逃亡者

  • 文藝春秋 (2009年8月28日発売)
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  • 本 ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163284507

感想・レビュー・書評

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  • 不動産業を営む夫のDVで虐げられている保険外交員(友竹智恵子)は、知人から持ち掛けられた交換殺人に合意し、相手の夫を殺害した罪で逮捕されるも、警察の不手際で入院先の病院から脱走する・・・顔を変え、身分を偽り、逃亡生活を続けることに・・・。 智恵子を追う刑事とDV夫の執念、時効15年の壁を突き破る逃亡劇の行く手には、想像を超えた驚愕の結末が・・・。 〝新潟市へ行ったのは、2006年の晩秋だった。前年の2005年、殺人事件の公訴時効が15年から25年に延長されたが、彼女の場合は15年がそのまま適用された...彼女は最大限の注意を払わなければならなかった。 捕まったらお終いなのだ。 14年と364日逃げたとしても、最後の日に捕まったら、何の意味もなくなるのだ。 逃げたことの意味が失われるのが、彼女は怖かった〟(※殺人罪の時効は、被害者遺族の処罰感情を考慮し、2010年の法改正により廃止された)

  • 友竹智恵子は、いわゆる婚外子だった。
    母清子は妻子ある男性と駆け落ちをし、智恵子は祖父母の元で慎ましく暮らし
    優秀な成績の為特待生として高校に進学
    高校二年の夏休み祖母が倒れてから、彼女の人生が狂い、運命が大きく動き出す。
    母の住む東京に転校し、遊びを覚え高校を中退
    母の男に妊娠させられ出産
    ホステス時代の客、友竹洋司と結婚するが、洋司は外面が良く、家庭では暴力を振るうDV夫だった。
    保険外交員の時、昔のホステス仲間の林田亮子に交換殺人を持ち掛けられ、
    面識もない亮子の夫、宏之を殺してしまう。

    一度は逮捕たされたものの、脱走。
    そこから智恵子の長い長い逃亡生活が始まる。
    逮捕しようとする警察、恨み殺そうと追いかけてくる夫洋司からひたすら逃げる。

    新潟市から青森市へ大阪で整形をし、庄原市
    何処でも親切な人に恵まれ暮らしていた。しかし、裏切り……。
    何度も何度も逮捕寸前、洋司に捕まる寸前に助けられ逃げ続けた。

    逃亡から7年智恵子は故郷に戻ろうと真剣に思った。
    智恵子の所持品を地元の通り魔事件の現場に置いている者の正体を知りたくもあったし、洋司や林田亮子に復讐の鉄槌を下し、自分を愚弄したことを後悔させてやりたかった。
    しかし、あそこには危険な罠が仕掛けてうるような気がした……。
    でも、智恵子は戻った……。

    実際に起こった松山での殺人事件
    時効寸前に逮捕された福田和子を連想させられるシチュエーションや言葉があり
    その事件を基に脚色しているのかと思って読み進んでいました。
    智恵子が逃亡生活の様子を誰かに語っているシーンが物語を進めていましたし、
    逃亡先で深く関わった人々や刑事のインタビューも散りばめられていました。
    ですがら、すでに智恵子は……。
    最後のどんでん返しは完全に意表を突かれました。

    本当に驚きました。(@_@)
    最初は淡々と逃亡生活が描かれていて、少し飽き気味でしたが、
    最後の方はページを捲る手が止まりませんでした

  • よかったです

  • 長い。殺してから時効が成立するまでの15年をずっと辿った518ページ。
    グイグイ読み進めていける流れはよかった。全国あちこちに住みながら逃亡し続ける智恵子の気持ちに寄り添いながら読み進めるていたけど、時効成立数日になったところから急展開でグッとスピードアップした。智恵子の話をずっと聞いていたのは誰なのか、真犯人がいたなんて、ていうか後半ずっと監禁されてたんかい聞いてへんぞっていう終わり方。

  • 交換殺人に失敗して当時の時効である15年を逃亡する話。15年なんて途方もない時間を逃げ続けるのは本当に難しい。何度もピンチが訪れ、その度に人の優しさに触れる。最後の畳み方がどうもご都合主義過ぎて読後感は良くなかったが面白かった。

  • ふむ

  • 交換殺人で知人の夫を殺した友竹智恵子の逃亡劇。顔を変え、身分を偽り日本全国を逃亡し続ける。警察の執念がさらに逃亡劇をスリリングにしている。面白かった。

  • 殺人犯が偶然が重なり、逃亡することができそこから時効の15年を逃きる様子を書いた物語。

    多分実際にあったやつをモチーフにしてる。

    逃亡の気持ちとかがリアルでボリュームはあるがついつい読んじゃう。

    最後の数10ページでいままでの?が回収される。
    「そこかい!」てなる笑

  • やっと読んだ~ヾ(≧∇≦)〃
    読みやすい本だったのに時間がかかったのはなぜ?(笑)
    福田和子をモデルにした本だと思ったんだけど…
    智恵子の回想と智恵子と
    その関係者のインタビューで話が進むので
    逮捕された後の話かと思いきや?
    そういう話か!!Σ(゚Д゚;≡;゚д゚)
    ハラハラ、ドキドキの逃亡劇。
    しかし途中、突然の「車移動」に違和感を感じ、
    あれ?あれ?あれ?「(ーヘー;) 

    凄いオチだな、
    なるほど、なるほど
    前半、時系列がハッキリしてたのに
    そういえば後半は曖昧だったな(゚д゚)(。_。)ウン 

    まさかのラスト!!

  • 福田和子事件を元にした逃亡劇。小説としてスリリングでかなり面白い。作者の持ち味である叙述トリックですが、正直蛇足感が少しあるかな。

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著者プロフィール

埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。編集者を経て1988年に『五つの棺』でデビュー。1995年『沈黙の教室』で日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞。叙述トリックを駆使した本格ミステリーには定評がある。『倒錯のロンド』『倒錯の死角』『倒錯の帰結』など「倒錯」シリーズのほか『叔母殺人事件』『叔父殺人事件』『模倣密室』『被告A』『黙の部屋』『冤罪者』『侵入者 自称小説家』『赤い森』『タイムカプセル』『クラスルーム』『グランドマンション』など著書多数。

「2021年 『倒錯のロンド 完成版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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