朝のこどもの玩具箱

  • 文藝春秋
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本棚登録 : 348
感想 : 78
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  • 本 ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163282503

感想・レビュー・書評

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  • 朝のこどもの玩具箱。

    昨日、こどもに思う存分遊んでもらったおもちゃたちが
    ひと晩休んでエネルギーを蓄えて、玩具箱の中でおひさまの光を浴びながら
    今日はどんなふうに遊んでもらえるのか、わくわくしながら待っているような、
    なんて素敵なタイトルでしょう!

    丁寧にトールペイントを施した木材に、真鍮の蝶番と秘密めいた鍵穴までつけた
    アンティークっぽい装幀も、タイトルにぴったりで。

    静かな決意から、決死の覚悟で挑む戦いまで
    未来をその手で勝ち取るために踏み出すひとたちの、希望に満ちた6つの物語が
    玩具箱に無造作にぽんぽんと投げ込まれたさまざまなおもちゃを思わせます。

    『謹賀新年』は、星のかたちのストローのついた、シャボン玉セット。

    『ぼくの神さま』は、戦いごっこの大好きな、男の子のための剣と楯。

    『がんじっこ』は、頑固な顔をしただるまをてっぺんにのっけた、だるまおとし。

    『孫の恋愛』は、桜の小枝を耳に挿した、狐のお面。

    『しっぽ』は、ゼンマイでカタカタ動く、猿の人形。

    『この大樹の傍らで』は、昔なつかしいデザインの、プラスティック製ロケット。。。

    それぞれのお話をおもちゃに例えるとしたら、そんなイメージでしょうか。

    中でも、人間であれば一人、二人のところを一狐、ニ狐、
    人材を狐材、人徳を狐徳という言葉遣いも楽しく
    狐たちの世界を慈しむように描いた『孫の恋愛』は『夏目友人帳』の緑川ゆきさんの絵で

    髪からも瞳からも皮膚からも色素が抜け、寿命さえ劇的に短くなってゆく
    ドームでの生活を捨て、祖先が住んでいた遥かな地球を目指すこどもたちを描いた
    『この大樹の傍らで』は、『11人いる!』の萩尾望都さんの絵で

    ぜひぜひ描いてほしくなってしまう、素敵な作品です♪

    • kuroayameさん
      もう作品を以前読んでいる私には、レビューがとても見事に作品の世界観をとらえていて「お見事」と思いましたU^ェ^U。
      物語をおもちゃで表現され...
      もう作品を以前読んでいる私には、レビューがとても見事に作品の世界観をとらえていて「お見事」と思いましたU^ェ^U。
      物語をおもちゃで表現されているところが、私の想像では思い浮かべることがないまま、本を読んでいたことを思うと、「私はもったいない本の読み方をしていた」と反省でした。
      素敵なレビューを拝見させていただきありがとうございました♪( ´θ`)ノ。
      2013/01/08
    • まろんさん
      kuroayameさんはじめ、尊敬するブクログ仲間さんたちのレビューを読んで
      おお、これは読まねば!と手に取った本なのです。
      いつも素敵な本...
      kuroayameさんはじめ、尊敬するブクログ仲間さんたちのレビューを読んで
      おお、これは読まねば!と手に取った本なのです。
      いつも素敵な本を紹介してくださってありがとうございます♪

      ぜんぜんテイストの違う物語を、「玩具箱」というタイトルで
      鮮やかに結び付けてしまう、あさのあつこさんのセンス、すごいと思いました(*'-')フフ♪
      2013/01/10
  • 人の心の内面のとても柔らかい部分が大切に、丁寧に語られている。
    読んでいて、とても穏やかになれる。
    誰かが誰かと思う尊い気持ち。人は、それに支えられて生きている。

    • kuroayameさん
      きゃーっ、私もこの作品を読んでいたので、拝見させていただきとても嬉しかったですU^ェ^U。
      おはなしそれぞれ独特の世界があり、次はどんなお話...
      きゃーっ、私もこの作品を読んでいたので、拝見させていただきとても嬉しかったですU^ェ^U。
      おはなしそれぞれ独特の世界があり、次はどんなお話かな?とワクワクしながら読んでいたので、素敵なレビューを拝見させていただきありがとうございましたp(^_^)q 。
      2013/01/08
  • 6つの短編集。
    ジャンル、作風様々。

    印象に残ったのは「がんじっこ」。

    見返して、やっぱり好きだなと思うのは「謹賀新年」。

    あさのあつこさんの巧さがぎゅっと染み渡り、色とりどりに美味しく詰まった一冊。

  • これも短編集だった
    がんじっこが好きです

  • 装幀/石川絢士(the GARDEN)

  • すんなり読みやすく分かりやすくそこそこ面白い。だけどすぐ忘れてしまいそう。 
    若い義理の母と娘が突然の父親の死で残され悲しみから二人で立ち直ろうとする「謹賀新年」
    僕の神様 誰もが心のなかに神様がいると教えてくれた父親が突然死にその真相に気付いた医師も殺され、心の神様に従卯少年の話
    がんじっこ 嫌われもので口の悪い婆さんと気が弱く周りの人に自分の考えが言えない若い役場の女職員。だけど婆さんも昔は何も言えない娘だった。
    孫の恋愛 狐一族の長が孫の恋人の人間に会いに行ってみると行方不明の娘と同じ名前だった。 
    しっぽ いじめられて助けを求めていた少年にある朝しっぽがはえる。神様がしっぽでいじめた相手を懲らしめるが身体を乗っ取られそうになる。助けてくれたのは友達だった
    この大樹の傍らで 汚染された地球から脱出し新しい星で生きていたがそこではだんだん病気が蔓延し、少年達は地球に帰ることにする。唯一のロケットを操縦していた親友は決死の着陸に成功するが。

  • 家族愛?の話の短編集。最初の二つの話の共通点からそういう話の短編集かな〜(ネタバレになるのて書きませんが)と思っていたが、そうでもないらしい。SFあり、青春ありなあさのあつこさんの多才さ溢れる一冊。

  • あさのさんの、あっちからこっちまで。
    どの話も最初から最後まででなく、人生のごく一部。妄想が膨らむ。

  • あさのあつこの短編集。あんまり心にひッかっから無かった。

  • まっすぐに生きていこうと思える短編小説集。
    優しいというあやふやなカテゴリーじゃ、全然ダメなんだよなぁ。

    私は「がんじっこ」が一番好きな作品です。

    「あんたも、バンザーイって叫んで、好いた男を鬼にするかや」

    どきりとしました。

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著者プロフィール

あさの あつこ:1954(昭和29)年、岡山県生れ。青山学院大学文学部卒業。小学校講師ののち、作家デビュー。『バッテリー』で野間児童文芸賞、『バッテリーII』で日本児童文学者協会賞、『バッテリーI~VI』で小学館児童出版文化賞、『たまゆら』で島清恋愛文学賞を受賞。著書は『福音の少年』『No.6』シリーズ、『弥勒の月』『アーセナルにおいでよ』など多数。

「2025年 『あなただけの物語のために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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