- 本 ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163284705
感想・レビュー・書評
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2013/11/01
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父と子の血とルーツをめぐる物語。祖父の危篤をきっかけに、北海道に帰った主人公は父との関係を見直す。かつて父は北海道を捨て、ナイチでの成功を目指すも、夢破れ今は行方知れず。人づてに父の近況を聞くに、生活に病気を患い、困窮している様子。結局、祖父の葬儀にも現れなかったが、本当は故郷に戻ってきたかったはずだと父を思う主人公の心は父に会いたいと言う気持ちの裏返しかなと思う。とはいえ父の姿ははっきりせず、何となく消化不良な感じ。機会あれば他の作品もんでみよかな~。
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ハーモニカを買いに行くとこが良かった。
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故郷はいつだって優しいものだなと思う。歳をとり身体の調子が悪くなってきた昨今、そういう思いは強くなる。
親がいる。友達がいる。見慣れた風景がある。彼らがいなくなる日は必ずやってくるし、昔ながらの風景も実際は思い出とはかけ離れたものになっている。それでも生まれ育ったという記憶が甦り、生まれた所を離れて暮らす自分の現状、変わり果てた故郷の風景、それらをひとつにした塊の中に優しく包まれるような気分になる。
それでも、そんな優しさにいつまでも包まれているわけにはいかない。
いつの間にか似てしまったのかなと思える父親の顔を見て、自分と同じように日々の暮らしに四苦八苦している友達の話に耳を傾けるのは、懐かしさも手伝って、その心地良さを増幅してくれる。でもそれは同時に、変わり果てた自分の姿を再確認するための作業の一環なのかもしれないと思ったりする。こちらを見つめる親や友達の方だって、それは同じだろう。思い出を懐かむ心地良さに身をゆだねながら、顔を上げれば、それぞれに変わり切った日々の生活が待っている。明るいか暗いかわからないけど、不確実な未来が待っている。
故郷はいつだって優しい。でも、その優しい心地良さはいつだって、自分を見知らぬ場所や時間へと後押しし、追いやってくれる厳しさも持っている。
主人公の父親は本当に故郷に戻っていたのだろうか。
幼少時から引っ越しを繰り返し、父親の故郷で祖父への線香をあげながら、自分の人生の流れに身を任せる覚悟を決めた主人公はどこに行くのだろうか。
故郷は遠きにありて思ふもの、なんて、これまで何度も耳にしてきた詩を思い出した。優しい心地良さと厳しさとともに。 -
なんか正直中途半端な印象でした。家族(血縁関係)とか、過去とかについて考えさせられるような気がしたようだけどあまり結論が自分の中で出なかった。うむ。
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父と息子の微妙な関係が
物語後半から一気に盛り上がってきました。
親子の血は
父と娘より、父と息子の方が
絶対濃いと思う。
伊藤たかみさんの描く世界観は好きです。 -
津軽海峡ボクとオトン、時々オカン・・・みたいなストーリー。
ついていけないと愛想を尽かしても憎めない感じの父親の、「不在という名の存在」が描かれていました。
途中退屈しちゃった・・・けどそれもこの物語の持つ雰囲気というか魅力なのかなあとか思ったり。意味不明ですけども。 -
「理にかなった話というものには、どこかに嘘があるからだ。」「反面、つじつまの合わないことには必ず真実がある。」なんという真理。「全体が矛盾しても、ひとつひとつの事柄は心に対して正しい。」その通りだと強く共感した。そして表紙の写真が森山大道氏というセンスが素晴らしい。
著者プロフィール
伊藤たかみの作品





