四雁川流景

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 42
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163293707

作品紹介・あらすじ

出逢い、別れ、そして流れゆく、川の水の如き群像の心。僧侶にして芥川賞作家がおくる、鮮烈な「一期一会」の作品集。

感想・レビュー・書評

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  • 盆地を流れる川の周辺に暮らす人々を描いた短編集。

    それぞれの物語から土地の姿と広がりが見えてくる。きっと自分の住む土地にもこんな物語が山程あり、これから先も生まれては消えていくのだろう。
    病気や老いや死を通して、生きていることが実感されてくる。
    ただそこに生活があり終わりがあるのだと穏やかな気持ちになった。

  • 四雁川の周辺で暮らす人々の物語。義州という僧が著者のイメージと重なる。

  • 言外の想いが読み始めには心地よかったのだけれど、少ししつこかったかなぁ。最後、疲れました。A デールのやさしさが好きです。

  •  道尾氏が「無人島に絶対にもって行きたくない本」と言ったのがこれ。人恋しくなる物語だからだそうです。

     印象としては薄くて軽い羽衣のような感じ。格調高いというのではないなあ。でも下衆なところがまったくない。やはり美しいという言葉しかないかな。

     巫女さんに憧れる小学生の話など、これほどべたべたしない精通を描いたものは初めて読みました。ああ、これなら学校でも紹介できそうです。

     寝る前に読むといい夢が見られますよ。

  • 川の流れのように、キラキラと眩しく、優しくするりと物語は進んでいきます。
    人との出会いや関わり方の大切さに気付かせらました。

    「布袋葵」がお気に入りです。

  • 四雁川が舞台の物語が7つ収められている。

    どの物語も「死」が身近にある。家族や身近な人の死や老いが静かに、時に急速に語り手達の世界を変えていく様が淡々と、それでいてひどく丁寧に描かれている。
    どの物語からも不思議と穏やかな印象を受ける。
    悲痛な境遇に置かれた人物もいるのに、その語りは私を傷つけなかった。

    玄侑宗久さんの著作は『アブラクサスの祭』のイメージが強くて少し身構えながら読んだが、『四雁川流景』は想像していたよりずっと読みやすかった。

  • 結納を翌日に控えた千鶴が
    グループホームの夜勤を務める「Aデール」
    父が死に50年以上使われた義足だけが
    実家の床の間に置かれている「残り足」
    高校で一つ上だった憧れの葉子から
    40年ぶりに手紙が来る「布袋葵」
    娘が事故で死んだのは直前の自分の電話のせいだと
    自らを責め続ける妻と近所の店で飲む「地蔵小路」
    風穴に出かけたまま戻らない予備校の友人を探すため
    彼の本にメモされていた整体室を訪れる「塔」
    五年生の浩太は祭りに向けて神社に通うのだが
    巫女の常世さんが気にかかる「スクナヒコナ」
    和尚になるため義州が転がり込んだ寺では
    和尚さんと元やくざと噂される谷さんが葬儀を営む「中州」
    写真:サカネユキ 装丁:関口聖司

    玄侑さん初挑戦です。やはり死生観とか神仏に関わる短編集。
    「Aデール」が一番面白く温かかった。
    結納という言葉が認知症が進んだ老人たちを
    昔の元気だったころへ引き戻してくれる。
    次に印象に残ったのは「残り足」です。
    亭主関白かに見えた自分の両親が、
    実は母親が主導権を握っていたこともあったと
    父の死後知ることになる。
    死を扱うストーリーって感動ものに走る傾向にありますが、
    玄侑さんが日常的に死を考えているからかそんなことはなく
    いいことも悪いこともひっくるめて死に向き合っている印象です。

  • 初玄侑さん。

    四雁川の傍に暮らす人々のそれぞれのお話。


    切なくも暖かいお話ばかりでした。

    一番初めのグループホームのお話が一番好きでした。


    人生って色々。
    大変なこともいっぱいだけど
    きっといいもの。

  • 110120byBS   短編集  亡くした人々への慰め・平安

  • 短編7作品から構成されているが、いずれも「四雁川」という名の
    川、近辺での出来事により構成されている。
    ときおり、作者のきらりと光る描写の場面で立ち止まり
    ながら読み進めた。どれも強烈に心にせまることはないが
    胸の奥の郷愁を呼び覚ます物語である。作者が僧侶だけあって
    各所に宗教家としての片鱗がにじみ出る作品だ。

    • guniang79さん
      私も読み終えました。
      しっとりと落ち着いた情景が感じられました。
      自分では選べない作品と思いました。
      私も読み終えました。
      しっとりと落ち着いた情景が感じられました。
      自分では選べない作品と思いました。
      2010/11/16
    • cocoa03さん
      芥川賞「中陰の花」を読みましたが、もう
      1冊は読んでみたいと思っていました。
      この作者に関しては納得しました。
      芥川賞「中陰の花」を読みましたが、もう
      1冊は読んでみたいと思っていました。
      この作者に関しては納得しました。
      2010/11/16
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著者プロフィール

一九五六年福島県生まれ。慶應義塾大学中国文学科卒業。八三年、天龍寺専門道場入門。現在、臨済宗妙心寺派福聚寺住職。花園大学仏教学科および新潟薬科大学応用生命科学部客員教授。二〇〇一年「中陰の花」で芥川賞を、一四年「光の山」で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。著書に、『禅的生活』(ちくま新書)、『荘子と遊ぶ』(ちくま文庫)、『やがて死ぬけしき』(サンガ新書)、『竹林精舎』(朝日新聞出版)などがある。

「2020年 『なりゆきを生きる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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