路地裏ビルヂング

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 190
レビュー : 48
  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163293400

作品紹介・あらすじ

毎日すれ違うけど名前も知らないふしぎな距離感。同じおんぼろビルで働く人々のそんな関係から生まれる、日常のドラマを描く6篇の雑居小説。

感想・レビュー・書評

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  • これまた久しぶりの再読。この頃の三羽さん、好きだなぁ。三羽さんはこういうプロレタリア系文芸が似合うように感じる。いわゆるお仕事小説ではなくてプロレタリア系ですよ、念の為。
    デビュー作の「太陽がイッパイいっぱい」はかなりプロレタリア系に寄った作品だったが、この頃になるとだいぶ熟れて文芸寄りになっている。

    タイトル通り入り組んだ路地の奥にある<辻堂ビルヂング>が舞台。「ビルヂング」というビル名でも分かるように築半世紀のオンボロビルだ。
    その中に入っている様々なテナントで働く人々の話を連作方式で描く。

    怪しい健康食品・グッズ販売の会社で働くことになった、六ヶ月だけ働いて失業保険を貰おうという甘い考えの男。
    夜間働く女性や外国人まで様々な人々が子供を預けにくる認可外保育園で働く、保育士資格のない中年パート女性。
    零細不動産会社の分室で働く、空回りし続ける電話営業を主にしている女性社員。
    教材から問題まで自分で作らなければならない小さな塾で教える、正雇用でない講師。
    大手代理店の下請けの下請けで喘ぐ小さな広告デザイン事務所で働く、がむしゃらな営業マン。

    それぞれの主人公は端から見れば、例えば健康食品会社の加藤は下品で騒がしく乱暴で、塾講師の通称エンピツは陰気で覇気がないし、広告デザイン事務所の江草は体育会系で圧が強く鬱陶しい。
    だがそれぞれの視点の話を読むと、それぞれ思い悩み藻掻き喘いで、そして時に喜びや発見がある。

    個人的には中身を知らなければ絶対にお近づきになりたくないタイプの健康食品会社の加藤が読み進むにつれてどんどん魅力的になって好きだった。

    『頑張ってない奴なんていないんだよ』

    端から見ただけじゃ分からない。皆頑張っている。

  • 6階建てのオンボロビルには6つのテナントが入っている。どれも小さな会社で、働いている人はどこか満たされない気持ちで働く。そんな人達の連作短編集。限られた環境の中で、それぞれ目標や存在意義を見つけ出す主人公達の気持ちが伝わる作品でした。ちょっと哀愁を漂わせつつ、人情味あふれる温かさも残してくれるラストも良かったです。

  • 路地裏にある雑居ビル辻堂ビルヂング。
    そこに入った店子の面々の連作短編。
    みんなそれぞれ、悩み考え、足踏みをしてる。ひとつずつのストーリーの中で、最後は前を向き歩きだそうというする展開に、胸をグッとつかまれました。
    各ストーリー事に、沁みるフレーズが溢れ、自分も頑張ろう!と言う気持ちにさせられます。
    そのフレーズをかみしめながら読み進めました。

    最後の章で、辻堂ビルヂングの歴史が語られ、一緒に歩んできたコースケさんと共に、そこにあって然るべき存在として、新しい形になって残った姿に、お疲れ様と言ってあげたくなりました。

  • 初読み作家。連作短編集。
    築50年にもなる「辻堂ビルヂング」には、無認可保育園、学習塾、不動産屋、健康食品販売、広告代理店が2F~6Fまで入居する。それぞれの会社(フロアー)の人物を中心に1章~5章まで進み、最終章では売り物がころころ変わる1階の料理店に焦点を当て、辻堂ビルヂング誕生の話を描く。
    ひょんなことから、他のフロアーの人たちとの交流が芽生えるが、利害関係のない人たちが自然に集う飲み屋はいいものだなと。料理店のガンジャのキャラクターが良かった。

  • おんぼろビルを舞台にした店子達の物語。6篇の雑居小説、ひとつ読むごとに、おんぼろビルと彼等の事が好きになっていきました。
    意地っ張り、不真面目、そんな部分が全面に出ていてその正直さがかえって好ましい。
    若造、おばさん、おじいちゃんなど幅広い年代の人物目線で書かれていますが、ずっと若造みたいな語り口だったのが残念。1話ごとに雰囲気ががらっと変わると良かったな。

  • いかにもボロいビルにこれまた人生終わりの人ばかりが集まり、何故だか良い方向に歩き出す。道祖神の力か、辻に建っているビルの力か?人生の辻道物語

  • 辻堂ビルヂングという名の雑居ビルに集う店子達の悲喜こもごもを描いたハートウォーミングストーリー。特別素晴らしいというわけではありませんが、それなりにほっこりと

  • 毎日すれ違うけど
    名前も知らないふしぎな距離感。
    同じおんぼろビルで働く人々の
    そんな関係から生まれる、
    日常のドラマを描く6篇の雑居小説。
    (単行本帯より)

    上から、デザイン事務所、健康食品会社、不動産会社コールセンター、塾、無認可保育園、謎のお食事処が入っている辻堂ビルヂングが舞台。
    ひとつひとつはそれぞれのお店の話ですが、同じビルなので登場人物が出てくるものの、深入りしないというか絡み過ぎない距離感がよいです。

    オブジェ制作 / 金沢 和寛
    撮影 / 釜谷 洋史
    装幀 / 関口 信介

  • ビルのテナントまつわる短編集。

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著者プロフィール

1969年、岡山県生まれ。2002年『太陽がイッパイいっぱい』で第8回小説新潮長編新人賞を受賞しデビュー。他の著書に『イレギュラー』『厭世フレーバー』『タチコギ』『公園で逢いましょう』『JUNK』などがある。

「2017年 『泥棒役者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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