まほろ駅前番外地

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 4792
感想 : 813
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163286006

作品紹介・あらすじ

第135回直木賞受賞作『まほろ駅前多田便利軒』での愉快な奴らが帰ってきた。多田・行天の物語とともに、星、曽根田のばあちゃん、由良、岡老人の細君が主人公となるスピンアウトストーリーを収録。

感想・レビュー・書評

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  • 前作『まほろ駅前多田便利軒』は読んでいたのだけれど、
    ドラマ化されるのはこちらの『番外地』のほうなのだと聞いて
    あわてて手に取った、またしても計画性のない私。(間に合ってよかった!)

    前作を読んだのはかなり前なのに、登場人物が皆、くっきりと印象に残っていて
    あれ?これって誰だっけ?という人が一人もいないあたりが
    敬愛する名作漫画で培われた、しをんちゃんのキャラクター造形の素晴らしさです♪

    若くして、裏の世界では冷徹な仕事ぶりで通っているのに
    イラつきながらもママには寛容で、恋人の清海にはバランスのとれた和食を作り
    サンドイッチのお弁当まで作って夏期講習に送り出し
    飼う気のなかった子猫のために猫用品をごっそり買い込んで帰宅する星くんが素敵。

    多田が息子のふりをして見舞っていた曾根田のおばあちゃんが
    「まほろばキネマ」の看板娘で、遠い昔、映画のような「ろまんす」に身を焦がしていたり

    バスの間引き運転追及が生き甲斐の岡老人の陰で、実は奥さんが
    聖母マリアの如き慈愛あふれる視線で多田と行天の仲を見守っていたり

    倍も年上の夫に恋し続けた挙句に死なれた未亡人に、多田が久しぶりに恋したり

    無関心な親に放置され続けている少年、由良のことは気にかけて
    なにかとちょっかいを出す行天が、泣き叫ぶ幼児には発作的に怒りを爆発させたり

    まほろの懐かしい面々が、思いもかけない過去や新しい一面を見せてくれて
    もう、楽しくてたまりません♪

    それにしても、多田の恋は発展途上のままだし、ラストの「なごりの月」に
    行天の今まで見えなかった一面を突如として垣間見せちゃってるし、
    しをんちゃんたら、続きを書く気満々ね?!と
    ファン心理をくすぐってやまない筆遣いが心憎い、『番外地』なのでした。

    • 円軌道の外さん

      ドラマ観てますか〜?

      もうめちゃめちゃ
      ハマってます(笑)(^O^)


      切なさと笑いが絶妙に絡まって
      平成の傷天(...

      ドラマ観てますか〜?

      もうめちゃめちゃ
      ハマってます(笑)(^O^)


      切なさと笑いが絶妙に絡まって
      平成の傷天(傷だらけの天使たち)として
      後世に語り継がれるドラマになりそうな予感が
      今からヒシヒシとしてます(笑)♪
      (ロケ地巡りしたいっ!)


      あっ、瑛太繋がりで
      木10の
      「最高の離婚」も
      イチオシです(笑)


      2013/01/28
    • まろんさん
      円軌道の外さん☆

      観てますよ~もちろん!
      ごちゃごちゃした事務所兼自宅(?)で
      うだうだしてるふたりを観るのが楽し過ぎて♪
      逆回しを使った...
      円軌道の外さん☆

      観てますよ~もちろん!
      ごちゃごちゃした事務所兼自宅(?)で
      うだうだしてるふたりを観るのが楽し過ぎて♪
      逆回しを使ったオープニングとか
      テーブルをはさんで向かい合ったふたりの
      何気ない仕草が可笑しくてしょうがないエンディングとか
      細部までものすごく凝っているのもうれしいですよね!

      そして「最高の離婚」も、張り切って観てますよ~。
      最初の、瑛太が歯医者さんで聞かれもしないのに
      奥さんの愚痴を延々としゃべりまくるシーンから
      くすくす笑い通しでした。
      あんなに無駄に饒舌な役って、瑛太にはめずらしいですよね。
      ドラマの内容に沿って、ちょっとずつ変わっていくエンディングも素敵♪
      2013/01/28
  • このシリーズ大好きだ
    また多田・行天コンビに会えた

    どうしてこのシリーズが好きなんだろう?と考えた 
    多少の差はあれ人間誰しも陰陽両面を抱えている 
    生真面目な多田と破茶滅茶な行天の漫才コンビのようなおもしろさもさることながら
    多田・行天二人の陰の部分が読者を切なくさせ、放っておけない気にさせるのではないだろうか

