世界の果て

  • 文藝春秋 (2009年5月14日発売)
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本 ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784163279404

感想・レビュー・書評

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  • 疲れているけど何か読んでから眠りたいという晩に、手元に未読の本がこれしかなくて、つい手に取ってしまった。本来なら、この作家の小説は、元気なときに正面から向き合って読みたいのに…。
    歪んでいて壊れていて、どこか苦笑してしまうコミカルさも持ち合わせた人物がぞろぞろ出てくる短編集で、やはりこの日の私には対抗できず、疲労感が増してしまった。でも、この作者好きだわ。

  • グレーの世界観。これに尽きると思う。
    作中でものの色彩について言及されていても、脳内ではどうしても灰がかってくすんだ色で再生されてしまう。
    ※個人の感想です/笑。

    話が「面白い」かは好みによると思うけれど、恐怖を書いているのでも古きを書いているのでもないのに、褪せたセロハンを通して見ているようなこの世界観はスゴいと思った。

  • 他の人の感想にもあったが、何を読んでいるのかよく分からなくなった。話が繋がっているような、不思議な感じ。なんとも気分が沈んでいくような。再読する気力はないかな。

  • 暗い世界の狂った人を描くのが得意な中村さんだと思ってたけど、この本を読んでたら作者がついに狂っちゃったのか、というような感じだった。読むのがちょっとつらい短編集。
    何を読んでいるのかすらわからなくなる部分もあったけど、表題作の引きこもりの少年の描写がすごく好きだった。
    包丁を用意して、小学校に乱入して自分の人生を終わりにする前なのに、お母さんを見て気持ちが騒ぐシーン、本当に最高だった。それ以外はよくわからなかった。でも、そのシーンに出会えたことは自分にとって意味があるように思う。

  • チロチロと燃える種火のような狂気。
    黒々とした光に呑み込まれるような読書。
    闇をユラユラ漂う心地。
    この滅入るような暗さ。嫌になりそうで、でも不気味にイヤじゃない。
    年始に読んで、いきなりどよんとした。
    なかなかの始まり方だ。

  • 短編集なんですが、暗いわ。暗すぎるわ。どの話も憂鬱になりそう…。

    最後の「世界の果て」で出てくる、引きこもりをこじらせて男の人を包丁で刺した後自分の頭も刺す男子高校生の話なんて、「もうお母さん高校の制服のサイズなんてどうでもいいから、早く病院連れてってあげて」とかなり切実に思いました。

    暗い話が好きならどうぞ。

  • 暗く沈んでいくような世界。
    全て共感できないし難解だけど中村さんの闇が伝わるのでどうしても手にとってしまいます。
    『世界の果て中』の靴が並んでいる情景が見えてしまう私も救いを求めてる一人かも。

  • 著者の単行本としては7冊目で発の短編集。
    表題作の(4)が一番引き込まれた。いつものように読みながら、ぐいぐいとノアールの世界に嵌まりこんでしまう。
    まるで自分が主人公と同じように、犬に誘導され、樹海の中に迷い込み、絶壁を前に立たちすくんでいるような気分。
    世の中に明るく朗らかな小説だけしかなかったらそれは絶望に似ていると著者がいうように、混沌から生まれた文学には、混沌の先にこそ光があることを教えてくれる力がある。

  • 2014年、12冊目。
    短編集。
    しんどい時は、手に取るとずぶずぶ沼にはまり込むような怖さがある。
    でも、後に引くところもあるのでやっぱり気になる作家さん。

    ゴミ屋敷の、あの軽い感じはけっこう好き。
    世界の果て、はちょっと難解だった。

    最近疲れてるみたい。
    考えずに読める系求む、だったなと、読みながらちと勿体無いことをしたと思った次第。

  • 同級生作家ということで短編から読んでみることに。

    うーん、どの作品も混沌としていて泥沼にはまるかのようであったが、それでも不思議と最後まで読み切ってしまったって感じ。

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著者プロフィール

一九七七年愛知県生まれ。福島大学卒。二〇〇二年『銃』で新潮新人賞を受賞しデビュー。〇四年『遮光』で野間文芸新人賞、〇五年『土の中の子供』で芥川賞、一〇年『掏ス摸リ』で大江健三郎賞受賞など。作品は各国で翻訳され、一四年に米文学賞デイビッド・グディス賞を受賞。他の著書に『去年の冬、きみと別れ』『教団X』などがある。

「2022年 『逃亡者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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