聖夜 ― School and Music

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163297903

感想・レビュー・書評

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  • 読まなくても良かった。

  • 読み易いのに飲み込むのに時間の掛かる作品でした。牧師の父と元ピアニストの母を持つ主人公。オルガン部の発表に選んだ曲は、不倫の末に家を去った母との思い出の曲だった。
    主人公の少年は最初から最後まで悩み続けます。その悩みをオルガンを通じて昇華させていく様が胸に迫ります。オルガンという身近なようで身近でない楽器が、教会や宗教を背景に透明感をもって作品全体を覆います。そのため「許し」というキーワードが重い意味を持つことになります。そこが飲み込みにくさを感じる元にもなりましたし、ラストシーンに至るある種の解放感に繋がります。
    この作品は中学校の部の課題図書に選ばれているのですが、中学生がこれを読んでどう感想を抱いたのかは気になります。

  • この本自体が
    本なんだけど1曲の音楽みたい♪
    ラスト、主人公がオルガンを弾いている場面の描写がとても好み。読んでいてわくわく。もっとこの場面の描写が長かったら嬉しかったな!

  • この作品、好き。再読だな。

    オルガンのことや、神様のことや、主人公の心の葛藤が楽しく読めた。

    牧師である息子について話した祖母の台詞が心に残る。心が血だらけでも人のことは、特に身近な人のことは許して、自分に落ち度があったと自分をせめる。優しくてかわいそうな子だよ。。

    もう一つ、牧師である父の台詞。人を愛さない人間は神を愛せないし、神を愛せない者は真に人を愛することはできない。神への愛は、生きとし生ける、あらゆる生命の愛だ。身近な者を心から愛し、敬い、大切にすることは、そのまま、一つの信仰の形となる。

  • 読むのに2年ほどかかってしまった。

    読み終えてみると、読みやすかったし、特に時間がかかるような作品ではないのだけど。

    とある高校のオルガン部の話。モデルは青学。

    天才でひねくれてて性格の悪い主人公の青年。『一瞬の風になれ』の神谷とは正反対のタイプかな。
    あ、でも「今はいない家族に囚われている青年」ってところは同じか。

    神父の息子で、オルガン奏者だった母は不倫して出て行ってそりゃあひねくれても仕方ないよなあという環境。
    でも音楽のセンスは抜群で、部でも頭一つ出た実力。

    それなのに本人は何も納得していないというか、何も喜んでいないというか。
    オルガンを弾くと母のことを思い出す。
    でも弾く。

    多分、オルガンも母のことも大好きで、でも悲しい記憶には違いなくて。
    そこにオルガン部の天野の存在がぽーんと入ってきて。

    オルガンに関する描写は丁寧だし、弾く人の心情も良く描かれている。
    佐藤多佳子さん、作品を丁寧に作り上げる人なんだなと思う。

    高校生で、主人公にフラれてあんなに爽やかに会話する青山は、女子の鏡だな。
    あのひねくれ坊やに「青山は性格がいいな」と言わせただけのことはあるw

    問題児っぽいのに主人公の初めての(?)友達になった深井もなんだか実は変わり者だけど良い奴だったり。

    それぞれみんないい味だしてるよね

  • 可もなく不可もなく…ってかんじ
    面白くない事ないけど面白い!ここ面白い!みたいな盛り上がりがなかった…かも
    ラストはよかった
    いたって普通ってかんじ

  • メシアンの曲を通して、自分自身と向き合っていく主人公。母への複雑な想い。音楽と葛藤。家族、オルガン部の仲間、友人・・避けていた人との繋がりだったが、徐々に“音楽”によって繋がっていくことに幸福を感じていく。その過程が心情が丁寧に描かれていて、よかった。

    オルガンの優しい音色が、いつまでも心に響くお話。
    音は消えても、心に、記憶に、残っている。

  • 聖歌とオルガンが題材とあって全体的に穏やかな感じ。ただ、所々、気持ちの上下があってそれが程よかった。

  • オルガンの描写はすばらしい。演奏者の真理とか、弾いた時のレスポンスとか、よく研究して書かれているなあと思います。でも、人物に今一つ魅力がなかったのが残念でした。

  • ノートルダムのミサで体感した神聖な気持ちを思い出しながら読んでいた。作中に出てくる曲を聴いてみたり。
    やっぱりわたしは青臭いものがすきなんだと思う。二人の在り方がうつくしくて、やさしい気持ちになった。

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。1989年、「サマータイムで」月刊MOE童話大賞を受賞しデビュー。『イグアナくんのおじゃまな毎日』で98年、産経児童出版文化賞、日本児童文学者協会賞、99年に路傍の石文学賞を受賞。ほかの著書に『しゃべれども しゃべれども』『神様がくれた指』『黄色い目の魚』日本代表リレーチームを描くノンフィクション『夏から夏へ』などがある。http://www009.upp.sonet.ne.jp/umigarasuto/

「2009年 『一瞬の風になれ 第三部 -ドン-』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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