プロメテウスの涙

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 219
感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163281704

作品紹介・あらすじ

激しい発作に襲われる少女・あや香。米国の医療刑務所で、終わりなき地獄の責め苦を受ける不死の死刑囚。時空を超えて二人をつなぐ運命の桎梏とは。

感想・レビュー・書評

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  • 「彼女は私が知る限り、一番こういう結論を許さない人間です。でも、彼女も現在はこの仮説に基づいて行動をしています。信念として受け入れ難かろうが、データの方向がすべてそちらを指している以上、割り切るだけの柔軟性も彼女は持っています」

  • 学生に勧められて読んだ本。なるほど面白くて、一気に読んだ。ちょっとグロテスクなところもあるけど、好きなジャンル。エンタメとして軽く読むのに向いてる。

  • 「初めて会ったときから、祐美のこの眼差しが好きだったと、涼子はあらためて知った。それはきっとこの先も変わることはない。多分、死ぬまで。」

    乾さん2冊目。
    一体これはなんなの!?という、ドキドキ感にずっと支配されて、
    それでいて、なんだか、怖い!と思いながら読みました。

    精神科医のある姿とか、、ちょっと引いてしまった部分も
    ナキニシモアラズなのだけれど、
    先が気になって仕方ない展開は凄い。

    結局これも(って最近そういうのばっか!?)
    完全なミステリーではなくて、不思議な部分を残していて、
    そういうの多いなぁ、、という一連の本たちを思い出しました。
    いや、全部方向性は違うのだけれど。。。
    これからも、乾さんの本、読んでいきたいです。

    【読了・初読・市立図書館】

  • 小説だからこそ書ける…というか、現実と乖離しているからできる話。
    要するにフィクションで、現実的じゃない。
    いくらか展開を予想しようとしたけど、当たらなくて、逆に引き込まれて夜中の二時まで起きて読んだ本。
    S16の描写がすごい。ぐちょりの辺りの描写は少し怖気がしました。
    …グロには慣れていると思っていたのに。
    読後は少し寒気がするような感じ。表紙のせいでもあるかもしれない。
    知らないところで繋がっている、そんな話だと思う。

  • 切ない話。展開はどんでん返しではなくて、一つ一つを紐解いていくストーリーであり、その世界にグイグイ引き込まれる。
    そして、個人的には罪・罰・赦しについて考える本だった。

    【以下考えたこと】
    本作の問題はキャリー達側の方である。10歳を超えて生きることをしなかったのは、「他人の生を預かって、本来の年齢を超えた生を、生きることができなかった、または赦されなかった。それは誰に?
     そもそも、キャリーズは誰もトーマスを探そうとしていなかった。あや香の代で運良く涼子と裕美によって繋がることとなったが、国も性別も異なる魂の流転の中で、虚空に向かって赦しを叫ぶだけ、そして死、輪廻である。
     まるで、キャリーの魂が輪廻を続けながら、「赦しを伝える」という『罰』を受け続けるようである。
     もはや呪いではないか。赦しとは、呪いである。赦す方の呪いである。
     トーマス=赦される方は、そもそも赦しを求めてすらいなかった。

     もし、トーマスの不死が、キャリーによるのもではないとしたら?それは筋が合わない。キャリーの輪廻は死の日に始まった。つまりその時からキャリーの呪いは始まった。トーマスはキャリーを強殺したことの罰として、不死の苦役を受けた?
     逆だ。キャリーが「トーマスを赦すことを伝える」という『願いを達成させるため』に、神がトーマスを生かしたのだ。病魔に侵されたのはただの自然の摂理だ。健やかな余生を送っていたとしてもキャリーの目的は果たせる。こう考えた時、トーマスは『被害者』となる。赦しを伝えるという呪いが達成されるまで、生という責め苦を永劫受け続ける。しかしこれは、「トーマスの犯した罪」に対する「罰」ではない。キャリーが赦しを伝えることを求めたが故に生まれた呪いだ。

     悲願は達成し、トーマスは満たされた。キャリーも満たされたかもしれない。では死んだ4人は?真実を知れば、キャリーを恨むだろう。あや香が死んでいたら、小百合はキャリーとトーマス、どちらを恨んでいただろうか。

  • 今まで読んだことのない作家さんの作品を…と思い、図書館で、いつもの通り直感で、借りて来た本。表紙画に、最初に目がいってたら借りてないだろうな〜内容も、グロいとこがあったりしたけど、先が気になり、一気に読んでしまいました。

  • 本当に面白かったです
    かなり、グロテスクだけど
    興味深く読みました

  • 一気に読みました。

  • 死刑囚に初めて会うまでの前半はとても面白かった。特に「指に引っ掛かった爪」のシーンは凄かった。でも残念ながら面白かったのはこの辺りまでで、後半は謎解きのための説明的進行でパッとしなかったな。

  • 私はこの手の話が大好きなんだなぁと再認識した本。
    まだ今年始まってすぐだけれど、今年一番面白くてワクワクした本だとこの時点で思える。

    ホラーのようなミステリーのような、かと思えばある種トンデモのような。
    でも医療的な話も入っている。
    けれどちゃんとまとまっていて読み応えがあった。

    作中出てくる記憶パターンがなんとなくわかるような気がした。全て事細かに記憶しているわけではないけれど、映像記憶のような。

    作者の母校が、よく知っている地元の高校だったのに驚きました。
    なんだか親近感。

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著者プロフィール

乾ルカ
一九七〇年北海道生まれ。二〇〇六年、「夏光」でオール讀物新人賞を受賞。一〇年『あの日にかえりたい』で直木賞候補、『メグル』で大藪春彦賞候補。映像化された『てふてふ荘へようこそ』ほか、『向かい風で飛べ!』『龍神の子どもたち』など著書多数。8作家による競作プロジェクト「螺旋」では昭和前期を担当し『コイコワレ』を執筆。近著の青春群像劇『おまえなんかに会いたくない』『水底のスピカ』が話題となる。

「2022年 『コイコワレ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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