- 本 ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163296708
感想・レビュー・書評
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221030
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ピアニストを志す真琴は、声帯を傷め、声が出なくなってしまう。熾烈な競争から脱落し、目的を見失った真琴は、母の故郷に赴く。
音楽の知識は皆無ですが、へーほーっという場面があり、楽しめました。
ただ、あらすじにあるような青春さはあまりなかったです。完全に感情移入を狙う青春小説ではなく、現代文学によくある描写、主人公と読者の距離感でした。それがかえって真琴の性格にあっているようで、読みやすかったです。 -
音楽に関することはさすが具体的で、音楽やらない人にはうんざりするくらいの内容。そういうのが全編続くのかと思ったら途中から方向性がよくわからなくなって急に結末がやってきた感じ。
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私にはちょっと合いませんでした。
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クラシックには早期教育が欠かせない。
親とか環境に恵まれ、英才教育を施されるという選民たち。レッスンと競争の激しさ厳しさ。友人達の切磋琢磨を見てきたから、納得できる。そしてクラシックのテクニック描写には興奮した。
ちょっとだけ「能」をかじった者として、西洋音楽と邦楽の対比の愉快さはなかった。
忘れない小説のひとつ。 -
やめたくないってことは、やりたいってことと同じじゃないんだよ。
声がでなくなった真琴。日本の音楽教育、フランス派、ドイツ派の違い。お稽古、お教室、お試験、お成績。 -
ピアニストにして名エッセイストとしても知られる青柳さんの初長編小説。「文学界」2003年2月号に初出とあるので、その後手直しをされての刊行と思われる。しかしながら、名エッセイストは名小説家とは限らないようで、、、過度に音楽用語が散りばめられていて素人にはとっつきにくい。ピアノ楽曲や奏法ばかりでなく、声楽、そして現代音楽も、ついでに能楽の知識まで網羅しているあたり、著者の芸術論まで展開されているかのようだ。ピアニストを目指す者が受ける過度のプレッシャーや音楽的な陥穽、あるいは心理的な迷路が思いつく限り書き込まれている。思い入れは分かるのだけれど、過度に観念的でエロティックなパートは、ドロドロしたものを思わせて、これは芸術を志す者の情念の発露なんだろうかと疑問を覚える。なかなかスキャンダラスな問題作だ。
著者プロフィール
青柳いづみこの作品





