第二音楽室

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 842
レビュー : 210
  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163294902

感想・レビュー・書評

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  • キラキラ眩しい金管楽器にも、小気味よいリズムを刻む打楽器にも選ばれず
    5年生なのに下級生と同じピアニカ担当に残留となった6人が
    みんなの来ない第二音楽室で共有する、ささやかな秘密の時間。

    必ず男女ペアで歌うこと、しかも男子は女子の申し込みを必ず受け入れること、
    というルールにドキドキしながら、気になる男子にデュエットを申し込む女子。

    卒業証書授与のBGMを演奏するため、ほぼ初顔合わせの男子2人女子2人で
    突然リコーダーカルテットを組む破目になった4人の中で育まれる恋と友情。

    居場所のなかった中学時代のトラウマのせいで
    やる気のない女子高生バンドの中で言いたいことも呑み込んで耐え
    公園で泣き崩れていた日に耳にした「らじゅ」の歌に傾倒していく女子高生。

    ピアニカ、音楽のテストでのデュエット、リコーダー、軽音部で結成したバンド、と
    いわば普段着の音楽を通して、小学生、中学生、高校生の日々が
    佐藤多佳子さんらしい、みずみずしい筆致で描かれます。

    4つの短編のうち、1作目の『第二音楽室』が本のタイトルになっていますが
    この「第二」という言葉が醸し出す独特の雰囲気が
    目立つ子、人気のある子、というクラスの主流からは外れてしまった
    主人公たちのイメージに上手に重ねられていて、さすがです。

    恋も、憧れも、友情も、細胞の中からふつふつとわき上がってきて
    心だけじゃなく身体のすみずみまで切なく沁みわたり、身動きができなくなる。。。
    そんな思春期の不自由さと甘やかさを懐かしく思い出させてくれる1冊でした。

    • 円軌道の外さん

      ご無沙汰してすいません!(≧∇≦)

      夏場から仕事が多忙で
      その後身体壊して
      1ヶ月ほど入院してたんで遅くなりました(汗)
      ...

      ご無沙汰してすいません!(≧∇≦)

      夏場から仕事が多忙で
      その後身体壊して
      1ヶ月ほど入院してたんで遅くなりました(汗)


      まろんさんは
      お変わりないですか?


      コレ読んでみたかったんです!

      まろんさんの説明で
      『男子にデュエットを申し込む女子』をリアルに想像して
      妙にドキドキが止まらんくなったし(汗)(^_^;)


      思春期と呼ばれる時代をとうの昔に過ぎても、
      あの頃の思いは
      自分の核となって
      今も自分を支えてくれてます。

      情けなくて
      うまくいかなくて
      恥ずかしいことばかりの青春でも、
      それは人が大人になるためには
      意味のあることなんですよね。


      そんな思春期の葛藤や
      抗う少年少女たちの姿を
      まろんさんのレビューで
      また見てみたくなりました(笑)


      図書館にあるかなぁ〜♪


      2012/11/29
    • まろんさん
      いえいえ、無事退院してきてくださってうれしいです!
      私はあいかわらず暇さえあれば、娘にジャマされながらも本を読んでいます。

      女子におずおず...
      いえいえ、無事退院してきてくださってうれしいです!
      私はあいかわらず暇さえあれば、娘にジャマされながらも本を読んでいます。

      女子におずおずとデュエットを申し込まれたら、
      円軌道の外さんなら、たとえ他に好きな女子がいたとしても
      断れなくて、がんばって一緒に練習とかしてしまうんだろうなぁ
      と想像して、ほのぼのしてしまいました(笑)

      佐藤多佳子さんは、どうしてこんなに少年少女の心の声を
      自然に描けてしまうのでしょうね。
      図書館にありますように(*'-')フフ♪

      2012/11/30
  • 小学生、中学生、高校生と、年齢もそれぞれの
    音楽室とはまた少し違った雰囲気を含んだ
    "第二音楽室"での音に纏わる短編集。

    何かを掴みかけて、経験値のなさから
    また迷って、分からなくなって。
    でも、まぁいっかと笑い飛ばして忘れてしまったりして。
    単純で、複雑で、純粋だったりズル賢かったり。

    すべてが青くて、すべてが生き生きとした子供の時間。
    懐かしくて、甘酸っぱくて、とても眩しい。

    それぞれの悩みや恋を抱えた日々の中で、
    みんなの音が1つになって溶け合う瞬間。
    一緒に音を出して、1つの塊になる感覚が
    とても豊かで丁寧に書かれていて、
    音を合わせるということの幸福感に満ちた時間でした。

