伏 贋作・里見八犬伝

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1303
レビュー : 243
  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163297606

作品紹介・あらすじ

いにしえの因果はめぐり、江戸の世に-ちっちゃな猟師の女の子の命を賭けた大捕物。

感想・レビュー・書評

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  • 以前から気になっていた本。
    映画化もされたとのことで読んでみました。

    華のお江戸に出てきた山育ちの猟師の少女・浜路は、兄・道節とともに江戸を騒がせる伏を狩ることに。
    伏とは、安房の地に伝わる伏姫の物語を起源とするらしい、犬の血をひく人間です。
    白い肌に切れ長の瞳、他人にも仲間にも情が薄く、その行為の残虐さによって、江戸では懸賞金がかけられるほど。
    さあ、浜路と伏の大捕物、はじまりはじまり~!

    伏たちは残虐ではあるけれど、狡猾ではありません。
    本能のままに生きるがゆえに、どこか純粋なところがあるように感じました。
    だから、浜路と伏の追いかけっこはときにコミカルであるし、伏たちを根絶やしにしなければならない悪だとは思えないのでした。

  • 狩人の女の子が、江戸で伏を追う。
    里見八犬伝を下敷きにし、犬の血を継いだ人間が伏だ。
    キャラクターもいいし、江戸を舞台にした話も好きなので面白かった。
    ファンタジーに分類出来るような要素もあるし。久しぶりだな、この感じ。
    途中に贋作里見八犬伝という里見八犬伝の本当の姿というような話が入り、伏本人の話も入り、物語が入れ子になっているんだけど、それもまた伏の悲しさのようなものに迫ってて。
    …まぁ伏たちは基本はけろっとして生きてるんだけど。
    狩るものと狩られるものか……

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「里見八犬伝の本当の姿」
      八犬伝ファンとしては、気になるところです。
      「里見八犬伝の本当の姿」
      八犬伝ファンとしては、気になるところです。
      2012/05/28
  • 本家・八犬伝とはずいぶん趣が違う。
    相変わらず、ハードで切ない物語をカラリと描いてくれる。

  • ん〜、すごく不思議な感じ。
    上手く言葉に出来ないモヤモヤがある。
    これを読む前に里見八犬伝を読んだが
    その時と同じものを感じた。

    "繁栄の光"と"犠牲の陰"。
    人身御供といった"犠牲"によって
    平和が成り立っている里見家。
    現実感の話ではなくとも寒気を感じた。
    そして20歳までしか生きられない、
    伏姫と八房の子供達である"伏"は
    玉梓の呪いから始まったこの悲劇の
    被害者であると私は思う。
    たとえ悲劇の物語が終わったとしても
    "伏狩者"と"伏"の物語は
    永遠に続くだろう…。

    • 円軌道の外さん

      あおさん、はじめまして!
      関西出身で今は東京在住、
      読書は勿論、映画と音楽と猫には目がないプロボクサーです。
      遅くなりましたがリフ...

      あおさん、はじめまして!
      関西出身で今は東京在住、
      読書は勿論、映画と音楽と猫には目がないプロボクサーです。
      遅くなりましたがリフォローありがとうございました(^o^)

      桜庭さんの作品が大好きでひととおり読んできましたが 
      コレは見逃してました!(汗)
      滝沢馬琴の南総里見八犬伝のリメイクになるんやろか?
      80年代の薬師丸ひろ子主演の映画でも有名ですよね。
      また読まなければリストに書いて近いうちにチェックしたいと思います!

      それにしても、 あおさんのレビューをいくつか読ませてもらって
      その素直な感性と好きが溢れる文章に惹きつけられました。
      本棚の趣味も僕のツボだったし(笑)

      またオススメありましたら
      教えていただけると嬉しいです(笑)

      ではでは、これからも末永くよろしくお願いします!

      あっ、コメントやお気に入りポチいただければ
      必ずあとでお返しに伺います。
      (仕事の都合によってかなり遅くなったりもしますが…汗)

      ではでは長文失礼しました。



      2015/04/26
  • 人と犬の間に生まれた「伏」について書かれた物語。
    一見、伏を狩る兄妹の話に見えるがどこをとっても伏の物語である。
    戦闘シーンが多いかと思っていたらそんなことはなく。
    伏についてかなりのページを割いていたのここまで練った設定をこの作品だけで終わらすのはもったいなく感じた。
    兄妹を掘り下げた続編が是非読みたい!
    伏の成り立ちを書いた「贋作・里見八犬伝」はそれだけで単独した話になっていてなかなか量があり読みごたえは十分。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「伏の成り立ちを書いた「贋作・里見八犬伝」」
      実は「里見八犬伝」が読みたくなっている、でもコレは全然別の話ですよね。「伏 贋作・里見八犬伝」...
      「伏の成り立ちを書いた「贋作・里見八犬伝」」
      実は「里見八犬伝」が読みたくなっている、でもコレは全然別の話ですよね。「伏 贋作・里見八犬伝」も文庫になったので読む予定ですが、、、
      2013/02/13
  • 不思議な話でした。
    人と犬の子の祖先である伏を、人情的に書いたと思ったら、残虐な化け物として書いたりする……。
    良くも悪くもないけど人にとっては悪いもの、を書くとこうなるのだな、というのがよく分かった。
    今度公開される映画は浜路と伏の交流を描いているようだけど、そういう話ではないなぁ、と。

