先生のあさがお

  • 文藝春秋 (2010年8月9日発売)
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感想 : 12
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  • 本 ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163294704

感想・レビュー・書評

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  •  高校1年の時、旺文社の「高一時代」に投稿した短文が一席になったそうです。きりたんぽ鍋もいいけどじゅんさい鍋もいい。こごみのごまあえ、タラの芽の天婦羅、間違いなく美味しいことでしょうw 南木佳士「先生のあさがお」、2010.8発行。例によって、私小説か随筆か区別のつかない3話が収録されています。熊出没注意、白い花の木の下、先生のあさがお の3話。次の一文、なるほどと納得です: 人間とは他者(生物、自然、山などなんでもいい)のなかにじぶんを見出そうとする動物。

  • 多忙で毎日死んでいく人たちを看取る医師の生活に神経衰弱になり、激務からの後任になった男が、自分よりも先に逝ってしまった。
    心身ともに健康であるために始めた山登りは、妻とだったり時に職場の若い衆とだったりと、趣味であり使命的なものでもある。

    患者から教えてもらった山で、妻と一緒に山菜採りに夢中になり、ふと思い出した自殺者のこと

    お世話になった先生が育てたというあさがおの種をもらい、自宅でせっせと育てていく過程によみがえる先生という人物像と、時折出てくる女の声。

    3つの短編。
    なんか、最初読みづらくて??だったけど、次第に解読出来たよ。
    それにしても私小説じゃん。吉村昭ぽかったけど、なんか神経衰弱で云々でくどい感じが読んでてつらかったし、似たようなものなら吉村氏のほうが好きかな。

    著者が36歳で鮎釣り大会で優勝した年が自分の生年月日だったからそこでちょっとニヤッとなった)^o^(

  • こちらに伝わってこなかったのでつまらなかった。
    独りよがりな感じもした。何が言いたいのかなぁ

  • 自伝を綴る3作品である。精神的な病からは立ち直って以降の日常が載せられている。著者の病は、多忙が要因であったことに疑いようもないが、他人だけでなく自分の心さえ、その悲喜をここまで真っ直ぐに受け止め、抱いていたんでは、いつかは破裂するなと思う。

  • 涼しくて気持ちよいし、テレビもみないので読書が進む。
    医者でありながら作家というひとは意外と多いが、南木佳士氏もその一人だ。彼の作品で最近の自分の生活を描いたような私小説と思われる作品『先生のあさがお』を読んだ。老境に入りつつある地方の病院に勤める医師とその妻のつつましい生活と彼たちの生活に大きく関わりのあった方達の回想を中心にしたお話で、まさしく枯れた文章で読みやすく、肩の力を抜いて読み進む事ができた。感動が大きい作品ではないが、なんだかさわやかな読後感をもたらしてくれた。

  • うーん、この人について誤解していたかも、とは思う。

    暗さも重さもさほどではない。
    死がテーマではあるが、死がテーマの小説作品はいくらでもあるわけで、その中でとりわけ普遍性を備えているかというと、そうではないと思う。むしろ極めて個人的な印象。
    出来のいい日記、のような。

  • ~祭りのあとの寂しさは、必ずだれかが引き受けなければならない。ここでも静かな食うか、食われるか。~年を重ね老いていく体とどう付き合うか。したたかに生きるため、食うか。それも酷と云うもの。食われるのもイヤだ。共感する部分が多々あった。

  • いっつもなんて読むのかわかんなくなる。
    なぎけいし、さん、ね。うんうん間違えないようにしないと。
    どーやらお医者さんらしく、
    少々私小説っぽい。
    一文が長い。ひといきでよんでプラスα、ってな感じ。
    ちょっと不思議なリズムがあって心地よい。
    なんとゆーかゆったりな感じ。
    寝る前にちょっとずつ読むのが好き。
    時々お医者さんだからかな、なんとゆーか身体の直接的な表現が
    ひょいとはいってくる。
    現実と非現実と生と死と、なーんかいろんなものがぼわ~っと
    まとまって浮き上がってくるような雰囲気。

    大事なのは毛糸と針で時間を強引に編みこんじゃうことなんだよ。

    考えるまえに動け。生活して生きろ。

  • 平成22年9月22日(水)毎日新聞夕刊文化面で紹介されていた。医師の内面を綴った小説。作者も医師。

  • 淡々としていて胸に染み入るような静かな、まさしく!文学という印象。一字一句ももらしたくなく丁寧に反芻しながら読みました。
    たとえ、表現が下世話なことであってもどうしてだろう、印象は、すがすがしく上品。

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著者プロフィール

南木佳士(なぎ けいし)
1951年、群馬県に生まれる。東京都立国立高等学校、秋田大学医学部卒業。佐久総合病院に勤務し、現在、長野県佐久市に住む。1981年、内科医として難民救援医療団に加わり、タイ・カンボジア国境に赴き、同地で「破水」の第五十三回文學界新人賞受賞を知る。1989年「ダイヤモンドダスト」で第百回芥川賞受賞。2008年『草すべり その他の短篇』で第三十六回泉鏡花文学賞を、翌年、同作品で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞する。ほか主な作品に『阿弥陀堂だより』、『医学生』、『山中静夫氏の尊厳死』、『海へ』、『冬物語』、『トラや』などがある。とりわけ『阿弥陀堂だより』は映画化され静かなブームを巻き起こしたが、『山中静夫氏の尊厳死』もまた映画化され、2020年2月より全国の映画館で上映中。

「2020年 『根に帰る落葉は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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