  • YAを書く作家のなかでも、佐藤多佳子は私のお気に入りです。
    デビュー作の『サマータイム』などをはじめ、初期にも少女の揺れ動く感情をピアノに寄り添わせながら描いた作品がありました。

    『第二音楽室』には、2005年から2009年までに雑誌に掲載された、思春期の少女たちを主人公とする、音楽と学校をめぐる4つの物語が収められています。

    多くの人が小学生や中学生のときに手にしたであろうピアニカやリコーダーという身近な楽器や、音楽の時間の歌のテストを素材にしているので、読み始めるとすぐに、すっぽりとその時空にすいこまれてしまいます。女の子の気持ちなんて、わかりたくてもまったくわからなかった私でさえ、彼女たちに感情移入し、胸がしめつけられたりしてしまうのです。

    なかでも心を揺り動かされたのは、「裸樹」です。
    中学でいじめをうけたため、高校では何とかして自分の居場所を見つけ出そうとする主人公の姿は痛々しい。
    しかし、そんな彼女の心は、公園で偶然聴いたギターの弾き語りの歌によってひらかれ、バンドのメンバーとの確執も乗り越えていきます。

    バンドとは不思議なもので、同じ曲を演っているのに、ごくごくたまに気まぐれな神さまがやってきて、ものすごい演奏をしてしまうことがあります。うまいとかへたとかではなくて、メンバーの気持ちがまさにひとつになっているのを感じるのです。

    楽器が弾けなくても、音楽をあまり聴かない人でも、この本ならば十分に楽しむことができると思います。もちろん音楽好きには”お薦め”。ぜひ読んで欲しい。

    『第二音楽室』のあとに、『聖夜』という作品も出版されました。これは、珍しい高校のオルガン部のお話。こちらも、もちろんお薦めです。

  • 文字通り、School and Music。
    短編集です。

    小学生から高校生までが、友情と恋と夢、その他もろもろについて
    音楽を通して・・・みたいな感じ。

    いくつかの物語で一人称が「ウチ」だったりと、短編ということもあり
    佐藤さん的に挑戦してる感がありました。

    リコーダーやピアニカの話では懐かしい気分になりました。

    私的に言うと、ほっこりするヤングアダルト。

  • 重なりあい、どこまでも柔らかく広がる四つの旋律。眩しくて切なくてなつかしい、ガールズストーリー。

  • 音楽にまつわるお話し。

  • 学生時代に音楽が身近なものだと良かったなぁ…と思わされる作品です。ちょっと甘くて酸っぱくてイタい感じもするけどね

  • 「2013年 POPコンテスト」

    所蔵なし

  • 爽やかな作風は代表作の「一瞬の風になれ」やデビュー作の「サマータイム」にも共通する期待通りのもの。中高生の頃に特有の友達や異性との距離感を上手に描いている。今回は音楽がテーマになっているが、他の人と一緒に1つの曲を演奏する楽しさや、本番前の緊張感などが巧みに表現されており、私は特に真剣に音楽に取り組んだ経験は無いのに臨場感を感じながら読むことができた。

  • ピアニカの鼓笛隊になったあぶれ者6人。
    普段から仲良くもなかった6人が、少しだけ距離が縮まった様子。

    音楽の授業で男女ペアで唄を歌うことになり、盛り上がるクラス。

    卒業式でリコーダー演奏することになった中1の4人。
    淡い恋心と、みんなが上達していく演奏。

    不登校だった中学時代を乗り越えて、高校で軽音部に入ったものの、結成したバンドはぐだぐだで萎える日々。
    バンドメンバーとの衝突と不安、勇気をくれた曲の存在。

    どれも青春だなあ。

    掴みどころのないルーちゃんの存在とか、
    異性を意識しちゃう乙女心とか
    西澤のキャラとか、
    いざこざを乗り越えながら成長していくバンドも良かった。

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。1989年に「サマータイム」で月刊MOE童話大賞を受賞してデビュー。『イグアナくんのおじゃまな毎日』で産経児童出版文化賞、日本児童文学者協会賞、路傍の石文学賞を受賞。『一瞬の風になれ』で吉川英治文学新人賞、『聖夜』で小学館児童出版文化賞、『明るい夜に出かけて』で山本周五郎賞を受賞。そのほかの作品に『しゃべれども しゃべれども』『神様のくれた指』『黄色い目の魚』『第二音楽室』などがある。

「2018年 『シロガラス5 青い目のふたご 5』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐藤多佳子の作品

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