黄金の猿

  • 文藝春秋 (2009年7月29日発売)
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本 ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784163283401

感想・レビュー・書評

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  • 人を傷つけながら自分も傷つく。
    そんな破壊衝動は何故か一種の心地よさがある。
    だけど自分の求めるあの人は、
    そんなことさえも気にしない空虚な女。
    物事に意味を持たせている内は、まだ正気を保っているのかもしれない。
    冒涜の瞬間の関係性を求めるのは絶望を与え合うことでしか関係性を確認できないからかもしれない。
    孤独よりも囚人であることを選んでいるのに、
    表面的な関係性になるのが切なく悲しい。
    この関係性はどこかで変われるのか、それとも空虚に落ちていくしかないのか。

  • 難解

  • ホテルにある黄金の猿という名前のバーに集う人々。

    青ざめた女、夜な夜な林を徘徊する女と連れ添う兄、恋する男に噂を囁き合う男二人。

    う、う~んって感じ。
    正直、意味わからなかったよ私には(涙)

    最初のもう出ていこうって著者自身のことかな?
    なんだか難しい話を書くのだね~。読むの疲れた(涙)

  • ・もう出ていこう
    ・ブルーノート
    「黄金の猿」三部作
    ・ハネムーン
    ・緑色のホテル
    ・二人の庭園

    初の鹿島田さん。

    はっきりした答えが欲しくて最後まで頑張って読んだ。
    でもわからなかった。
    バカだな、あたし。

    お話はすっきりと感じられなかったけれど、雰囲気やイメージする情景が色濃く感じられるのは好き。
    解り易いお話もあるのかな。

  • 五編収録。冒頭の「もう出ていこう」は、ひとまず描写と説明が均衡している。他の四編は説明文とも感じられる。

  • ここに描かれているのは、人間と人間の関係に固執した狂気なのだと思う。
    自分の欲望に忠実に動く人間、
    他者よりも常に優位でありたい人間、
    快楽などて他者を弄ぶ人間。

    固執することはねっとりしているようで、相手に対し乾いている状態でも起きうる事だと感じた。支配する行為はとても乾いていると思う。
    そこに狂気を感じてしまった。
    靄掛かった裸体がとても美しく感じる、素敵な本だった。

  • 教会職員の共同住宅に住んでいた私と夫は
    虚言癖のある神学生にうんざりする「もう出ていこう」
    フランス文学を学ぶわたしは精神科医のあなたと
    図書館で出会った少女葉菜を近づけようとする「ブルーノート」
    罰と命令を与えないわたしを諦めたあの人は
    巻き髪の冷感症の女を欲する「ハネムーン」
    僕と妻は真珠の女とその取り巻きを眺めながら
    次第に妻が無味乾燥の女になっていくのを恐れる「緑色のホテル」
    夜に歌いながら徘徊する妹とそれをなだめる兄の存在を見て
    去年ホテルにいた黒いドレスの女の病の気配を感じる「二人の庭園」
    装画:HANS BELLMER "Ohne Titel" 1938
    装丁:関口聖司

    病的な愛の気持ちを描いた短編集。
    後の3編は「黄金の猿」三部作というそうです。
    理想の女とはなにか、そしてそれを求める男と
    与えようとする女との間にだんだんとずれが生じてくる怖さ。
    歪んでいるからこその美しさがあります。

  • 失敗。

  •  正直読み難い。
     嵌れない気分だったからか。

  • 初鹿島田さんでした。
    前衛的でなかなか理解するには難しい作品でしたが独特な世界感を感じました。

    ホテルのバー『黄金の猿』に集う三組の男女、巻き髪でネックレスをした黒いドレスの女、それをとりまく男たち。女の肉体に興味のない男に自分の肉体に深いコンプレックスを持つ女、夜毎歌い徘徊する女。リズミックで乾いた文体は時には恥美的に時には滑稽に心に突き刺さってくる。病的なものも性的なものも何もかもを包み込んでしまうような圧倒的な狂気の愛。すべてに圧倒されてしまった。

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著者プロフィール

1976年生まれ。1999年、「二匹」で第35回文藝賞を受賞しデビュー。2004年、『白バラ四姉妹殺人事件』で第17回三島由紀夫賞候補、2005年『六〇〇〇度の愛』で三島由紀夫賞受賞。2006年「ナンバーワン・コンストラクション」で第135回芥川賞候補。2007年『ピカルディーの三度』で野間文芸新人賞受賞。2009年「女の庭」で第140回芥川賞候補、『ゼロの王国』で第5回絲山賞を受賞。2010年『その暁のぬるさ』で第143回芥川賞候補。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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