うちに帰ろう

  • 文藝春秋 (2010年11月11日発売)
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感想 : 19
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  • 本 ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163297507

感想・レビュー・書評

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  •  名古屋文学?
     なんだろうと思い、読んでみた一冊です。
     名古屋弁の微妙なニュアンスはわからないけれど、親しさと懐かしさを感じさせます。秘密を共有する男同士の少年っぽい会話の数々にもとてもいい味わいがありました。
     日常のちょっとした出来事を切り取って描かれているのですが、優しさに溢れたこの雰囲気と会話にグッと惹きつけられました。まるで身内から聞く身近な出来事のようで、その上にこの読みやすさがとても良かったです。

  • 恥ずかしいことは悪ではなく、共有するものだ、って言うのはいいね。一方で、家族で何も共有できないおじさんの悲哀を感じさせる。

  • 2014/9/2 読了

  • 主夫をしている主人公が、公園で知り合った女性に、ノリで心中を持ちかけると、それが本当になりそうになるお話。
    旦那が子育てをしている様が、なんだかリアルだった。こういう人、ほんとにいるんだろうなぁ。
    結末に、もう一声欲しかったかも。

  • シレーヌと海老同時掲載。公園作法: ○○ちゃんのママ、何丁目の○○。みんなたいへんだ。聖書ゲヘナ=地獄?ハ(ー)デス

  • 公園に集まるママたちの会話が妙にリアルで面白かった。主夫として生活する英樹の観察眼はそのまま著者・広小路尚祈さんのそれと重なるのだろうか。生活感ぷんぷん漂う表題作『うちに帰ろう』良かった。『シレーヌと海老』はアノムラのノリオヨシオの件がくだらなくて面白かった。

  • 最近の若手の中では群を抜いていい、と思った。投げやりにならず、現実にきちんと向かい合っているところが好感を持てる。

  • 第143回芥川賞候補作

    主夫が主人公のお話。

    と、もう一篇天麩羅やさんが主人公のお話。



    主夫のあれこれの描写はうまいなぁと思うが

    オチがイマイチ。

    好みではなかった。

  • 絶妙!
    女を鋭く切る視点に、反省したりする。

  •  「主夫」小説。妻の出産をきっかけに収入が少ない夫の方が仕事を辞めて子育てに専念し、公園デビューするという設定で、奥さまたちの価値観を客観視できる「よそ者」としての視点や、性役割が逆転した夫婦間における夫の自意識やジェンダーの問い直しが書き込まれている。

     働き疲れでイライラしてる妻に気を遣うとか、家計のやりくりに悩んでパートに出たいと言い出したら妻に止められるとか、性役割が逆転しただけで、家父長制的な家庭の性格は変わらないという家庭の姿が語られていく。

     主婦がつらいように主夫もつらいらしいことがわかるが、やはり現代社会において経済的な主体でないことはある種の「つらさ」を伴うものなのだろう。

     夫がふわふわした自意識の持ち主であることが救いで、主夫になるべく主夫になったと思わせるというか、この小説を読んでいると、文化的な面での男性の女性化と、働く環境における夫婦の収入の逆転が並行して進んでいることの不思議さを感じる。どちらが先なのかはわからなくて、相互に影響し合っているのだろうと思うが。

     最後のエピソードもなかなかよくて、苦笑いさせられる。草食系男子はみな経済力のある女性を捕まえて、否捕まえてもらって主夫になるべきと思わせる佳作である。

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著者プロフィール

1972年、愛知県岡崎市に生まれる。高校卒業後、ホテル従業員、清掃作業員、タクシー運転手、不動産業、消費者金融など、10種類以上の職種を経験する。2007年、「だだだな町、ぐぐぐなおれ」が第50回群像新人文学賞優秀作に選ばれた。2010年、「うちに帰ろう」が第143回芥川賞候補、2011年、「まちなか」が第146回芥川賞候補。著書に『うちに帰ろう』(文藝春秋)、『清とこの夜』(中央公論新社)、『金貸しから物書きまで』(中公文庫)、『いつか来る季節 名古屋タクシー物語』(桜山社)、『今日もうまい酒を飲んだ』(集英社文庫)『北斗星に乗って』(桜山社)など。

「2024年 『ある日の、あのタクシー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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