蘭陵王

  • 文藝春秋 (2009年9月29日発売)
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本 ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784163279008

感想・レビュー・書評

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  • 田中芳樹さんの小説は、中国の歴史が苦手でも、読んでいくうちに親しみが感じられるようになるのでありがたいです。高校生の時、学校の図書室にある田中芳樹さんの本はすべて読んだっけ。ずいぶん昔のことでもう内容を忘れてしまったものもあるから、また読み直そうかな。

    蘭陵王のことは恥ずかしながらこの本を読むまで知らなかったです。ドラマや舞台化されたものもあるんですね。

    あらすじを読んだので、美しく優れた武将の彼が悲劇的な最後をむかえるんだと思いながら読み進めましたが、登場人物があまりにもたくさん理不尽に殺されていくのに正直ドン引きしました。この時代に生まれなくてよかった…。 

    徐月琴と蘭陵王のやりとりはとても楽しめました。彼女はとても生き生きとしていて、強く、表向き側室なのに戦いにも着いて行くし、その身軽さで敵陣での重要な仕事をまかされたりもしている。男女関係よりもずっとうらやましい関係に思えました。

  • クソ上司にあたった蘭陵王がかわいそう
    有能な人材が生かせないのはもったいない

  • 宝塚の原作ということで読んでみました。
    たしかに三国志みたいな物語。
    これは絵になりますわ。
    歴史書を読んでいるような、悪人小説を読んでいるような。。
    悪役のほうがキャラがたっている感じ。
    あっというまに読めてしまいました。

  • 史実と少し創作された歴史小説。

    なんか…始めからきな臭いというか、決して幸せな感じじゃないなって臭いしかなくて…蘭陵がいい人過ぎるから余計に辛かったわー。

  • 中国の魏晋南北朝時代。三国時代から隋の統一までの時代の末期。
    中国版の源義経って感じでしょうか。
    主人公の蘭陵王(高長恭)は皇族でありながら常勝不敗の名将で兵士や庶民からの人気が高かった。
    そのため時の皇帝から危険視され誅殺の機会を狙われていた。
    皇帝が非常に暗君だった為、取巻きは佞臣だらけで自国の名将達を次々と無実の罪で粛清して行く。
    中国の暗君のLevelって、日本の武士を遥かに凌ぐ酷さだと思いますね。
    だいたいどの時代も女色と酒で国を滅ぼす。
    傾城傾国なんて言葉も中国の歴史から切っても切れない言葉なのかもしれませんね。

  • 例に漏れず舞楽から興味を持って。
    この作者の別シリーズの名前だけは聞いたことがあったので、安心して読めるクオリティなのかなあと思いきや…という。オリジナルの登場人物も多少出てはくるものの、基本的に正史をなぞるだけに終始してしまっているので、正史の内容をかいつまんで手っ取り早く知りたい方向け、みたいな感じ。ストーリーの盛り上がりや人物の魅力が伝わりにくかった。それに「基本的に史書をなぞる」という手法だと、真っ先に宮城谷昌光を思い浮かべてしまうからなあ…あれに対抗できる人はなかなかいないよなあ…
    で、結局のところ蘭陵王がイケメンすぎて仮面をつけて戦場に出たことに物語のうえでの必然性はあったのか?と言われると、多分、あんまりない。

  • 中国史から取材した長編作品。南北朝時代の北斉の皇族の一人で、武芸の達人ながら、無能の皇帝に疎まれ、妬まれて、最後は佞臣のそしりで殺害された悲劇の人。史実の中にはない脇役を創りだして、それが物語を面白いものにしている。

  • 美しすぎて戦場で面を被ったという蘭陵王の話。
    文庫化もしています。

  • わたし、美術史はともかく歴史関係に明るくないんですよね。うーん、良くない!

     これは、私の大好きな図書課長の世界史の先生が薦めて下さった本。

     中国史上もっとも美しいとされる高長恭のお話。

     その世界史の先生はいわゆるオタクなので(自他共に認めております)腐女子系が喜びそうな題材を持ってきて歴史に興味持ってもらおうと思った一冊なんじゃないかなと思う。


     とても読みやすい。
     しかも期待を裏切らず優美でありながら数々の武勇伝を残し、死に様まで美しいとあっては少女漫画に持って来いの題材!みたいな。いや、そういう世の傾向を考えてこのような形なのでしょうが。

     歴史系の本に明るくないのは、読むには知識が足りなすぎる!ゆえに理解不能になってしまうのです。


     なんでこんなに、人を簡単に殺せるのか。
     なんで私利私欲を守るためにこじつけのような理由を持って、人を殺しはては国まで滅びるような真似ができるのか。

     が、よくわからないんですよね。特に中国史。

     殺さなければ殺される世界であったのだろうことは分かります。でもそうじゃなく人を殺す場面が結構あります。誰が誰と密通してるか、あいつは疑わしいから殺しておこうか、その目的がよくわからないんだよね。

     中国の人は、自身の治世を守る以外に、何を大切にしてたんだろう?一族が王位を継承し、豊かであることだろうか?それとも国が豊かにあることだろうか。


    日本とは規模が違うから、想像つきにくいことも多いですが、

     そこら辺の国民性を理解しつつ、ちょっとほかも読んでみたいかなぁ、なんて思ったり。

     ※話は飛びますが、ふと南京大虐殺を思う。
     もう客観的に見て、日本人が悪いってことを前提に考えてみたとしても、中国側のありえない事態の証言やら何やらに、「それは本当なの?」っていう気持ちを否定出来ない。

     その背景には、「日本人て、そんなに簡単に人を殺せるような、私利私欲に走ることに脳みそ切り替えられるような国民性を持っていないんじゃないか。」っていう思いがある。

     もちろん戦時下は状況も違う。日本人はその時ばかりおかしくなってたのかもしれない。少なからず何かしらあったであろうことに、日本は中国に対して謝罪はしなくてはいけないかも、とは思う。

     でも中国側の言い分って、なんか日本人が何かしら起こしたであろう行為を、「中国人の国民性」をベースに考えてる気がするんだよね。

     それが、この本を読んで思った「中国人の根底にあるもの」に繋がる気がしてしまいました。

  • 田中芳樹って名前は聞いたことあるけど、読むのは初めて。

    もっと波瀾万丈になるかと思ったけどそうでもなかったなあ。
    でも史実に相当忠実らしいので、そう思えば結構すごい。
    中国の歴史って感じでした。

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著者プロフィール

1952年熊本県生まれ。学習院大学大学院修了。1978年「緑の草原に……」で幻影城新人賞を受賞しデビュー。1988年『銀河英雄伝説』で第19回星雲賞(日本長編部門)を受賞。2006年『ラインの虜囚』で第22回うつのみやこども賞を受賞した。壮大なスケールと緻密な構成で、『薬師寺涼子の怪奇事件簿』『創竜伝』『アルスラーン戦記』など大人気シリーズを多数執筆している。本書ほか、『岳飛伝』『新・水滸後伝』『天竺熱風録』などの中国歴史小説も絶大な支持を得ている。

「2023年 『残照』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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