    あれから二年
    実直に仕事をこなし少しずつ業績を伸ばしつつある多田 
    仕事はチャランポランだが、金剛力士像の吽形みたいな肉体を手に入れようと筋トレに励む行天

    二人とも相変わらずのようだが、横中バスの間引き運転を疑って止まない岡さんの奥さんは、多田の微妙な変化にちゃんと気付いている
    寡黙でどこかさびしげだった多田の口数が増え表情が豊かになったと

    しかし、子守の最中に見せた今まで見せたことがなかった行天の豹変ぶり 少しは行天のことを分かった気になっていたが、何も分かっていなかったと気づく
    行天が暗いなにかを抱え、必死になにかと戦っているのだとはじめて心から知った多田

    前作で、幼い我が子を亡くした深い傷を負う多田に行天がかけた言葉

    『すべてが元通りとはいかなくても修復することはできる』

    今回は多田が心の中で、行天に同じ言葉をかけている

    ますます目が離せない二人の絆、傷は完全に消えることはなくても、カサブタとなってポロリと剥がれ落ち、前を向いて歩けるようになって欲しいなと願うばかりだ

    シリーズ第三弾へ


  •  「まほろ」続編。やっと読めた。
     前作からだいぶ時間が空いてしまったけれど、曾根田のばあちゃんや岡夫婦や由良公の名前と前作のちょこっとしたエピソードを読んで、「ああー、そうだったそうだった。」とすぐに思い出せる。ルルたちも元気そうで良かった。


     岡夫人視点の話では、昔の多田があんなに暗かったのだと知ってびっくり。行天のほうは、前作にいろいろと含みがあったから、多田と暮らすようになって変わっていったんだなあって、実感していたんだけど、多田も行天と一緒にいることで変化していったのね。それはよかった。

     
     家族でも恋人でもなく、友人でもない多田と行天。細く薄い結びつき。
    行き場もなく、一緒にいたい相手もなく、「行天でも、まあいないよりはまし」と考えて、行天と一緒にいる多田だけど、はてさて行天の方はどうなのか。


     チワワにケーキを食わせようとしたり、
    便秘になると食欲が増したり、
    いきなり多田の運転する軽トラから飛び降りて由良公を追いかけたり、
    なぜかやたら歌がうまかったり、
    ありえないくらいケンカが強かったり、
    なぜかいきなり筋トレを始めたり、
    正月にはやたら立派な門松を欲しがったり、
    金剛力士像の吽形を目指すから、多田には阿形になれといったり、

    はたから見ると、ハチャメチャな言動をとる行天。けれど、彼はいまだいえない傷と狂気を内に秘める存在。


     多田と行天には、これからも離れないでいて欲しいと願う。
     お互いを大事だと感じる気持ちがあれば、家族や恋人や友人といった言葉を越えて、そこにはとても低音だがしぶとく存在する「愛」が存在するのだと私は信じたいから。

    と、いうわけで、続編期待します。

  • 久しぶりの再読。
    番外地というタイトルだけあって、脇役陣を視点にした話が中心。
    まほろの裏社会を若くして牛耳る星くんの意外な生活や考え、小学五年生にして人生を達観した感のある由良が行天に出会うことによってもたらされた不運な一日、曽根田のばあちゃんの若き日のロマンス、横バス間引き運転摘発に執念を燃やす岡と振り回される便利屋を見つめる岡夫人。
    いずれも彼らのドラマとしても良かったし、彼らから見る多田と行天も新鮮だった。
    終盤は行天のセンシティブな部分がクローズアップされる。これが次の『狂奏曲』でどう展開するのか。そして多田の恋は?→こっちは個人的にはあまり興味なし。どちらかというと、多田と行天との絆の方が興味ある。

    • さてさてさん
      fukuさん、こんにちは!
      いつもありがとうございます。
      私もようやくこの作品読みました。fukuさんは次の狂想曲も読み終えられているようで...
      fukuさん、こんにちは!
      いつもありがとうございます。
      私もようやくこの作品読みました。fukuさんは次の狂想曲も読み終えられているようですが、この番外地も面白かったです。書かれているように『彼らから見る多田と行天』という視点良かったです。この点では岡夫人視点がいいなと。私も狂想曲へ読み進めたいと思います。

