ベッドの下のNADA

  • 文藝春秋 (2010年12月9日発売)
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感想 : 40
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  • 本 ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163298207

感想・レビュー・書評

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  • *結婚五年目。夫は不倫をし、妻は恋をする。郊外の古いビルに住まい、その地下で「NADA」という喫茶店を営む夫婦の物語。今日も“coffee NADA”には常連客が集まってくるー*

    愛は、もうない。失望と嘘と虚しさ。ゆるゆるとした、物憂い日々。互いのすることに関心はないのに、互いの醸し出す空気には敏感。そんな、夫婦ならではの気怠い距離感の描き方が絶妙です。結末らしい結末はないけれど、不思議な余韻の残る一冊。

  • 住まいのあるビルの一階で、喫茶店を営む夫婦のお話。

    ここまでなら、ほっこり平和なストーリーを想像するところですが、この夫婦は、W不倫中。
    (妻の方は、キス止まりでしたが。)
    お互いの状況を、ある程度察していて、それを咎めることなく、でも、気にしている風。

    さらっと書かれているので、さほど深刻な問題に感じられない不思議さがありました。
    共感はできないけれど、これもありなのかな、と思ったり。

    これも夫婦の形、この二人には、この二人なりの愛があるのだろうと思います。

    決して自分に置き換えては考えられないけれど、小説内のこととしては、かなり興味深く、面白く読めました。

    夫婦それぞれの子供の頃の逸話の盛り込み方が上手く、引き込まれました。

    好き嫌いの分かれる話なのでしょうか?
    私は、好きでしたが。

  • 特に大きな出来事が起きるわけでもないけど、妻の子ども時代の回想が良かった。

  • 喫茶店「NADA」を営む夫婦を取り巻く話。
    前回読んだ井上作品がそうでなかったので、一人称で進んでいく物語が新鮮だった。吃驚するような展開や終わりではなかったけれど、夫婦ってこうして色々隠しながらもこっそり思いあって生きていくものかなーと思いました。思わず「ウーボーの不倫日記」をネットで検索してしまったのは私だけではないはず……

  • カフェを経営する岩崎夫婦と、お店に通う常連客たちとの交流。

    夫婦の間にはすでに愛は芽生えていなくて、夫はかつての常連客や同級生と関係し
    妻は常連客のミノルとの関係を持ち始めようとしている。

    揺れる思いと時間とともに徐々に回復へと向かっていく様。

    愛はないまま夫婦を続けるって怖いよね。
    雉猫~とかよりもどろどろしてなかったからよかった。

    おしっこ団が一番気になって読み進んだ)^o^(笑

  • カフェを営む夫婦と、常連客たちとの関係。
    夫婦というには距離がありすぎて、かといって離婚するほど遠くもない。
    この人の書く人間関係の距離感はリアルでうすら寒い。

  • この物語自体は、あまり好みではなかったが、この作者の文章構成や言葉の使い方は面白いなと思った。別の作品も読んでみたい。

  • 東京郊外で喫茶店を営む夫婦の日常が、妻目線・夫目線で交互に描かれる。
    正直言って、あまり好きなタイプの小説ではなかった。登場人物が好きになれなかったのだ。特に主人公である夫婦が、ものすごく繊細なのに何か冷めていて、全てに実感がなく、ふわふわとつかみどころがない感じがして…面倒くさい人たちだなあと思ってしまって、いまいち共感も理解もできなかった。

  • 喫茶店を営む夫婦の不穏な日常が、彼らの過去を挟んで展開する。
    特に主張のある登場人物はいない。過去といっても、トラウマではない。
    愛か憎しみかもわからない。

  • 人と人との間にある不穏さを文章にすると、こんな感じになるのか。
    現実でも”言葉の裏を読む”とか”行間を読む”とかが苦手で億劫な私は、文字で読んでもやはり面倒に感じる。

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著者プロフィール

1961年東京生まれ。成蹊大学文学部卒。1989年「わたしのヌレエフ」でフェミナ賞、2004年『潤一』で島清恋愛文学賞、2008年『切羽へ』で直木賞、2011年『そこへ行くな』で中央公論文芸賞、2016年『赤へ』で柴田錬三郎賞、2018年『その話は今日はやめておきましょう』で織田作之助賞を受賞。他の作品に『もう切るわ』『ひどい感じ 父・井上光晴』『夜を着る』『リストランテ アモーレ』『あちらにいる鬼』『あたしたち、海へ』『そこにはいない男たちについて』『百合中毒』『生皮 あるセクシャルハラスメントの光景』『小説家の一日』『僕の女を探しているんだ』『照子と瑠衣』『猛獣ども』『しずかなパレード』などがある。

「2025年 『私たちが轢かなかった鹿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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