田舎の紳士服店のモデルの妻

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 658
レビュー : 145
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163297101

感想・レビュー・書評

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  • 都会だとか田舎だとか関係なく
    環境が変わるということは大変なことだ。
    夫が病気で、小さな子どもがいて、ではなおのこと。
    でも夫の鬱はわかりにくかった。
    引っ越す原因になるまでのものなのに
    聞いているからそうだと知っているだけ、という感じだった。

    夫の梨々子への感情表現は本当にわかりにくい。
    紳士服店の人がアサヒへ話したというくだりで
    そうなのか・・・と思えたぐらい。
    だから梨々子の気持ちにとても寄り添うことができた。
    ラストの梨々子へ伝わった言葉もわたしには響いてこなかった。
    逆にいきなりな気がした。
    (梨々子に伝わったからいいけれど)

    梨々子とアサヒがいっしょにいる雰囲気がよかった。
    これは不倫になるのかな。
    それらしくなくて、そういうことをまったく考えなかった。
    もうどうしようもなくなっていた梨々子にわたしの気持ちは重なっていた。
    だからかもしれないし、
    ふたりから漂う空気があまりに純粋だったからかもしれない。

    梨々子の感情の変化の描き方が素晴らしかった。
    夫、子ども、おかあさんたち、お義母さんに自分の母親。
    その間にある梨々子の気持ちはだれかから聞いているかのようだった。

    • まろんさん
      「他人から幸せいっぱいに見えること」が何より大事だった梨々子が
      「幸せのかたちを自分で選ぶこと」へとゆっくりゆっくり
      軸足を移していく感じが...
      「他人から幸せいっぱいに見えること」が何より大事だった梨々子が
      「幸せのかたちを自分で選ぶこと」へとゆっくりゆっくり
      軸足を移していく感じがよかったですよね!
      そうなのよ!と大きく頷きたくなる言葉があまりに多くて
      引用に書き込む文章選びに頭を悩ませた本でした。
      2013/03/03
    • macamiさん
      ☆まろんさん
      まろんさんのコメントに「そうなのよ!」と
      大きく頷いたわたしです。
      いつもお上手ですよね・・・・・
      まろんさんのコメン...
      ☆まろんさん
      まろんさんのコメントに「そうなのよ!」と
      大きく頷いたわたしです。
      いつもお上手ですよね・・・・・
      まろんさんのコメントが素晴らしすぎて
      言葉がありません。笑
      2013/03/04
  • 確かに、田舎の、紳士服店のモデルの、妻の話だった。
    東京生まれ東京育ちだと夫の田舎に引っ越すというのは惨めな気持ちなんだろうか? 近所付き合いとか大変だと思うけど、都会で張り合って生活するよりはマシだと思うけど。
    梨々子は、自分の存在価値がはっきりしないことに焦っているような感じがした。アサヒとの出会いはそれが救われたのかも。お茶を飲むくらいいいじゃないか、と思ってしまうけど、田舎だとそうは理解してもらえないかもしれないな。

  •  明日に控えた長男の幼稚園バザーに着ていく服のことで頭がいっぱいだった梨々子に、突然夫が会社を辞めて田舎に帰ろうかと思うと言いだした。突然のことに言葉もない梨々子。八王子生まれの彼女はずっと東京暮らしをするものと疑わず、北陸の、まして特徴のない田舎町で暮らすことになるとは、夢にも思わなかったのだ。
     ほどなく、夫は「うつ病」だと判明。上司に紹介された瞬間、何としてもこの人とと梨々子が夢見るほど素敵だった達郎は、今では見る影もなく変わってしまっていた。夫の母や兄夫婦、笑わない隣人、2人の息子たち…。梨々子の10年間の日常をつづる。

     ちょっと読み始めて困った。主人公の梨々子のどこにも共感できないのだ。相手の言動の真意がどこにあるかなんて、あんまり考えないし、田舎と言ってもデパートがあるからしれているし…(八王子と比べたら、確かに霞むだろうけど)
     でも、読み進めると梨々子は、人づきあいはきっちりできる人だし(お姑さんや、近所の人たち、地域の行事などもちゃんとできる)、自分を常に客観視しようとしているところなんか、なかなか良識のある人のような気もする。梨々子のお父さんではないけれど、大丈夫じゃないかなぁ~。
     ということで、ちょっと読者を選ぶ本のような気もしますが、もうちょっと私も自分の言動を顧みる必要があるなぁといい反省材料にはなりました。

