きみ去りしのち

  • 文藝春秋 (2010年2月12日発売)
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本 ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784163289106

感想・レビュー・書評

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  • 1歳の誕生日を迎えたばかりの息子の突然死により、自身を責め続ける夫婦。妻はふたりで過ごす時間が辛いと言う。

    夫は休職届けを出し、巡礼の旅に出る。
    そこに前妻との間に出来た娘 明日香が加わり、ふたりのぎこちない旅が始まる。

    前妻であり明日香の母親でもある美恵子も癌で余命宣告されている。
    恐山、奥尻島、知床、阿蘇、京都、奈良、琴ヶ浜、出雲、与那国島、島原・・・

    大切な人を失い、行き場をなくした想いに寄り添う風景と語り。
    2013年の本作の文庫化(文春)にあたり、(初版は2010年、東日本大震災より前に刊行された)単行本から主人公の独白部分が削除されるなど、重松氏の中でも変化があったようだ。

    重く訴えかけるような文章はひとつひとつ、絞り出すように紡がれているように思う。

    あの日から3年。3.11に読み終えた本です。
    阪神大震災を経験し、これを超える規模の地震は生涯ないだろうと思っていたのに、東日本大震災が起きてしまった。全てを失ってしまった人がたくさんいる。

    幸い、私の大切な人達は誰ひとり欠けることなく、今も元気でいてくれるけど、この先失うことはあるかもしれない。

    なんでもない日常のありがたさを噛み締めるとともに、今も悲しみから抜け出せずにいる人々が少しでも明るい方を向けるように。祈るような気持ちで読み終えました。

    • koshoujiさん
      こんにちは。
      この本、私は重松氏の作品の中で最も好きな作品です。
      特に明日香のキャラが良くて、最後は大泣きでした。
      で、ちょっとお節介...
      こんにちは。
      この本、私は重松氏の作品の中で最も好きな作品です。
      特に明日香のキャラが良くて、最後は大泣きでした。
      で、ちょっとお節介かもしれませんが気になったので。

      >重松氏が本作を執筆している最中、東日本大震災が起こった。

      と書かれていますが、この本は東日本大震災よりだいぶ前に書かれた作品では?
      発刊年も2010年になっているはずですが。
      失礼しました。<(_ _)>
      2014/03/13
    • hetarebooksさん
      koshoujiさん

      こんにちは。いつも花丸をありがとうございます。

      ご指摘いただき、見直してみたら私の読んだもの(文庫版)が2...
      koshoujiさん

      こんにちは。いつも花丸をありがとうございます。

      ご指摘いただき、見直してみたら私の読んだもの(文庫版)が2013年発売だっただけですね。
      すみません。

      仕事の合間に慌ててレビューを書いたもので、情報が不確かでした。
      2014/03/13
    • koshoujiさん
      こんにちは。
      なるほど、東日本大震災を色々な意味で重くとらえている重松氏が、文庫化にあたり、内容をかなり修正しているのですね。
      主人公の...
      こんにちは。
      なるほど、東日本大震災を色々な意味で重くとらえている重松氏が、文庫化にあたり、内容をかなり修正しているのですね。
      主人公の独白部分など、どこが直されたのか気になるところではあります。
      私の持っている単行本と文庫を読み比べてみたいです。
      2014/03/15
  • 重松さんの作品は「死」をテーマにしたものが多いけれど
    どれもズンとした重さではなく
    それでいて、胸にグッとくるような深さがあって
    本当に素晴らしい作家さんだといつも思う。


    大切な人を亡くした悲しみ。

    大切な人が、亡くなってしまう恐怖。

    そしてその辛さが薄れていく罪悪感。


    それらを色んな方向から表現し、ふんわりと答えを出してくれる
    そんな一冊です。

    自分自身にも、同じような経験があるからなのか
    すごく感情移入しつつ、色んな事を考えさせられました。

    その中で一番心に残った箇所は
    「忘れることと、思い出さなくなることは違う」
    というところ。

    大切な人を失い、悲しくて悲しくて仕方ないけれど
    人は永遠に泣き続ける事はできなくて、
    少しずつ思い出す時間が少なくなってくる。
    悲しみが癒える事は嬉しいはずなのに
    その事が、逆に苦しみを生みだすこともある。

    私も「絶対に忘れない」と思いながらも
    毎日の生活の中で、思い出さない日が増えていくことに
    罪悪感を覚えた事があります。

    けれど、この本を読んで、思い出さない日が増えたとしても
    それはその人の事を忘れたこととは違うんだと思えて
    少し心が軽くなりました。

    もし、大切な人を亡くして、辛い思いをしている人がいるなら
    是非読んで欲しい1冊です。

  • 満1歳になってすぐ亡くなった子どもの父親42歳のセキネが主人公。別れた妻のところに残してきた娘、明日香とともに旅をしていく物語。
    読了後、時間が経過してるが、凄く印象深く残ってる本でもある。
    「いのち」の重さだろう。『その日のまえに』でも涙したが、今回も読み始めよりいきなり、幼子の死から始まり・・・重くってしんどくって、それでも読み進める中で、恐山・奥尻島・知床・阿蘇・吉野・出雲・与那国島・島原と一緒に旅してるような描写。
    オホーツク海「ドーン」と流氷の音が、今でも胸に響いてる。
    そんな自然にセキネも明日香も救われていく姿に涙した。

