- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163281001
作品紹介・あらすじ
夫が単身赴任中の専業主婦。ブサイクな出張ホストと密会を繰り返す彼女の本当の望みとは…(『六日間』)。会社社長と長年、愛人関係を続けている育美。社長の妻を見舞う毎日で見つけたのは…(『愛のくらし』)。48歳の画家・鮎子。今は年下の彼とは別の男との情事に夢中。ただ、すぐ飽きてしまうのが常だった…(『猫をつれて』)。犬の散歩で偶然出会った若い男。怪我をした由未子の生活に入り込むが…(『バッドボーイ』)。定年退職間近の布沙子。愛人関係に区切りをつけ、苦手な後輩とも対決。そして、もう一つ「完璧な退職」のために計画してきたことが…(『パーフェクト・リタイヤ』)。オーバー40の女性たちの心情を鮮やかに描いた傑作短篇集。
感想・レビュー・書評
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この作者はどの作品も人を陥れる事や負の感情など気持ちが下がる作品がないので安心して読めれる。不倫を肯定しているがどの妻も旦那の浮気を黙認し諍いもないので若い頃から読んでいる自分は不倫に嫌悪もなければ罪悪感もないので本の影響は強いと読みながら思う。
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デビュー作『マドンナのごとく』『熟れてゆく夏』以来、と思っていたら、ナツイチで読んでた。
タイトルに惹かれて図書館。
最近の私は、どうしても小説を読む時に「悪い人が出てきませんように」と思ってしまう。「いい人を装って出てきた人が実は悪い人」というのがすごくいや。
この作品群は、それとは関係なく(そういう「じつは悪い人」も出てきはするものの)、突然死んだり、整形手術したり、突然悪い人になったりする唐突感に違和感ありでした。
・『愛のくらし』
デザイン事務所を共同経営する夫婦。妻はガンで余命宣告されており、夫は事務所で働く育美と不倫関係にある。夫婦の間に子どもはいない。「若いころはわからなかったけれど、年をとるということはめでたい話なんてめったに聞こえてこない」と言うのに答えて
p72
「孤独をおそれなければ、老後の問題は半分以上は片づくんだろうにな。あとは食べていけるだけの、そこそこのカネ」
・『猫をつれて』
長く連れ添ったパートナーがいながら、パーティーで出会った桃川と関係を持つ鮎子。桃川との一夜を反芻しようとして
p125
・たがいに納得ずくのひと晩限りのものとするためには、記憶を反芻してはならない。反芻するごとに、それが脳にひとつひとつ刻みつけられて思い出となる。たまっていく。思い出にさせないためには、記憶に育つ前の胞子の状態のときに、ゴミみたいにどんどん捨てていくのがいちばんなのだ。
--このやり方は、恋愛だけでなく他人からの意地悪や中傷やねたみ、悪意にも効く。ーー
・自分の神経を痛めつけるものは、できるだけ忘れ去ってしまっておぼえておかないようにする。それをくりかえしていると、現実にあったことなのか、なかったことなのか、それすらもあいまいになってしまう。
【好きな表現】
p165
おだやかな日々だが、孤独だった。
孤独だけど、幸せだった。
幸せだけど、さみしかった。
そのさみしさを、しかし、何かほかのものでうめようとは思わなかった。
うまるはずがないとわかっていた。
『パーフェクト・リタイヤ』
表題作、だけど魅力は感じられない。
もっとも誤解のリスクが少ないのは無言だった。が、それにしても、まったく安全というわけにはいかない。黙っているのは、肯定しているようにも、否定しているようにも、どちらにも解釈される。要するに、人間関係において、こうすれば絶対にしくじらないという正解はありえなかった。 -
女性は怖かったり、とてつもなく優しかったり、本当に色々です。
男が勝てるわけないわな。 -
短編5こ。いずれも人生の昼下がりを過ぎたような自分よりは上の歳の女性が主人公でした。独身の人も奥さんの人も母の人もいましたけど、だれもかれも寂しさを纏ってる感。こんなふうに、なっちゃうのかなあ・・・当分先までその気持ち、まだ知りたくないなあ。
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藤堂志津子にはまっていた時期があったので、改めて読んでない本を探して見つけて読んでみた。
それこそ彼女の本を読みあさっていた時代に読めば良かった。
ちょっと、現実味を帯びてくるような話で痛い・・・。
最後の話は、ちょっと元気が出た。退職後をどうするかを考えるのに、今、決して早すぎないなと思う。
今を楽しむのもいいけど、ほんと、65歳以降どうするんだろうと想像すると、主体的に生きていかなければなと思わされた。
ただ、整形はしないけどね(笑) -
1/13/11図書館
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短編集。
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短編集。
表題作は、和訳通り「完璧な(定年)退職」をもくろむ女性の話。
それにしても、小説の中では、私よりだいぶ大人な方々がバシバシ恋愛されている。
これは、桐野夏生作品を読むとよく思うことなのだけど、今回も同様、「人ってこんなに歳とっても恋愛できるんだ・・・?」とちょっとひき気味。
まあ、私もその歳になれば分かるのだろうか?
そして、一方で「小説だから面白い」と。
そうそう、こういうこと、身近に起こっちゃうと何かとメンドウですが、ピーチクパーチク紙の上で繰り広げてほしいわけです。
私はそれが見たくて、本(小説)を開くわけです。
そういう意味でニーズには合っている内容だったのかも。 -
この筆者の本を一時期読んで、その後、ちょっと距離をおいていた。
くどくて嫌いだったから。でも今回手に取ったのはなぜだろう。
題名?
表紙の絵?
私と同年齢の小編。
「バッドボーイ」の話が一番ひっかかる、、かな。
一番ありえそうな話だけど、一番哀しい話かも。
この本の字体が他のと違う。
はじめ、読むのに慣れなかった。
わざとなんだろうけど。