  • <内容>田舎行きに戸惑い、夫とすれ違い、子育てに迷い、恋に胸騒がせる。じんわりと胸にしみてゆく、愛おしい「普通の私」の物語。

  • 夫の鬱病発症で、夫の田舎に引っ越すハメになった主婦の話

    夢中になって愛したはずの夫
    可愛いはずの幼い息子たち

    こんなはずじゃなかったのに
    何故自分はここにいるのか
    自分は何を望んでいたのか

    居場所って難しいよね・・・

  • 2019/5/14読了。
    リリコは、とっても素敵な人だと思って結婚したもののその夫が鬱になり、夫の田舎へ引っ越す。失敗だ、と嘆きながら田舎暮らしがはじまる。。。
    きっと主婦のあるある、いや夫婦のあるあると言って良いのではないか。
    全体の穏やかでくすりとおかしみのある展開も宮下さんらしい。

  • 海外営業部のホープ、ぴかぴかの竜胆達郎、モデルのような美人、その妻梨々子、結婚して4年、子供は潤と歩人(あると)。突然、夫から妻に「会社辞めてもいいかな。いなかに帰ろうと思ってる。ごめん」と言われた妻。北陸の小さな町、鬱になった夫の実家のある故郷に移転して、10年間の梨々子の、竜胆家の、暮らしを丁寧に描いた作品。地味でちょっと切ないけど、生きるということへの温かな目線が心地よい作品です。宮下奈都 著「田舎の紳士服店のモデルの妻」、2010.10発行、宮下さんの作品としてはめずらしい感じも抱きました。

  • 宮下奈都さんといえば、映画公開中の「羊と鋼の森」の原作者。「太陽のパスタ豆のスープ」も良かった。図書館で書架で見つけたので借りてみた。
    夫は女子社員が皆狙うような会社のホープ。東京の、社宅でなければ住めないような地域に住み、スーツで説明会に行くような幼稚園に息子を通わせる梨々子。読書モデルもしたことのある自分に相応しい暮らしだと自負している。しかし、夫がうつになり、夫の田舎に移り住むことに。
    都落ちに気を落とし、そこから人生を見つめなおす10年…あちら側からこちら側の人間になることを素直に受け入れられるようになるまでの10年…を描いている。
    少し前の作品だからだろうか、話のテンポがイマイチで、同じところを行ったり来たりするのが、それが梨々子の心情なのだと分かってはいても少し鬱陶しく感じてしまう。今の人には共感しにくい、昭和バブル期前後に20代だった人の話、という感じがする。2018.6

  • 「普通の私」の物語。そう帯にあった通りの話。はじめはちょっといらっとして、最後の10年めはホロリとした。幸せ、本当に大事なもの、持ち時間。
    ゆるやかに変わるって、なかなかすごいことかもしれない。
    2017/10/14読了

  • 東京で暮らしていた子育て中の主婦が地方都市へと引っ越してからのお話。ウツになった夫と子どものことで悩んだり気づいたり。あー、そういうことってありそうと思える。淡々としたかんじの展開。

著者プロフィール

宮下 奈都(みやした なつ)
1967年福井県生まれ。上智大学卒業。2004年、「静かな雨」で文學界新人賞に入選し、デビュー。日常に起こる感情の揺れを繊細で瑞々しい筆致で描きだす作品で知られる。『スコーレNO.4』が書店員から熱烈な支持を集め、注目を浴びる。代表作に、2016年本屋大賞、ブランチブックアワード2015大賞、「キノベス!2016」などを受賞した『羊と鋼の森』があり、2018年6月映画化。『静かな雨』が2020年新春映画化が決まり、2019年6月6日文庫化される。ほか、福井からトムラウシに移り住んでいた頃の日々を描いた『神さまたちの遊ぶ庭』や、福井での身辺雑記や本屋大賞受賞前後のエピソードなどを描いた『緑の庭で寝ころんで』がある。

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