- 本 ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163297705
感想・レビュー・書評
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別冊文藝春秋2009年5月号機械の仮病、7月号無垢の父母会、9月号走る者は静止しない、11月号終端サークル、2010年1月号白く,甘く,やわらかく、3月号犯人捜し、の6つの連作短編に加筆修正を加え2010年11月文藝春秋から刊行。身体の一部が機械に置き換わる機械化病というものがある世界の話。表紙にインパクトあります。表題作がもっとも好み。機械化病という曖昧な現象にかかわる人々と世界を書いてあるのだが、ファンタジーでもなく不条理でもなく、これはぐだぐだな話だと思いました。ぐだぐだ世界の話で、ぐだぐだテイストがあります。
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機械がモチーフになっているということで、ゴリゴリのSFを予想してたんですが、
思いのほか哲学的なオチに着地していてちょっとびっくりしました。
章ごとに主人公が違うので、隙間時間に読みやすそう。
最終章が全章の総括といった構成です。 -
評価低めのようだけど、個人的にはおもしろかった。
構成も文体も癖をとった感じでさくさく読めた。
独自の文法?美学?ルール?を読解してから世界を理解しないといけない、という過程はない
不条理が病気をうむのか、病気を不条理とするのか。
不条理が絶望レベルに達したら死に至る病になると解釈していいのか。
書くことが病気(絶望)にたいする抵抗なのか、共存しているってことなのか、
どうしてこうなったかわかる(気がする)けど、
でもどうしたかったのかはわからない、
他の作品をもっと読めば想像できるのかな?というとっかかりになるかもしれない
問題が何一つ解決しない、謎は読者が納得するようには解けず、原因の正体に対する解釈も裁量にまかせるような終わり方を目指して書いたんだとしたら、
これでいいんだろうなと思う。
こういう投げるだけ投げて拾うのは勝手にして、みたいなちょっともやっとする話嫌いじゃない。
病気の症状が現実にはありえないような設定なのも、その具体性がぼかされて捉え方によっては描写が甘いとかいわれてしまいそうなのも、実際に存在する病気と重なったら台無しだとおもうとこの位の加減で良いような気もする。
まとまらなくてこれなのか、あえてちらかしてこれなのか、どうしても気になってしまうけど。
機械、歯車、ありふれた不条理、設定、解決しない疑問、そのまま読んで納得行かないって感想を抱ける人は、もしかしたら精神的には健康というか、活気があるのかもしれない。
劇的な解決を小説に求める人がよんだらおもしろくないだろうけど、じわじわと人間社会の苦しみを探すのが好きな人にはそこそこ楽しい刺激なんじゃないだろうか。 -
気づかないうちに体の一部が機械になってしまう機械病というものが生まれた世界の話。
機械化しても死ぬ事はなく、逆にその機能が衰えることはなくなり、健康的には良くなる気もするのだが、そうなることが気持ち悪くて人には言えない悩みとなる。
空想であり、空想でない。
機械(歯車)になってはならないと思いつつも気づかないうちにそうなってしまっている現代社会に対する問題提起か。
頭の中ではわかっているつもりでも、気づかないうちにそのように振舞っていることってたくさんあるなぁ。
最近好んで読む本とは全くテイストが違いましたが、なんだか考えさせられる作品でした。 -
秋田先生渾身の一般むけ!
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最終的に、よく解らなかった。
機械になっちゃったら、それは人間なのか?という問いかけがあるようにも見えたけど、人の在り方は機械かそうじゃないか、という部分とは別の問題だ、という結論になっているようだ。 -
自覚のないまま内臓や筋肉の一部が機械になってしまう『機械化病』。治療法もないが害もないこの病気の発見に大騒ぎになるが、やがて慣れて誰も気にしなくなった。
機械化病で人は死なない。だが、機械化病にかかっていて事故死した人の知人を訪ね歩く老刑事。
人は何を得、何を失ったのか・・・
見た目では決して分からなず、ただ体の一部がネジや歯車の部品と変わってしまう。痛みもなければその部分が病気になることもない・・・としても、やはり気味が悪い。
諦めてしまうからだろうか、安易に流されてしまうからだろうか、損得ばかりを選択の基準にするからだろうか。あるいは全ては時代のせいなのか。
何だかはわからないが、大事なものを失くしてしまった・・・そんな気分にさせられた。
著者プロフィール
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