  • この方の書く本は読み応えがあってボリューム満点なことが多いので好きです。
    それに文体そのものに独特な雰囲気があって、読者はすぐに桜庭ワールドに引き込まれる。桜庭一樹は特に女性の人生にスポットを当てたストーリーが得意ですね。

    今作は滝沢馬琴の里見八犬伝という日本が誇る元祖ファンタジー小説が題材。タイトルには「贋作・里見八犬伝」とあるので、里見八犬伝の新たな解釈と言った所でしょうか。この異色な設定に私も興味津々で、読むのが楽しみでした。
    これまで小説と比較して分厚くてボリュームもたっぷり。
    そして何より所々の文中に描かれた挿絵が素敵です。

    物語は里見八犬伝に登場する伏姫に焦点を当てたお話。そして伏姫が生んだ”伏”と呼ばれる犬人間と、彼らを狩る女猟師・浜治、そして「贋作・里見八犬伝」の筆者である滝沢冥土の三人の出会いから物語は始まります。

    浜治サイドの本編と、そして滝沢冥土が浜治に読み聞かせる「贋作・里見八犬伝」、そして伏が浜治に語る昔語りの3部構成で展開していく物語。その構成は面白かった。

    ただエンディングにオチが無かったので評価は残念ながらの★2です。。。
    とにかく迫害される伏が可哀想になったかな。そして容赦なく伏を狩る浜治に「人でなし!」と叫びたくなりました。
    そして、ちょっと浜治と伏である信乃のラブロマンスを期待してしまった。私の馬鹿。ということで★2つ。

    これは犬人間の物語。

    映画に期待を込めて!!

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「残念ながらの★2です」
      そうですか、、、それなら本家?「八犬伝」を先に読みたくなってきました。
      「映画に期待を込めて!! 」
      複雑な構成で...
      「残念ながらの★2です」
      そうですか、、、それなら本家?「八犬伝」を先に読みたくなってきました。
      「映画に期待を込めて!! 」
      複雑な構成でしたら、上手く映像化出来るでしょうかね?
      2012/07/17
    • cecilさん
      >nyancomaruさん
      そうなんですよね、あの構成をどうやってアニメに落とし込むのか今から楽しみです。私の予想だと原作とは大きく変えてる...
      >nyancomaruさん
      そうなんですよね、あの構成をどうやってアニメに落とし込むのか今から楽しみです。私の予想だと原作とは大きく変えてるのでは?
      本家南総里見八犬伝は私も子供の頃に読みましたが、日本を代表するファンタジーですよ!今の子供たちにも読んで欲しいなぁ。
      2012/07/18
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「日本を代表するファンタジーですよ!」
      8人の主人公で奥行きが深くなった波乱万丈の物語ですよね(子どもだった時に抄訳版を読んだだけですが)。...
      「日本を代表するファンタジーですよ!」
      8人の主人公で奥行きが深くなった波乱万丈の物語ですよね(子どもだった時に抄訳版を読んだだけですが)。。

      そうそう映画航海前に文庫になるらしい。。。
      映画「伏 鉄砲娘の捕物帳」公式サイト
      http://fuse-anime.com/
      2012/07/20
  • もともとの里見八犬伝をちゃんと知らないからこそ、エンターテイメントとして楽しめたような気がする。
    多分知ってたら、違いのほうにばかり目がいっちゃってたんじゃないのかな。

    信乃が好きでした。あと毛野と雛衣が可愛く切なく好きでした。

    浜路の潔さというか、根っから狩人だから狩るんだ!という確固たる意志がすごいと思った。私だったら絶対無理。
    情に流されちゃうもん。銃さえ向けられないと思う。

    • ako.さん
      >nyancomaru様
      すごく里見八犬伝に思い入れがある方とかは、愛ゆえに「こんなの里見八犬伝じゃない!」っておっしゃる方もいるかもしれ...
      >nyancomaru様
      すごく里見八犬伝に思い入れがある方とかは、愛ゆえに「こんなの里見八犬伝じゃない!」っておっしゃる方もいるかもしれないなぁとおもいました。その違いを楽しめるかどうかで、この本の感想も変わってくると思います(^^)
      2013/02/19
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「愛ゆえに」
      う~ん、、、
      判らないでもないですが、桜庭一樹は一応「贋作」と断ってますから、違って当り前ですよね。と思うようになりました、、...
      「愛ゆえに」
      う~ん、、、
      判らないでもないですが、桜庭一樹は一応「贋作」と断ってますから、違って当り前ですよね。と思うようになりました、、、
      2013/03/26
    • ako.さん
      > nyancomaruさん
      違っているけどそこがまた楽しいと思います。映画、これも観そびれたので、そちらも気になっています。
      > nyancomaruさん
      違っているけどそこがまた楽しいと思います。映画、これも観そびれたので、そちらも気になっています。
      2013/04/03
  • 時代物ファンタジーというか。

