かった。

    まずは、全体的な感想から。

    内容は壮大だったが、心理描写には欠けているように思えた。

    もう少し、茶子や大輔たち(…etc)の心情をとらえて欲しかったなあ、と。

    特に中学生と言えば、繊細なので、複雑に絡み合った感情を容易に想像できる。

    勿論、それを表現するのは至難の技だが、もう少し踏み込んで欲しかった。


    語彙や説明に関しては、言うまでもなく完璧だ。

    全て的確な表現で、簡潔にまとめられている。

    そのことから、だらだらと締まりのない説明でページを使い込む、薄っぺらい本でなかったことが分かる。

    躍動感溢れる、というほどのスピードは感じられなかったが、とどまることなく間違いなく流れていた。


    こじつけっぽい、荒い構成も多々あったが、物語としては面白く、素晴らしい発想力を垣間みた。


    次に内容に関して。

    題名が「プリンセス・トヨトミ」であることから憶測すれば、主役は血茶子なのだろう。

    しかし、内容的には、会計検査院もしくは、大輔の方」が主役と言えそうだ。

    大阪国の存続について、対決する話だったのだが、茶子の立場は、何も知らない王女である。

    ただ、ドーナツの丸く空いた空洞を埋めるための役割であり、大阪国存続危機を回避する要因でも、ました、攻める側の人間でもなかった。

    そう考えると、大阪国総理大臣の真田の息子の大輔、会計検査院の松平、旭(、鳥居……ミラクルすぎる故に自分の意思なく行動していたように思える)等の方が主役の席候補に有力だ。

    その有力候補の職業関連が400ページぐらいに渡って書かれている。

    それに対して、メインストーリーは、僅か100ページ程度。


    大阪国と会計検査院の話し合い(バトル)は、最後の100ページ。

    会計検査院にしても、大阪国総理大臣にしても、特殊すぎる職業であるため、説明が難しいという訳だ。

    また、その間に、女の子になりたい大輔を横須賀がいじめる話なども、盛り込まれているが。


    父親を亡くした男だけが知り得る「大阪国」のはずだが、実は、女は、全てを知った上で知らない振りをしていた。

    そんな記述えを見たとき、やはり、女は強いなあ、と思った。

  • 荒唐無稽ともいえる大阪城近辺の史実・舞台設定も「さもありなん」と思えてしまえる程、大阪中心部に根付く時の権力を小馬鹿にする町人気質が活き活きと描かれ、面白かった。

    セーラー服を着て登校する勇気を持つ中学2年生男子生徒の自己発見、個々違う自分を生きていく難しさを受け入れていく強さがヒシヒシと伝わってくる。周囲の大人の言葉がとても好い。

    例えば、担任教諭の言葉
    「世の中でいちばん難しいことって何やと思う?」
    <中略>
    「ずっと、正直な自分であることや」
    <中略>
    「正直であるこは、難しい」
    <中略>
    「これからは、戦いやぞ。その覚悟はあるんやな?」

    自分を生きていく覚悟を持つ息子(大輔)の父親(幸一)の描写も大阪で
    お好み焼き屋の大将らしく、一本筋が通っている。

    ”どれほど弁が立とうと、知識があろうと、ウソをついている人間は所詮弱い。世の中で最も強いのは、正直に行動する人間である。”(289頁)

  • タイトルから、秀吉女体化!?とww
    まあ、現代モノな訳だが。
    大阪国ww

    うーん、なんだろ、結論は「男はバカ」でいいのか?

  • 自分以外の人間が全員グルで,自分をある方向に導くためだけに動いているという妄想を子供の頃にもったことがあります。
    この本を読んでその記憶を思い出しました。
    大阪国民が一丸となって豊臣家の末裔である一人の少女を見守るが,少女自身は生涯そのことを知らないという話です。
    大阪の歴史的背景と会計検査院の仕事がうまくまとめられていて面白かったです。

  • 予想通り荒唐無稽な設定でも面白く読めてしまった。大阪版フィールド・オブ・ドリームスみたいな読後感。

  • 映画がおもしろそうだったので、そのうち原作読みたいなーと思っていたのを思い出したので借りてきた。結局映画はまだ見てないけど。

    初万城目学。思ってた感じの話とは違ったけど、おもしろかったー。
    大阪民のパニックエンタメ小説だと思ってた。
    わりといい話だった。

    鹿男はドラマをちょっとみていて、やはり原作も読みたいなーと思っていたのを思い出したので次はそっちも読んでみようかな。

  • TVで映画版を放映していたのをきっかけに手にしてみた。思っていたよりはちゃめちゃじゃなかったな。父と息子、母と娘との絆が見えたとき、なんだか心を揺さぶられるような…。映画は中途半端にしか観ていなかったので、もう一度見直してみようかと思う。序盤は入り込みにくかったけれど、終盤は一気読みだった。

