虚擬街頭漂流記

  • 文藝春秋 (2010年4月13日発売)
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感想 : 16
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  • 本 ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163289601

感想・レビュー・書評

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  • VRという題材を活かした実に巧妙なミステリ。Who, How, Whyどれもよく練られている。物語の構成も見事だ。そして日本での刊行が2010年であったことを知り驚く。華文ミステリの台頭は最近のことだと思っていたが、当時からこんな作品が執筆・翻訳されていたとは。2015年以降は台湾でも新作を出していないらしいのが残念だ。

  • 仮想空間で産み育てていた死んだ娘が間違って人を殺してしまったという話。縁は仮想であっても義理であっても、血の濃さではなくその人その人の性格・資質によるところが大きいのだろうなあと感じた。

    ギミックとしては、仮想空間で現実の80%の力が出せるというのがやや疑問だった。相対的な制限ではなく絶対的な制限(○○キロ以下)を設けるのが、MITでドクターまで取った研究者なら、やることなのではないかと。それもソフトウェアではなく現実世界のハードウェア側に。ただそこを制限してしまうと殺人事件が起こらなくなってしまうから無理なのかな。まあそこがやや不満だったので☆4です。

  • 最後だけ面白かった

  • バーチャル空間での殺人事件を扱った近未来SFミステリ。読者を騙すための仕掛けがいくつも折り重なって最終的に円環構造となり、結果として物語性を惹き立てることにも繋がっているのが素晴らしいです。感動とはまた違う美しすぎる悲劇でした。普通のミステリとは異なる舞台装置に拘ったことが、犯人その他の真相部分を逆に気付かせやすくしてしまった感が無きにしも非ずですが、それにしたって伏線から導くロジックで十二分に魅せてくれます。台湾ミステリにも関わらず、日本の小説と殆ど変らない感覚で読めてしまう訳者の力量も何気に評価されて然るべき。

  • ■第1回島田荘司推理小説賞の受賞作品って帯のキャッチを見て思わず借りちゃったんだけど、読み始めてみると台湾の作家の作品だった。なので、地名とか人名がすっと入って来なくいんだよね。だから最初はちょっと苦戦した。(笑)

    ■舞台が近未来の台湾なので、SF風味のミステリーとしてもなかなか。あちこちにトラップが仕掛けてあって、読み終わるころには結末はなんとなくわかっていたのに、それでもやられた感たっぷりで読み応え充分。その上、読後は『感動!』って感じになること間違いなし。

    ■週末の忘年会@温泉に持ち込んで読了。

  • ヴァーチャルリアリティと現実世界、過去と現在が交錯して... とややこしそうな設定ではありましたが、それほど難解ではなく分かりやすかったです。読後はスッキリ。なるほど島田荘司っぽいなあと思いました。

  • ヴァーチャルストリートで起きた殺人事件、現実の都市の過去の姿を模したその仮想都市で実際に何が起こったのか…?凝った設定と緻密な展開、途中一瞬「ああそういうことか、ありきたり」と早とちりしかけましたが、実際にはそんな浅い読みを裏切る“一枚上手”なミステリになってて、非常に面白い。ネットを利用した生活が当たり前になっている世代には読みやすい、SFになりすぎていないリアルさが良い。台湾物ということで普通の海外ミステリとは翻訳の雰囲気も異なりますが、漢字表記にカタカナルビで中華世界の香りがきちんと出ていたのも良かったです。

  • 第1回島田荘司小説賞受賞の台湾ミステリ。仮想空間での殺人というSF的設定に隠された端正な仕掛けに大満足。さらにその仕掛けが小説全体の主題と密接に結びついているのも素晴らしい。すごいぞ台湾ミステリ!!。

  • ヴァーチャルと云うものが、それほど実際に全く縁遠いものでもなくなりつつある昨今。
    そしてSFのガジェットとしてはもう、全然目新しいものではなくなっている昨今。
    ただその仕掛けをどのようにして利用するか、その利用の仕方にアイディアが要求され得る訳ですが、解説によるとこの物語ではそれが斬新であった、とのことです。
    私はミステリもSFも両方ともに詳しくないし、何が「新し」く、「本格」かとかよく判らないので、プロがそう云うならそうなのでしょうが、何となく割り切れないと云うか。
    何となく、どうしようもなく、「物語の為の殺人」と思えてしまいました。
    ミステリとしての仕掛けが凝っていればいるほどそう思えてしまうジレンマがあるのかもしれませんが。
    しかも、ある一つの謎が解かれずに残っていると云うのは、「本格」としてはありなのか、と思うのですが、どうなのでしょうか。

    SFとしては、ヴァーチャルやAIなどもう少しで実現出来そうなガジェットを使いつつも、全体的に80年代っぽい雰囲気を醸しているのは、面白かったです。

  •  仮想空間で発生した殺人事件の謎を追う、SFちっくなミステリ。著者は台湾人で、本作は第一回島田荘司推理小説賞の受賞作の翻訳。

     小道具やトリックとして、実用化寸前の仮想空間やバーチャルペットを用いているが、とてもSFと呼べるレベルではない。そのためミステリとして読もうとするが、登場人物たちの思考や振る舞いが、台湾人のもともとの気質なのか、小説としての設定なのかよくわからず、話を楽しめないまま、いつの間にか解決してしまっていた。

     終盤になって、小説に仕込まれたもう一つの仕掛けが明らかになり、これはこれでミステリとして有りかな、と思うのだが、全体としてぱっとしないB級映画を見せられた感じ。

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