    浜路(はまじ)は、女ながら銃を抱えた山育ちの漁師。
    江戸の兄を頼って出てきたが、男の子のような姿でずだ袋と銃を放さない。十四、五とは思えぬ腕前。
    兄の道節は20ほどだが大柄。浜路と組んで噂の犬人間を捕獲しようとしていると、あちこちで出くわし、何度か銃でしとめることに成功する。
    それが瓦版で絵入りで報道されてしまい、大いに迷惑するのだったが。

    犬人間とは、一見普通の人間のように暮らしているのだが、凶暴な性格で、何をするかわからない。
    実は寿命は短い。
    吸血鬼かレプリカントみたいな存在かな。

    大人気の「八犬伝」を馬琴がまだ書き続けている時代。
    いささか出来の良くないその息子は、贋作八犬伝を書きつづっていた。
    それが謎の瓦版屋だったのだ。
    かって伏姫という実在の人物がいた?といういきさつを調べつつ。

    里見の地に、呪いを受けた姫が生まれた。
    父親の里見義実は「すべてに伏せて生きろ」と名付ける。
    伏姫は父親似の外見で、はっきりした顔立ちは綺麗だが、男の子同然のお転婆娘に育つ。
    弟の里見鈍色は待望の跡継ぎだが、妙に頭が大きく、身体はひ弱。
    大輔は鈍色のお供で、美しい姫に憧れつつ、一部始終を見て育つ。

    わがままな姉の伏は、弟が拾った犬を自分の物にしてしまう。
    目が青く、尾が長い、白い犬。
    八房と名付ける。
    その犬が…

    隣国の安西へ嫁に行く話もようやく決まっていたのに、突然裏切られ、里見の地を囲まれる。
    八房に戯れの言葉をかけた義実。(これは里見八犬伝のままですね)

    八房の妻となった伏姫は、重い衣装を捨てて犬にまたがり、銀の歯の森の奥深く入り込む。
    里見の領地には、誰も入ってはいけないと言われる不思議な森があったのだ。
    入れば気が狂ってしまうと…

    イメージの奔流。
    こってり艶々した雰囲気。
    なかなか面白かったです。

  • 子供の頃、里見八犬伝が好きでした。
    桜庭一樹さんの小説も好きなので期待値もMAXで読みました。

    ……それだけに、少し残念。

    よくできているとは思います。
    物語の中で『贋作・里見八犬伝』が語られ、
    その結末は幻想的で童話のようでもあります。
    しかし八犬伝としての壮大さや、心躍るわくわくが、
    この作品には感じられませんでした。
    これは美しく、儚い作品を目指しているのでしょうか。

    物語の中でしきりに語られる「因果」が本当に完結しているのか、
    自分には理解ができませんでした。
    台詞によく出てくる小さいぁぃぅぇぉ文字も、読むのに邪魔です。
    試みは評価したいのですが、いまひとつ深みが足らず楽しみきれませんでした。

    作品によって様々な解釈が加えられる八犬伝ですが、
    この作品の構成にも賛否両論あるかと思います。
    純粋で喜劇的な伏狩者の物語と、奇怪で悲劇的な伏の物語。
    物語の中でまったく別の物語を展開させることで、
    桜庭一樹さんの特徴がそれぞれに出ているのではと思います。
    『GOSICK』のラノベから『私の男』などでの一般小説まで、
    ジャンルの異なる読者を抱える桜庭さんですから、
    尚更進むべき道は独特で難しいのかもしれませんね。

    また小説自体とは別ですが、
    イラストと文体のギャップが激しく、違和感がありますね。

    と、ここまで非常に否定的ですが、悪いとは言いません。
    (不満はたくさんありますが、期待値が高かったからこそです)
    厚みの割には読みやすいです。
    帯を見るとアニメ映画化されるようですね。
    (意識してそうしているのかはわかりませんが、)
    確かにアニメ向きの作品ではあるかもしれません。

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著者プロフィール

桜庭 一樹(さくらば かずき)
1971年、島根県生まれの小説家。
1999年「夜空に、満点の星」で第1回ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。
『赤朽葉家の伝説』で第60回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編部門)、『私の男』で直木賞を受賞。他の代表作に『GOSICK -ゴシック-』『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』『赤朽葉家の伝説』などがある。
ゲームのノベライズやライトノベル作品や、山田桜丸名義でゲームシナリオを手がけるなど幅広く活躍している。

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