愛しいひと

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163289304

感想・レビュー・書評

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  • 突然夫が失踪した。
    大学生の息子も出ていってしまう。
    なんだか同情したくなるような話だけど、主人公の睦子に全く感情移入ができずイライラ。
    最後もなんだか不完全燃焼といった感じで、いまいちだったかなあ。

  • ある日、突然に夫が失踪。そして、大学生の息子までも…毎日、夜には家に帰って来て、家族が揃うのが当たり前だと思ってた。でも、主人公のように、人に対する感情が、そのときどきの自分の都合で、まわりを振り回すようだと、ひとりぼっちになるのも、有り得ない話じゃないなぁ…と。今の自分を反省して、自分も変わらなきゃいけないなと思いました。

  • 欠かさず読んでいる明野照葉さんの長編小説です。

    どこにでもある様な一見平凡な3人家族 夫・妻・息子、傍から見ても幸せそうな家族に一体何が起こったのか… 。

    他人事では無く、自分に置き換えて考えてもいつ何時起こりうるかも知れない出来事で身に積まされる部分もありました。

    いつもながら人物描写も丁寧で最後まで展開が気になって飽きる事無く読み進めました。

    明野さんの作品はやっぱり目が離せないです。

  • 夫の突然の失踪。
    理由もわからず、途方に暮れる妻の睦子。

    息子の大学生の直也は、そのことに関心が薄く
    さっさと家を出て行ったきり連絡も途絶えた。

    結婚してからずっと専業主婦としてやってきた睦子が
    将来のことを考えてなんとか職を手にして
    今までの自分の姿を見つめなおす過程。

    現実世界から逃げてしまった
    ホームレスとなった瞭平の今までは考えられない生活。

    ゴミだらけのまま強制退去させられた息子直也の
    抜け殻になったアパートの一室を見て
    我に返って地上生活に戻るまで。

    暗くて読んでいると気分が落ち込む。
    わかってたけど最後が明るい未来でよかった。

    不自由ない生活でも理由もなしに
    失踪してしまう心の空洞がリアルで切ない。
    脳の機能変調だね、みなさんお疲れ様です。)^o^(何

  • なんの理由も無く失踪した夫と、その夫を待ち続ける妻。
    それぞれの立場から語られながら物語は進む。
    なんの理由が無く失踪するのはともかく、葛藤が描かれず軽い。
    待ち続ける妻もいまひとつその心情が分からない。
    ひとり息子も何を考えているのか分からず、行動も軽い。
    結末はご都合主義で軽い。

  • 一流企業に勤める夫が50歳を目前に失踪した。
    妻の睦子は自分に落ち度があつたのかと戸惑い、懊悩し、それでも仕事を探して働きに出る。
    だがそこで直面したのは、社会の厳しさだった。
    一方、夫の瞭平はホームレスとなっていた―。
    夫の失踪をきっかけに夫婦それぞれの人生を見つめなおす、再生の物語。
    (アマゾンより引用)

    何かどこにでもありそうなごく普通の家庭内の話で(´・ω・`)
    愛情がないわけじゃないけど、相手を顧みなくなったり自分中心になったり。
    そんなとき旦那さんの心境は如何ばかりかと…

  • 面白かったけど直也とは溝が埋まるとは思えないような気がした

  • 思いのほか、最後はほっこりな感じで終わって、いつものドロドロしたのを期待してた私は、ちょっと拍子抜けしたかも^^;

    でも直也はちゃんと立ち直るのか…??

  • 家庭的にも社会的にも、外から見る限り何の問題もなく、表面的には幸せな家庭を持っている笠松瞭平がある日突然失踪した。
    自宅にも戻らず会社も欠勤のまま何カ月かが過ぎ、妻である睦子は、しぶしぶ夫の依願退職の形をとった。
    いったい夫はどうしたのだろう?
    睦子の悩みと苦悩はいつまでも続き、残された一人息子もまたそんな家庭が嫌になったのか、一人暮らしを始めだした。
    一方、「突然頭が真っ白になって」本来自分のいるべきところに戻れなくなった瞭平は、自由気ままなその日暮らしをしていた。どうしても家庭に戻れないのが、自分でも不思議に思いながら・・・。
    そして2年・・・ある転機が訪れる。

    50歳前のサラリーマンの心の闇を小説の題材にしたように想う。主人公は専業主婦の睦子だが、瞭平の目線で語られる章もあり、「ああ、50歳前のサラリーマンの心の中はこうなのか」と納得のいく場面も多々あった。それを表に出さないから、睦子にも何も伝わらなく、専業主婦のままのちょっと偏ったものの考え方に、息子もついていけなくなったのだろう。
    自分一人で生きていかねばならないと悟った時、睦子は働きに出だした。そして、社会に触れ、今一度、社会人としての考え方を身につけるようになった。いつ愛しいひとが帰って来てもいいように・・・と。
    ひたすら夫を待ち続ける睦子が健気に思える。

    転機が訪れるきっかけになったのは、瞭平の実母が瞭平に預けた大事な鍵であった。最後の方で、瞭平と会ってこれまでの経緯を話しあったのも、彼の実姉である。なぜ、夫婦である睦子では解決できなかったのだろう。それだけ、妻の睦子に対して悪かったと思っていたから、できなかったのだろうか。

    文章も読みやすく、ストーリー展開もハラハラで、面白く読めたが、
    しっかりと成長した睦子に対して、瞭平がもう少し自分の口から事件のあらましを述べられるまでに、立ち直っていて欲しかった。

  • ・順調に人生を過ごしてきた一人の男が突然自分の人生に嫌気がさした。というよりは自分はただ世間に流されているだけだと感じホームレスになった。

    ・桜がきれいと感じるのは、昔の人は寿命が短かったのでまた桜が見れたと感じるからだ

    ・地戻る:先祖がえりのこと

    ・主人公の50才女性は、家出した主人と息子への愛を再確認し会える見通しが立ったところで完

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著者プロフィール

明野照葉

東京都生まれ。一九九八年、「雨女」で第三十七回オール讀物推理小説新人賞を受賞。二〇〇〇年、『輪廻RINKAI』で第七回松本清張賞を受賞、一躍、注目を集める。ホラーやサスペンスタッチの作品を得意とし、女性の心理を描いた独自の作風はファンを魅了してやまない。『汝の名』『骨肉』『聖域』『冷ややかな肌』『廃墟のとき』『禁断』『その妻』『チャコズガーデン』(以上中公文庫)、『女神』『さえずる舌』『愛しいひと』『家族トランプ』『東京ヴィレッジ』『そっと覗いてみてごらん』など著作多数。

「2020年 『新装版 汝の名』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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