無理

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 338
  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163285801

作品紹介・あらすじ

合併でできた地方都市、ゆめので暮らす5人。相原友則-弱者を主張する身勝手な市民に嫌気がさしているケースワーカー。久保史恵-東京の大学に進学し、この町を出ようと心に決めている高校2年生。加藤裕也-暴走族上がりで詐欺まがいの商品を売りつけるセールスマン。堀部妙子-スーパーの保安員をしながら新興宗教にすがる、孤独な48歳。山本順一-もっと大きな仕事がしたいと、県議会に打って出る腹づもりの市議会議員。出口のないこの社会で、彼らに未来は開けるのか。

感想・レビュー・書評

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  • 540ページ一気読み。
    いろんな無理が線になる話でした。

  • 「最悪」、「邪魔」に通じる奥田英朗の群像劇。
    装丁が似ていることからも、話のつながりはないながらも同じシリーズとみていいのだろうな。

    共通するのは、その時代のキーワードを巧みに織り込んであること。
    「無理」の場合は地方の空洞化、生活保護不正受給、主婦の援助交際、引きこもりといった時事問題が扱われている。

    現実に私たちが問題に感じていることだからこそ、それが主人公たちの物語にリアリティを与え、読者の感情移入を誘発する。

    主人公たちとは全く違う人生を送っているつもりでも、人間の性というか情念のような誰しも共通でも持っている部分を描いてあるから、読んでいて痛いところをつかれた感じになる。

    お互いにはつながりを意識することのない主人公たちだが、それぞれにどこかで糸がつながっていて、複雑に絡み合っている。
    結局狭い社会だ、という地方社会の象徴的に描かれているのかもしれないし、何人か友達の友達をたどれば大体の人とつながっている、というソーシャル時代を意識させる部分とも言える。

    一見関係ない主人公たちがひとつの事件に同時に巻き込まれる場面は、映画「マグノリア」のあの場面を彷彿とさせる転換点といえる。

    読んでいて決して楽しい小説ではないけれど、痛い痛いと言いながらも結局読んでしまう、読まされてしまうという意味では上質なエンタテインメントなのかもしれない。

  • 『最悪』『邪魔』に続く群像劇シリーズ。
    つながっているわけではないので単発でも読める。
    主要人物が複数名いて、ふとしたことをきっかけに人生が壊れていく。
    あーもうやめてあげて、っていう悲惨さ。
    でも完全に他人事とは思えないんだよなぁ。
    明日は我が身、謙虚に生きよう。

  • 疲弊し発展のない地方都市に暮らす5人の人々。生活保護担当で仕事にうんざりしているケースワーカー、東京での大学生活を夢見る女子高生、宗教に依存するバツイチ中年女性など、閉塞感のある町でなんとか現状を抜けだしたい、変わりたいとする彼等は、今の時代に生きる人々の縮図のよう。必死なのにどこか愚かな彼らの姿は、リアルでそして救いがない。それでも面白く読めてしまうのが奥田作品なのかも。

    5人の登場人物が少しずつクロスしてくるのも、ミステリーの手法というよりは、この土地の閉塞感を醸し出すのに非常に効果的。
    そして、全員がクロスするラストシーンは・・・無理!!

  • ゆめの市という、地方都市を舞台とした5人の群像劇

    大学入試を控えた女子高生。
    詐欺まがいの行為で漏電防止器を売りつける元暴走族の男。
    ゆめの市の生活保護担当をしている公務員。
    ゆめの市議会議員をしている男。
    ショッピングモールの保安員の女。

    徐々に交錯していくけど・・・・最後これでおわり?って感じ・・・

  • 初めての奥田作品。

    500ページを超える大作にもかかわらず、あっという間に読んでしまいました。とはいっても面白くてしょうがなかったというわけではなく、なんか微妙な読後感です。

    題名のとおり、いろんな意味で『無理』です・・・

  • 分厚い本を頑張って読んだけれど、「ええ・・・」という読後。最後にどんでん返しか救いがあると思ったのに、この終わり方は受け入れられないなー。
    結局、世の中の世知辛さと人の身勝手さに、暗澹とした気持ちになっただけでした。

    地方の実情を描いた作品としてはありかもしれないけど、登場人物の誰にも好感を持てなかったので、個人的にはつまらなかったです。

  • 今の時代の社会問題をリアルに盛り込んだような物語。

    5人の人物ごとに物語は進んでいきます。
    それぞれが進もうとする未来には端から見れば「無理」があるが、
    でも出口の無い今の社会ではそれでもその道を進むしかなく、
    どんどん悪い方に転がっていく。

    リアルに怖い。

  • 【昔読んだ本】
    奥田さんの2文字シリーズ大好き。
    長いけどぐいぐい読める。
    加速して加速して加速して…最後にははじけてしまう、なんかの事故みたいな物語。

  • 著者の作品「邪魔」「最悪」に似た作風。タイトルも似ている(初出時は「ゆめの」だったようだが)ので、著者も続編のつもりなんだろうか。群像劇の主人公達の人生が悲劇を超えてちょっと可笑しくなってしまうくらい想像を超えて暗転して行く。バラバラに進行していた5人の物語が1つの結末に収斂して行くところも似ているが、結末に関してはもう少しオチをつけて欲しかった感あり。しかしあえてこの出口の無さを描きたかったのかもしれない。その方が舞台の地方都市や「無理」というタイトルには相応しいような気もする。いずれにしても、結構なボリュームがありながら一気に読ませるストーリーテリングはさすが。その点は期待を裏切らない。

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プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『家日和』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』『ヴァラエティ』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。

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