無理

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1719
レビュー : 340
  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163285801

作品紹介・あらすじ

合併でできた地方都市、ゆめので暮らす5人。相原友則-弱者を主張する身勝手な市民に嫌気がさしているケースワーカー。久保史恵-東京の大学に進学し、この町を出ようと心に決めている高校2年生。加藤裕也-暴走族上がりで詐欺まがいの商品を売りつけるセールスマン。堀部妙子-スーパーの保安員をしながら新興宗教にすがる、孤独な48歳。山本順一-もっと大きな仕事がしたいと、県議会に打って出る腹づもりの市議会議員。出口のないこの社会で、彼らに未来は開けるのか。

感想・レビュー・書評

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  • 540ページ一気読み。
    いろんな無理が線になる話でした。

  • 「最悪」、「邪魔」に通じる奥田英朗の群像劇。
    装丁が似ていることからも、話のつながりはないながらも同じシリーズとみていいのだろうな。

    共通するのは、その時代のキーワードを巧みに織り込んであること。
    「無理」の場合は地方の空洞化、生活保護不正受給、主婦の援助交際、引きこもりといった時事問題が扱われている。

    現実に私たちが問題に感じていることだからこそ、それが主人公たちの物語にリアリティを与え、読者の感情移入を誘発する。

    主人公たちとは全く違う人生を送っているつもりでも、人間の性というか情念のような誰しも共通でも持っている部分を描いてあるから、読んでいて痛いところをつかれた感じになる。

    お互いにはつながりを意識することのない主人公たちだが、それぞれにどこかで糸がつながっていて、複雑に絡み合っている。
    結局狭い社会だ、という地方社会の象徴的に描かれているのかもしれないし、何人か友達の友達をたどれば大体の人とつながっている、というソーシャル時代を意識させる部分とも言える。

    一見関係ない主人公たちがひとつの事件に同時に巻き込まれる場面は、映画「マグノリア」のあの場面を彷彿とさせる転換点といえる。

    読んでいて決して楽しい小説ではないけれど、痛い痛いと言いながらも結局読んでしまう、読まされてしまうという意味では上質なエンタテインメントなのかもしれない。

  • 『最悪』『邪魔』に続く群像劇シリーズ。
    つながっているわけではないので単発でも読める。
    主要人物が複数名いて、ふとしたことをきっかけに人生が壊れていく。
    あーもうやめてあげて、っていう悲惨さ。
    でも完全に他人事とは思えないんだよなぁ。
    明日は我が身、謙虚に生きよう。

  • 疲弊し発展のない地方都市に暮らす5人の人々。生活保護担当で仕事にうんざりしているケースワーカー、東京での大学生活を夢見る女子高生、宗教に依存するバツイチ中年女性など、閉塞感のある町でなんとか現状を抜けだしたい、変わりたいとする彼等は、今の時代に生きる人々の縮図のよう。必死なのにどこか愚かな彼らの姿は、リアルでそして救いがない。それでも面白く読めてしまうのが奥田作品なのかも。

    5人の登場人物が少しずつクロスしてくるのも、ミステリーの手法というよりは、この土地の閉塞感を醸し出すのに非常に効果的。
    そして、全員がクロスするラストシーンは・・・無理!!

  • ゆめの市という、地方都市を舞台とした5人の群像劇

    大学入試を控えた女子高生。
    詐欺まがいの行為で漏電防止器を売りつける元暴走族の男。
    ゆめの市の生活保護担当をしている公務員。
    ゆめの市議会議員をしている男。
    ショッピングモールの保安員の女。

    徐々に交錯していくけど・・・・最後これでおわり?って感じ・・・

  • 初めての奥田作品。

    500ページを超える大作にもかかわらず、あっという間に読んでしまいました。とはいっても面白くてしょうがなかったというわけではなく、なんか微妙な読後感です。

    題名のとおり、いろんな意味で『無理』です・・・

  • 合併して日の浅い「ゆめの市」に住む5人。
    県庁から出向で市役所の社会福祉課に勤める相原友則。東京の大学への進学を目指してる高校2年生の久保史恵。暴走族上がりでOBが作った詐欺会社で営業している加藤裕也。スーパーの万引きGメンをしている新興宗教にすがる堀部妙子。先代からの地盤を引き継いだ市議会議員山本順一。
    市内に住みながらも交わる事のなかった5人。それぞれの生活に少しずつ歪みが出てきて、引き返せないほど深みに埋まっていく。

    ゆめの市という市町村名とは対象に、どんよりとした雰囲気に包まれた街。格差、介護、引きこもり等、誰もが直面するかもしれない問題を凝縮したような作品。

  • 奥田英朗さんの再読が続いてますw。「邪魔」(2004.3文庫)、「最悪」(2002.9文庫)に次いで、「無理」(2009.9刊行)を読みました。この作品も543頁の長編です。今回もしばらくは「種まき」が続くと思いw、我慢覚悟で読み始めました。社会福祉事務所勤務の相原友則32歳、女子高生久保史恵17歳、悪徳セールスマン加藤裕也23歳、私服保安員服部妙子48歳、市会議員山本順一45歳、これら5名の身の周りの出来事、人間関係が延々と。いつまでたっても交錯せず・・・。502頁になって、突然5台の車の玉突き衝突が。

  • 分厚い本を頑張って読んだけれど、「ええ・・・」という読後。最後にどんでん返しか救いがあると思ったのに、この終わり方は受け入れられないなー。
    結局、世の中の世知辛さと人の身勝手さに、暗澹とした気持ちになっただけでした。

    地方の実情を描いた作品としてはありかもしれないけど、登場人物の誰にも好感を持てなかったので、個人的にはつまらなかったです。

  • 今の時代の社会問題をリアルに盛り込んだような物語。

    5人の人物ごとに物語は進んでいきます。
    それぞれが進もうとする未来には端から見れば「無理」があるが、
    でも出口の無い今の社会ではそれでもその道を進むしかなく、
    どんどん悪い方に転がっていく。

    リアルに怖い。

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著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『家日和』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』『ヴァラエティ』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。

「2017年 『新装版 ウランバーナの森』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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