    http://mylovelybooks.jugem.jp/?eid=405

  • マキメさんの魅力は、枠にハマらないところと、どことなく漂う素人っぽさ。
    すごく上手いわけじゃないけど、楽しんで書いてる感じが伝わってくるから面白い。
    今回もそのよさはちゃんと出てます。
    ただ、荒唐無稽な設定を真面目に描く、というのは相変わらずなんだけど、ファンタジーの要素が入らないので微妙に説得力に欠けるのかなあ。
    大阪中の男たちが動き出すシーンはわくわくさせてくれるんだけど、肝心のクライマックスが二人の言葉の対決だけだったので、ちょっと拍子抜けしちゃったかも・・・。
    ゲンズブールのキャラとかもあと一歩惜しい感じが残るんだよなあ。
    期待しすぎてしまったのか、ちょっぴり不完全燃焼でした。

  • 大阪の下町の雰囲気が味わえる。大阪へ行ったとき携帯、読みながら浸る。

  • 映画になっていた?のかな?
    TVなどの宣伝でタイトルは何度も目にしていて、
    しかも「あをによし」の万城目作品ということで、気にはなっていた。

    なかなか手にするきっかけがなかったけれど、
    諸般の事情でかなり長い時間を、
    レストランと免税店以外何もない場所でつぶすことになり、
    困り果ててうろついた地方の古本屋で購入。

    正直、分厚さにやや引け気味に。
    開いていきなり、会計検査院だし。
    しかもとっぴょーしもないビジンが出てくるし。
    さらに子供のいじめも出てきちゃうし。

    あー無理かも〜

    そういいながらも前半1/3を越したあたりから、
    どんどんページをめくる手が加速する。
    いじめ部分もあまり陰湿でもなく、
    家族のつながりとか仕事への向き合い方とか、
    うまく散らばっていて読みやすかったし。

    欲を言えば大阪の話なんだから、
    もうちょっと食べ物の描写とかに彩りが欲しかったな〜
    食べるのがアイス最中やたこ焼きだけなんだもん。

    あ、でも、ストーリーはなかなかでした。
    設定が楽しくて、ついでにオチが、母は強し!のような包み込み方に、
    さすがの万城目節って感じで。

    でもやっぱりこの人は、地元を描く方が上手だと思うな〜。
    描写が3割、違ってたぞ。

  • 初万城目。
    所々面白いと思う箇所はあったけど、全体通してはあまりそそられなかった。
    なので、読了に大変時間がかかってしまった。

  • 映画も見たけど、やっぱり原作の方が面白いですね。

    大阪国・・・・・
    本当に実在したら面白そうですね(笑)

  • え〜と...これはかなり「不思議」な作品(^ ^;

    突っ込みどころ満載の荒唐無稽な設定で、
    「んな、アホな」と笑いながら読める。
    が、登場人物はあくまで大まじめで、
    逆にまじめであるが故のおかしさ哀しさ
    みたいなものがにじみ出てくる。

    大阪の日常の描写が細かく、ものすごくリアル。
    キャラクターも、かなり極端ながら
    アホな設定の中で生き生きと動く。

    クライマックスに向けての盛り上げから、
    最後のしんみりさせる部分への導線は
    見事と言う他はない(^ ^

    不覚にも「んなアホな」でホロッとさせられる(^ ^

    何ともまぁ、不思議な読後感。
    でも読んでいる間は、それこそむさぼるように
    読み進めてしまうリーダビリティ。

    この作者は初めて読んだが、ただ者ではない(^ ^;

  • ちょっと自分には向いていません。
    ストーリーが単純で小中学生向かと。
    ただ、そうであったら面白いなーという気持ちはわかります。
    ただ、余りにも現実的ではないので、星三つです。

  • 旭は映画版より小説版の方がよかったように思うにゃw
    真田息子ちゃんも小説の方が筋が通っててかっこよかったしw(可愛かったというべき??w)

    映画を観て (。・_・?)ハテ? と思った部分が
    小説を読んでようやく φ(・_・。 )フムフム 納得?w

    万丈目作品は活字より映像作品の方が楽しめるのかと思ってましたが
    今回初めて読んでみて、やはり小説の方がいいのかしらと
    思ってみたり

    だって最初に見た作品が「鹿男」で
    小説が想像できなかったんだもんっ><。

    さぁて次は何よむかなぁw

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著者プロフィール

万城目学(まきめ・まなぶ)
1976年生まれ、大阪府出身。京都大学法学部卒。
2006年、『鴨川ホルモー』(第4回ボイルドエッグズ新人賞受賞)でデビュー。主な作品に『鹿男あをによし』、『プリンセス・トヨトミ』、『偉大なる、しゅららぼん』などがあり、いずれも文学賞ノミネート、映像化等など、大きな話題を呼ぶ。また、エッセイ集に『ザ・万歩計』、『ザ・万遊記』、対談本に『ぼくらの近代建築デラックス!』がある。

「2013年 『ザ・万字固め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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