墨染の鎧 (下)

  • 文藝春秋 (2009年8月28日発売)
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感想 : 12
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  • 本 ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163284002

感想・レビュー・書評

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  • 自分のTwitterから少し加筆修正。
    個人的に腑に落ちないのは、毛利家を踏み台にして出世した恵瓊がどうして西軍についたのか、それがわからなかった。
    毛利家を踏み台にしたことに対しては実家滅ぼされた復讐心みたいな感じがやっぱりあったのかなって納得しかけたけど「実は〜恵瓊は安芸武田家の一族じゃありません(・ω<)安芸武田家の嫡流は恵瓊の亡くなった友人です。」ってなったから困惑しました。
    その友人との描写がもっとあれば、「友のために!ってことか!カッコイイ!」ってなったかもしれませんが、恵瓊本人の口から「安芸武田家の名を利用したにすぎない」って言われたら、じゃあ出世第一の男がなんで勢いのある家康につかなかったの?やっぱり人を見る目落ちた?って思います。
    読み手である私達自身は結果(関ヶ原の戦い)を知ってるから「結果的に人を見る目が落ちたのか」と納得できますが本文にそういった「人を見る目が落ちる」描写はほとんど無く、関ヶ原直前に「恵瓊は過信している故に見誤った」とか書かれても、は?なわけです。
    吉川広家、小早川秀秋の事を恵瓊自身が過小評価しているのは分かるんですが、地の文で彼らに対するフォローは何も書かれてなく、三人称視点に見えて実はものすごく恵瓊ageな書かれ方をしてます。
    恵瓊が主人公だからそれでもいいかと思ってしまいそうになりますが、あくまでも三人称視点には平等でいてほしい私にはちょっと合いませんでした。
    他に個人的に気に入らないところはもう1つ。
    本能寺の変を裏で糸を引いてたのは恵瓊でしたという奴です。
    なんていうか、昨今の某歴史ドラマにありがちな、「じつはこいつが裏で糸を引いてたんだぜ」って展開、正直飽きました。
    『天地人』もこんな感じなのかな?直江上げすぎてるんじゃないかな?と疑い始めてます。

    2023/06/04
    歴史小説において主人公を持ち上げるのは必要不可欠なんだなと今日思う。
    当時はただ単に好きな武将の株を下げられたのでブチ切れてたのかも。

  • 歴史小説をこれだけ読んでいても初めて深く立ち入る作品もある。安国寺恵瓊、外交僧として毛利家につかえていたが野望?のために秀吉と懇意にする。防諜戦の中で毛利家が光秀謀反を本当に気が付かなかったのだろうか?恵瓊が止めたという説は一般的だが、ただ単に毛利自体がうまく世渡りをしたのではないかと思う。

    「墨染の鎧」

    火坂先生の作品なだけあり、入門編には最適ではあるが謎は深まる一方で探求という言葉が付いて回る。秀吉が天下を取る際に一番重要だったのは小牧・長久手?賤ヶ岳?やはり山崎の戦?でもなく、やはり高松城での戦いだったのだと思う。

    あくまでも推測の域は抜けずに安国寺恵瓊という外交僧の闇は深まるばかりだが、この人物を掘り下げる人が少ない。やはり歴史の謎というか闇の部分は面白い!

  • 戦国のあらゆる場面に登場し、最後は関ヶ原に敗れ、その生涯をとじる。毛利家のために奔走し結局は味方のはずの吉川広家、小早川秀秋の裏切りに合う…何か石田三成と境遇が似ているし、共感することもあったんだろう。今回は毛利家だったが、よく知る歴史も違う視点で見ると面白いものです。火坂雅志作品…面白いです。

  • 僧侶のまま大名にまで登りつめた安国寺恵瓊が主人公です。

    この本では、安国寺恵瓊が東福寺で修行している時期から関ヶ原の戦いに破れ処刑されるまでが描かれています。

    元々、何で僧侶が大名にと思っていましたが、この本を読み、武将が僧侶をやっていただけなのかなと思いました。

    毛利元就の遺言にもある通り、毛利家は非常に保守的な一族だと思いますが、元就自身もそれを危惧していたようです。
    そのため、あえて毒を入れることで、活性化を図ったとのことですが、とんでもない猛毒でしたね。秀吉への立ち回りはよかったですが、関ヶ原の戦いのミスで、あやうく毛利家断絶となるところでしたし。

    ↓ ブログも書いています。
    http://fuji2000.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/post-91d6.html

  • 毛利家の外交を任された安国寺恵瓊は、非情な信長よりも秀吉のほうが天下を治める器があると信じ謀をめぐらす。秀吉の出世とともについに大名となるが…。

    戦国の世に己の力のみでのし上がり、「泰平の世をつくる」夢を描いて大きな仕事をした男の生涯は、とても見事だった。毛利家のために働きながらも妬まれ、毛嫌いされたのはやりきれないが、家が滅ぼされもせず生き残ったのは間違いなく彼のおかげ。唯一、彼を理解し信頼してくれた小早川隆景の存在は大きい。
    関ヶ原とそれに続くラストがちょっとあっけなかったのが残念だが、今まで歴史の脇役と思っていた恵瓊のドラマを十分楽しむことができてよかった。

  • 毛利家から信長との戦いから側近である秀吉に近ずき秀吉の時代に側近にまで上り詰め最後は関ヶ原で徳川家康と一戦を交えて死すまでの戦国の世を生きた安国寺惠瓊の人生を描く

  • 文章に矛盾。
    P387で安国寺恵瓊は関ヶ原が決戦場と予想しておきながら、P392-393では、西軍は「大垣城に東軍を引きつけるだけ引きつけ、長期戦に持ち込む」予定になっており、東軍が大垣城を素通りしたことから西軍は慌てて関ヶ原に布陣したことになっている。
    信長と秀吉の運命を言い当てた慧眼をここでも書こうとして文章に矛盾が生じてしまったのだろうか。

  • 安国寺恵瓊の生涯をいきいきと描いています。
    とても楽しく読みました。ifの書き切り方が圧倒的に上手い!

  • 10/04/11 さすが火坂雅志。一気読み。
         「竜吟ずれば雲起こり、虎嘯けば風生ず」恵瓊の師 竺     雲恵心 東福寺退行庵庵主

  • 上刊に続いて一気に読破!歴史本は自宅で夜の就寝前限定で読むため、通常この手の本は1週間はかかるが、3日で読破。眠れない夜が多かったためもあるが…
    おもしろかった!

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著者プロフィール

作家

「2017年 『左近(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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