追悼者

著者 :
  • 文藝春秋
3.20
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本棚登録 : 219
感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163297408

作品紹介・あらすじ

浅草の古びたアパートで発見された女の絞殺死体。被害者は大手旅行代理店のOLだが、夜になると街で男を誘っていたという。この事件に興味を抱いたノンフィクション作家が彼女の生い立ちを取材すると、その周辺に奇妙な事件が相次いで起きていたことが分かる。彼女を殺したのは誰か?その動機は?「騙りの魔術師」折原一が贈る究極のミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 一流会社のOLが、浅草の薄汚いアパートで殺された。
    昼は美人OL・夜は娼婦。昼と夜の二重生活にマスコミも、多くの人々も興奮状態にあった。
    『丸の内OL殺人事件』
    新人のノンフィクションライター笹尾は、この事件に興味を抱きOLの生い立ちから
    現在に至るまで取材を始める。
    すると、彼女の周りには事件・事故が多すぎる…。

    東電OL殺人事件をモチーフにしているのかと思って読み始めると違っている。
    あの事件を想定して読ませる事もトリックかもしれない…。
    笹原の視点とOLの周りの人々の証言が交互に続いていく。
    意味ありげな幕間や、インタビュー形式で謎にグイグイ惹かれました。
    事実が二転三転し、
    あれ?この人が犯人なのでは…? 
    いや?この人が犯人なのでは…?
    真相を探る笹尾と同様に嘘と真実に翻弄されてしまいました
    そして、結末にはとっても驚かされました。そして、とっても面白かった~
    全く予想出来なかった

    女性による女性に対する愛情が歪むとここまですざましいとは…。

  • 実際にあった東電OL殺人事件がモチーフとされているこちらの作品。
    相変わらず折原作品らしいちょっと古めかしい感じ、表現と読み手を混乱させる終盤←
    解説サイトもあまりなく、あっても解説しきれない(要素が足りない)ので、解説サイトと本を何度も往復し、理解しました(多分)
    終盤の畳み掛けや勢いにハラハラさせられますが、やはり粗っぽさもあります。
    でも基本的に折原先生の掌の上で転がされるのが好きなので←個人的には満足です♡笑

  • 東電OL殺人事件をモチーフにしながらも、全く違う物語になっている所が面白かったです。者シリーズ、また読みたくなりました。

  • 「生きているものが死んでいて、死んでいるものが生きている」ん?ん?

  • 東電OL殺人事件がモチーフ。このシリーズは安定して面白いが、今回のサスペンスとプロットは一級品で、ギリギリまで真相が分からず面白かった。とくに、「生きているものが死んでいて、死んでいるものが生きている」のメモが見つかるあたりから、加速度的に面白くなる。ただ、主人公とペアで動く女性ライターの動きがあまりにも怪しすぎて、露骨にレッドへリングの役割となっているのは笑える。

  • 丸の内OL殺人事件。昼の顔と夜の顔を持つ被害者のゴシップばかりが広まり犯人は捕まらない。あの人が怪しいと途中で思ったが、でも途中で…なので除外。よくわからない箇所があった。桜田はいつ誰が殺したのか?結局恵美と入れ替わったのか?奈美も結局性格悪い子なの?

  • 好きな作家だが、39歳幹部社員が殺された事件を「東電OL事件」って呼ぶのに違和感があったので、「丸の内OL事件」に作り変えてさらに30歳旅行会社勤務という設定は、フィクションとはいえさらに実際の事件の真実を歪めるのではないかと不信感を持って読み始めた。いつもより登場人物の魅力が薄い。やはり、無念のうちに亡くなった被害者と遺族がいるのに、着想だけを得て別の面白おかしい小説を書くのはあんまりではないかと思いつつ、読み終えようとした終盤、ハッとさせられた。男を漁っていたのはなりすましの別人…。勝手に名刺を作ってなりすまし、売春していた女、嘘の目撃証言をした通行人。なぜ我々は「夜は別の顔」などと下世話に騒ぎ立てたのだろう?この小説家の眼差しに目を覚まさせられる。もし現実の事件でも客の男が生前の被害者を訪ねていたら?被害者が自分になりすましている人物がいることに気づいていたら?いや、被害者の奇行は職場の人も知っていたというから、本人が売春していたのは真実なのだろう。でも死人に口なし、おかしな女のイメージに便乗して計画的に殺人した人物はいなかっただろうか?犯人もいまだに見つかっておらず、やはり怪しいものを感じる。このフィクション小説は何か考え続けることを私たちに訴えていて、ほとんどは作り話でありながら、被害者を嘘から救おうとしている。
    登場人物たちの恨みつらみが軽薄にならないよう折り込んだエピソードも練られたものだった。
    マイナス1はユーモアがイマイチだったところと若すぎたところ。

  • ずっとミスリードさせられてた。
    百合子が怪しいと思ってたのだけど。
    実際の東電OL事件の報道がどうだったのかとか分からないけど、こんな感じでゴシップ的な要素に焦点当てられてたのかな。
    最後が急展開で、よく分からなくなってしまった…

  • 2016.04.06
    折原さん、面白い(着眼点が良い)けど、イマイチかなあ•••。詰めがもう一歩なのかなあ〜?充分凄いとは思うけど、期待し過ぎるのかなあ•••。

  • ちょっと最後、仮名や本名が入り混じってわかりにくくなりました。2回読んでなるほどー、と思いました。考えると、最初から犯人のフリは振られていたのですね。追悼者か。
    最後に電車に飛び込んで自殺したのは犯人の母親ですよね。

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著者プロフィール

埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。編集者を経て1988年に『五つの棺』でデビュー。1995年『沈黙の教室』で日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞。叙述トリックを駆使した本格ミステリーには定評がある。『倒錯のロンド』『倒錯の死角』『倒錯の帰結』など「倒錯」シリーズのほか『叔母殺人事件』『叔父殺人事件』『模倣密室』『被告A』『黙の部屋』『冤罪者』『侵入者 自称小説家』『赤い森』『タイムカプセル』『クラスルーム』『グランドマンション』など著書多数。

「2021年 『倒錯のロンド 完成版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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