逃亡者

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (518ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163284507

感想・レビュー・書評

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  • 友竹智恵子は、いわゆる婚外子だった。
    母清子は妻子ある男性と駆け落ちをし、智恵子は祖父母の元で慎ましく暮らし
    優秀な成績の為特待生として高校に進学
    高校二年の夏休み祖母が倒れてから、彼女の人生が狂い、運命が大きく動き出す。
    母の住む東京に転校し、遊びを覚え高校を中退
    母の男に妊娠させられ出産
    ホステス時代の客、友竹洋司と結婚するが、洋司は外面が良く、家庭では暴力を振るうDV夫だった。
    保険外交員の時、昔のホステス仲間の林田亮子に交換殺人を持ち掛けられ、
    面識もない亮子の夫、宏之を殺してしまう。

    一度は逮捕たされたものの、脱走。
    そこから智恵子の長い長い逃亡生活が始まる。
    逮捕しようとする警察、恨み殺そうと追いかけてくる夫洋司からひたすら逃げる。

    新潟市から青森市へ大阪で整形をし、庄原市
    何処でも親切な人に恵まれ暮らしていた。しかし、裏切り……。
    何度も何度も逮捕寸前、洋司に捕まる寸前に助けられ逃げ続けた。

    逃亡から7年智恵子は故郷に戻ろうと真剣に思った。
    智恵子の所持品を地元の通り魔事件の現場に置いている者の正体を知りたくもあったし、洋司や林田亮子に復讐の鉄槌を下し、自分を愚弄したことを後悔させてやりたかった。
    しかし、あそこには危険な罠が仕掛けてうるような気がした……。
    でも、智恵子は戻った……。

    実際に起こった松山での殺人事件
    時効寸前に逮捕された福田和子を連想させられるシチュエーションや言葉があり
    その事件を基に脚色しているのかと思って読み進んでいました。
    智恵子が逃亡生活の様子を誰かに語っているシーンが物語を進めていましたし、
    逃亡先で深く関わった人々や刑事のインタビューも散りばめられていました。
    ですがら、すでに智恵子は……。
    最後のどんでん返しは完全に意表を突かれました。

    本当に驚きました。(@_@)
    最初は淡々と逃亡生活が描かれていて、少し飽き気味でしたが、
    最後の方はページを捲る手が止まりませんでした

  • 殺人犯が偶然が重なり、逃亡することができそこから時効の15年を逃きる様子を書いた物語。

    多分実際にあったやつをモチーフにしてる。

    逃亡の気持ちとかがリアルでボリュームはあるがついつい読んじゃう。

    最後の数10ページでいままでの?が回収される。
    「そこかい!」てなる笑

  • 福田和子事件を元にした逃亡劇。小説としてスリリングでかなり面白い。作者の持ち味である叙述トリックですが、正直蛇足感が少しあるかな。

  • 長いけどすごく面白くて一気に読んでしまった。
    いろんな視点があって場面が分かれていて読みやすかった。最後はなんか展開がいろいろありすぎてわけわからなくなったけど、読んで良かったなーと。

  • ぐいぐい読んで、どいつもこいつも怪しい…てなって最後に怒涛の結末。
    動機がよく分からないけど面白かった。

  • オススメされて読んだ本。
    インタビュー形式をとっていたけど最後におぉってなった。

  •  交換殺人を持ちかけられた女は、面識のない相手を殺したのち、逃亡する。
     彼女は、名をかえ、顔を変えて、逃げ続ける。

     ま、福田和子の事件が土台にあるっていうので、そのつもりで読んでいって、最後にやられます。
     さすが、折原一、普通のところには着地しませんよ。

     逃げている女はもちろん、彼女を追う刑事、彼女の夫、と、誰もかれもが執着心を捨てることができない。それは、当時者にとっては、特別なことではなく、当然のことなのだろう。が、傍観してみれば、それらはむしろ醜い妄執でしかない。

     それなのに、人を動かす一番の要因というか、エネルギーが、それであるところがなんとも切ないのである。

     結末には驚愕するが、ちょっと上手くやられちゃったなって思わないでもない。
     うん。最後の方はしんどくなっちゃのかなぁ。

  • 500ページという大長編。
    最終盤まで一気に読み終えた
    読み応えのある一冊でした。
    某事件を思い出してしまいましたが
    最終盤での大どんでん返しに驚きました!
    想像外の人だったもので・・・

  • 最終盤まで一気に読む事ができる力のある本でした。
    折原作品の叙述でびっくりする本というよりは、逃亡劇のスリリングさにハラハラする本です。ただ、最後はほんとにジェットコースターで、すっきり納得とはならないのが、折原作品らしい本で、最後まで読むと、あ、こういうことかと見直したくなります。
    この段落はこの人のことなんて、解説サイトがあったら見たいかもしれません。

    いろんな細工に挑戦する折原作品の中では、小細工は少ないです。
    途中の一文に引っかかっていたら、予想通り最後に生きたんですが、それもお前か!と驚きの結末でした。

  • 殺人犯智恵子の逃亡劇。
    インタビュアは誰?とか、途中あれれっ??っていう伏線があり、最後の最後でどんでん返し。
    長いワリには一気に読めた。
    で動機は何なんだろうねぇ。。。

著者プロフィール

埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。編集者を経て1988年に『五つの棺』でデビュー。1995年『沈黙の教室』で日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞。叙述トリックを駆使した本格ミステリーには定評がある。『倒錯のロンド』『倒錯の死角』『倒錯の帰結』など「倒錯」シリーズのほか『叔母殺人事件』『叔父殺人事件』『模倣密室』『被告A』『黙の部屋』『冤罪者』『侵入者 自称小説家』『赤い森』『タイムカプセル』『クラスルーム』『グランドマンション』など著書多数。

「2021年 『倒錯のロンド 完成版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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