      今後ともよろしくお願いします。
      2020/06/07
    • fukuさん
      さてさてさん
      コメントありがとうございます。
      このシリーズは良いですね。多田と行天、それぞれの個性が上手く互いを補いあって支え合ってる感...
      さてさてさん
      コメントありがとうございます。
      このシリーズは良いですね。多田と行天、それぞれの個性が上手く互いを補いあって支え合ってる感じが好きです。
      この作品では脇役たちから見た二人の様子が新鮮で脇役たちが何を思い何を感じているのかの一端も知ることが出来て良かったです。
      次の作品もお楽しみ下さい。
      こちらこそ、今後も宜しくお願いします。
      2020/06/07
  • 「バイバーイ」と、別れた後、
    また、すぐにでも会いたくなっちゃう感じのふたりだなぁ~と、思った。

    便利屋稼業の多田と、行天。
    番外地編から出会った私は、このふたりの過去については、何ひとつ知らないが、
    暗く、重い何かがあった事を仄めかせつつも、
    不穏な陰が物語を覆ってしまう事など、まるで無かった。

    逆に、
    キレイごとを並べる必要など無くても、
    ごく自然に二人の周りに集まってくる人達との関わりを見てると、
    両者の間にしっかり結ばれている絆、は浮かび上がってくる。
    どこまで行っても、何をしても反発しあう、対称的な二人だが、
    物語の底のほうで、しっかり根付いているお互いへの信頼が、
    まほろ町を温かく照らす、柔らかい灯りになっている様な気がした。

    とにかく、
    本を閉じて「バイバイ」はしたが、
    またすぐにでも二人に会いたい!
    とんでもなく魅力的な便利屋稼業さん達の物語♪

  • まほろ駅前多田便利軒の番外編的本書.
    悪いのに憎めない、そんな人がたくさんでてくる.
    人情やさんの多田さん、行天はまだまだ何かを隠し持っていそうな感じ.

  • シリーズ2作目。今回は第1作目に登場した人物を主人公にした短編集。1作目より、登場人物に愛着が湧いてきて、段々面白く思えてきた。多田や行天も一筋縄では行かないが、多田便利軒に依頼を寄せる依頼人たちも、凡人じゃない!ハードボイルドでもなく、悪い人も出てこない、気楽に読める作品。

  • 前作の登場人物を絡めての番外。
    もっとはやく読めばよかった~
    と、思ったくらい
    前作の登場人物とのつながりとその後の経過がいい感じ。

    親のいぬ間に一人を楽しむ少年由良公の災難。
    観察する岡夫人。
    曽根田のおばぁちゃんの妄想がらみの昔話。
    どれもうまく多田と行天が関わってくる。

    人に対して、仕事でもプライベートでも
    薄いベールをかけているような多田。
    一か所だけ壁が厚くなってるようなバランスの悪い行天。

    彼らを読むと
    幸せの形はそれぞれなんだなぁと思う。

    苦しんで泣いて、ちょっと笑ってときめく。
    生きてるってことが
    何よりも大事。

  • 前作を読んでからすぐ取り掛かったのが良かったのか、今回は文体に苦戦するでもなくすらすら読み終わった。多田便利軒の周りの人たちの日常にあの二人が絡んでいく、という形が良かった。
    岡夫人の話と、最後の話、星君の日常が微笑ましかった(笑)

    行天が美蘭に向けて放った一言は、きっと行天に向けられた言葉であり、もう誰にも救えない幼い日々の中からの悲鳴なのだろう。
    その気持ちが分かる気がするから、あのお話は、あの話だけは、苦くてあの一冊のなかで一際深く残っている。

  •  「まほろ駅前多田便利軒」の番外編。
     本編に出てきた、主人公多田や居候行天、そのほか多田便利軒に依頼してきた客や何故か絡むことになってしまった人々の7つの短編から成っています。多田や行天など、過去の出来事が影を落としていながらも、読み進めていくうちに奥底にある温かさ、優しさを感じます。三浦しをんさんは文章で仄かな人の優しさを表現なさっているなぁと感じました。
     本当に、三浦さんの小説ってエッセイとは別人(笑)。

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○(まる)』でデビュー。以後、『月魚』『ロマンス小説の七日間』『秘密の花園』などの小説を発表。『悶絶スパイラル』『あやつられ文楽鑑賞』『本屋さんで待ちあわせ』など、エッセイ集も注目を集める。06年『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞を、12年『舟を編む』で本屋大賞を、15年『あの家に暮らす四人の女』で織田作之助賞を受賞。ほかの小説として『むかしのはなし』『風が強く吹いている』『仏果を得ず』『光』『神去なあなあ日常』『天国旅行』『木暮荘物語』『政と源』などがある。

「2021年 『ののはな通信』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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