夏目家順路

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 236
感想 : 54
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163296500

作品紹介・あらすじ

夏目清茂七十四歳、本日脳梗塞のためめでたく昇天いたしました。「どこにでもいるただひとり」の男の一生を、一代記とは異なる形で描いた傑作長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 七十四歳で生涯を閉じた元ブリキ職人の夏目清重の死を悼む多くの人々の人生模様を描く朝倉かすみさんの心に沁みる家族小説の感動作です。昭和十年の元日に生まれた清重さんは確かに不器用で聡明ではありませんでしたね。ルールをよくは知らない草野球チームの監督で「テンマリ叩け」と言われたら皆笑っちゃいますよね。叶わなかったけど問題児のトッチが大人になり立派になった姿を見せてあげたかったな。元妻かず子は知的な男に惚れて離婚せざるを得なかったのが誠に不運でした。葬儀の場で多くの人が自然に涙を流す愛すべき素直な良い人でしたね。

  • 朝倉かすみ 著「夏目家順路」、2010.10発行。夏目清茂というブリキ職人の仕事をしていた男性74歳の生涯、家族や友人、隣人などが簡潔に描かれた後、清茂のスナックでの脳梗塞による突然の死によって、あらためて、関係する人間たちの人となりが故人との関わりで明らかになっていく様子を描いたもの。小説の構成としては面白いなと思いました。内容は、当然とは言え、ちょっと暗すぎました。

  • 図書館で朝倉かすみのこの本は読んでなかったなーと借りてきました。

    タイトルから想像できるとおり、お葬式がらみの話でした。

    なんというか……、亡くなった清茂さんが父と同年代なので、「考えたくない……」という気持ちになりました。

    いま両親が健在なのって、この話にも出てきたけど期間限定なんだなあと、なんだか寂しい気持ちになりました。
    もっと親孝行しなくちゃ。

  • 夏目清茂七十四歳、本日脳梗塞のためめでたく昇天いたしました。
    「どこにでもいるただひとり」の男の一生を、一代記とは異なる形で描いた傑作長編小説。
    (アマゾンより引用)

    オムニバス形式になって、一人の人の死を描いた作品。
    人によって感じ方、考え方が違うもんなんだな、と思った(;・д・)

  • さもない男の一生も、親族目線、遺族目線で想い出として語られると、感動が見えてくる。っと言ったら大げさ?確かに今までに無い感の作品。

  • 『田村はまだか』で知った朝倉かすみさんの作品。夏目家順路というのはお葬式会場への案内板表示。つまりお葬式にまつわるというか故人の成り立ちと故人と深いつながりの或る人たちの回想で構成される小説なのだが、208ページの中に上手にまとめられていて、重すぎず軽すぎず楽しく読む事ができた。故人が会いたかった人はだれなんだろうかと
    娘が考えるシーンが記憶に残る。葬儀に参列する人たちの心のうちは人それぞれなんだろうが、故人の気持ちを考えている人ってどれくらいいるのだろう?とい考えてしまった。お葬式のことをすこしだけ深く考えさせてくれる小説でした。

  • わりと読みやすくて楽しく読めました。人が死ぬと・・・いろんなことがあるんだろうなぁ、なんてね

  • 「田村はまだか」という
    そそるタイトルの本を書いた人の本

    「田村~」は大人が大人ぶってる話・・・だったような
    田村、まだ来ねぇの?って話だった
    他のも気が向いたら読んでみっかなーと思っていたら
    ハードがグッドな状態で105円だったんだもん

    帯にだまされたなと思う
    まーこんなもんかなとも思う

    自分を悪人と認定することでじつは善人と思いたがっている
    ってくだり
    恐ろしい・・・自分のことかと思った・・・

    いろんな人のいろんな視点で
    誰かについて語られてる話ですが
    実際、こうなんだろうなーと感じた
    あと、親が死んだときのことを思い出して
    お話とは関係なく胸がチュンっとなった

    星はいつもの3つ

  • いろんな思い出や記憶をかかえて
    それをもとに、あの人はこんなだったとか好きとか嫌いとか
    残っているけれど、

    じつは真実をまったく間違えて受け取っていたり
    同じ思い出でも相手は全くちがう思い出として残っていたり
    することはあるんだろうなぁと思った。

    そしてそれらはお互いわかることないまま
    そのままからだごと棺にいれられてもやされてしまうのだなぁと。

  • 夏目清茂氏の人生を彼をとりまく人々の一人称で浮かび上がらせる、というお話の構成はすごく好きですね。でも多少のどたばたとかあった方がもうちょっと面白かったようにも思うんですが…ていうかそこを期待してたんだけどな。 いずれにしろ、自分の親の葬式というのは大変ですよね。結婚式みたいに「やらない」わけには行かないし、待ったはきかないし^^;

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著者プロフィール

1960 年生まれ。北海道出身。04 年「肝、焼ける」で第72 回小説現代新人賞、09 年「田村はまだか」で第30 回吉川英治文学新人賞、19 年「平場の月」で第35 回山本周五郎賞受賞。

「2021年 『ぼくは朝日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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