    • vilureefさん
      こんにちは。

      タイトルだけで、もうやられちゃいますね。
      重松さん、最近遠ざかっていましたが読みたくなりました。
      ハンカチ必須ですね...
      こんにちは。

      タイトルだけで、もうやられちゃいますね。
      重松さん、最近遠ざかっていましたが読みたくなりました。
      ハンカチ必須ですね(^_-)-☆
      2013/08/23
    • happykyoさん
      vilureefさんへ

      コメントありがとうございました。
      ネタバレになるから、触れてませんが 本当 最後もずっしりと悲しい場面があり...
      vilureefさんへ

      コメントありがとうございました。
      ネタバレになるから、触れてませんが 本当 最後もずっしりと悲しい場面がありますが、
      綺麗な景色が目に浮かび癒してくれますよ。
      是非、読んでみて下さいね。
      重松さんの作品は、どれも心に残るし考えさせられますね。凄い作家さんですね♪
      2013/08/27
  • ついさっき、車の中で聴いたNHKのラジオドラマが凄く良かったので。
    西田敏行さんの味わいのある演技が印象的で、
    物語の人間模様も個人的に共感?出来るものだった。
    原作も読んでみたい。

    • koshoujiさん
      花丸たくさんいただき、ありがとうございます。
      この本は重松氏の著作の中でも、かなりお気に入りの作品です。
      図書館から借りて感動、号泣した...
      花丸たくさんいただき、ありがとうございます。
      この本は重松氏の著作の中でも、かなりお気に入りの作品です。
      図書館から借りて感動、号泣したので、宝物のような本だと思い、後に購入しました。
      是非、ご一読ください。
      2012/12/18
  • テーマは「家族」、「死」。
    死は別れではなく、向こうで待っていてくれている。
    悔んでばかりいてはいけない と、生きる元気をくれる作品でした。

    とても切ない、けれどこれは読んでおいた方がよい作品だと思いました。
    重松氏らしい作品でした。

  • ―――どれだけ歩きつづければ、別れを受け容れられるのだろう。
    幼い息子を喪った父、“その日”を前にした母に寄り添う少女。
    生と死がこだまする、ふたりの巡礼の旅。
    再生への祈りをこめて描かれた傑作長編小説。

    やすこからのプレゼント
    ありがてぇ

    久々に重たい重松清を読んだ

    一番身近な人が旅立ってしまったら
    自分はいったいどうするんだろう
    忘れるのか、慣れるのか、許すのか

    ずっと来なければいいと思っても
    どんな人にも訪れる「その時」を
    安らかに迎えられればなぁ、と思う

    「寂しさをじょうずに育てたら優しさになる」
    「自分をひっくり返してくれる風景に出会う」
    とか胸に響く言葉がちりばめられてる

  • これが死の世界なのだと言われたら、信じる。
    けれど、これが生の始まりの風景なのだと言われても、信じる。

    • koshoujiさん
      初めまして。
      この本は私の中では墓場まで持っていく一冊です。
      それほど感動しました。
      最後は涙がとまりませんでした。
      初めまして。
      この本は私の中では墓場まで持っていく一冊です。
      それほど感動しました。
      最後は涙がとまりませんでした。
      2012/06/20
  • なぜこの本を選んでしまったのだろう…家族もいないのだからわかるはずがないじゃないか。
    だから読後の感想と言われても何も語ることがない、ただ重くて辛くてそれなのに美しい話であったと言うことだけだ。
    流氷の街から最西端の島まで旅をする情景はどれもが美しく特に燃え盛る炎の中で最期の時を心に刻み込むように火消し棒を振るう阿蘇の野焼きでの母娘の姿には理由も分からぬまま涙が出た。
    人は生まれそして死に行く…その死生観は重松さんが追い続けるテーマ、それでもそれを押し付けないことがこの人の本の良さなのだろうと思う。もちろん知ったか振りなのだが

  • 「なぜ」「もしも」と自分を詰り、悔やみ、少し相手を責めてしまう主人公と妻の姿は哀しい。だから主人公が旅を通じて、亡くした息子に「さようなら」「ごめんね」だけではなくて「ありがとう」と伝えたいと思えるようになったことがうれしかった。
    忘れる必要も乗り越える必要もなくて、ただ少しずつ日々を笑って過ごせるようになればいい。そう思う。

    • koshoujiさん
      こんにちは。
      この本、私は名作だと思うのです。
      大好きな作品です。
      重松清の数多ある作品のなかでも、これほど心の底を揺さぶり、
      しみ...
      こんにちは。
      この本、私は名作だと思うのです。
      大好きな作品です。
      重松清の数多ある作品のなかでも、これほど心の底を揺さぶり、
      しみじみと響いてくる作品は数少ないのではないかと。
      健気に、精一杯、虚勢を張りながら、
      セキネさん、と言い続ける女の子の姿が目に浮かび、
      母親を亡くしたあとの彼女を思うと、涙が止まりませんでした。
      2013/03/14
  • 図書館にて。

    旅をしている。
    で、それぞれの章が始まり、色々な土地で、様々な人と接していき、心の動きを見ていく。
    死をテーマにしているけど、決して重くなく、最後まで読み切った後の感じは、天使の階段をみたときのような気分になった。

    優しい気持ちになれる本。

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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