花の鎖

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 627
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163299709

感想・レビュー・書評

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  • 2011.9
    普通でした。3つの話が すべて世代の違う同じ家族の話っていうところは おもしろかった。書き方は やっはりすごい。でも 告白にみるコワサは まったくなくなってるよね

  • 彼女の作品は、人の心の奥底の本性を暴きだす、静かながらも恐ろしいものばかり読んできました。
    こんなどろどろした人の内面心理は知りたくないと思いながらも、平穏な日常の中に起こりうる異常な普遍性が気になって、苦手意識を持ちつつも、引き込まれるように彼女の著書を読んでいます。

    この本もそうした流れの上にある、心理ミステリーかと思いながら、(今に来る、もうすぐ来る)とドキドキしながらページをくくっていきましたが、結局今回は、普通の生活から激しく逸脱するような展開は無く、(あれ?)と思いました。
    いつもミステリー調の物語ばかり書く作家ではないということでしょう。
    そういえば『少女』も、ミステリーではなかったような気がします。

    深刻な犯罪下における息詰まる心理戦、不信や裏切りといった本音の応酬はないものの、自分に関わる謎の人物の素性を知ろうとするところから話は始まるため、クライムサスペンスならずともちょっとしたミステリー調。
    いつも花束を届けてくるKという存在が、あしながおじさんのようでも、紫の薔薇の人のようでもあるため、ロマンチックさも醸し出されています。

    章ごとに、花、雪、月の話に分かれ、それぞれ一人称となる女性が異なります。
    (なんだか宝塚みたい)と思うし、何の説明もなく話が展開していくため、ばらばらの話を追っていくのに、骨が折れましたが、3人とも「アカシア商店街の梅香堂のきんつば」が好きだという共通点があるため、近くに住んでいる者同士なのかと思いながら読んでいきました。

    そのうち、それぞれの話の展開が気になっていき、3人の繋がりには特に気を留めなくなっていましたが、梨花の探すKの正体が徐々に明らかになるにつれ、3人の女性の関係もゆっくりと見えてきます。
    なるほど、そういう意味で、作品タイトルに繋がっていくんですね。
    終始あだ名で通っており、本名がずっと明かされずにいた人もいましたが、梨花、紗月、美雪、と3人の名前を並べてみると、確かに花、雪、月の話となりました。

    まさか生きる時代が違ったとは。上手に書かれているので、そのからくりに全く気がつきませんでした。
    たしかに、きんつばとはまた、今どき渋いお菓子を出してきたものだとは思いましたが。

    逆境に負けずにふんばり抜いてきた美しい女性たち。
    現代の追い込まれた状況に途方に暮れる梨花も、祖母や母のようにがんばって強く生きていけそうなエンディングです。
    Kの正体は、結局明かされてみれば、ロマンチックさは消え、妙に現実感漂うものだったところに、リアルな生々しさを感じました。

    ミステリーを期待していた分、拍子抜け感はいなめませんでしたが、普通の小説としては良く作り込まれた物語だと思います。
    でもやっぱり、普段彼女の作品を読むたびにガツンとした衝撃を受けているため、今回はちょっと物足りない気がしました。

    そして、きんつばに生クリームはやっぱり合わないと思います・・・。

  • 3世代のお話が徐々に繋がっていく、タイトル通り鎖で繋がっていくようなお話。恨みがベースを流れ、ちょっと重苦しく感じました。また、出てくるお花も青い花であって物悲しい感じでした。コマクサとはどんな花なんだろうと最後に思いをはせました。

  • さらりとよめる

  • う~ん 続けざまに2冊 湊さんの本を読んだ。
    「告白」も以前読んだ。

    よく練られているとは思うけど、湊さんの作品は
    私にとっては 悲しすぎる・・・・  普段読んでいる本
    との作風がかなり違う。(;_:)

    3冊読んで、私好みの作家さんではないことが
    よくわかった。
    (私の趣味と違うというだけで、湊さんは優れた方
     だと思います。好みの問題です。)

  • <内容>元英語講師の梨花、結婚後、子供ができずに悩む美雪、絵画講師の紗月。3人の女性の人生に影を落とす謎の男「K」。感動のミステリ。

  •  なんだかんだでデビュー作から読んでしまう湊かなえさん、新刊です。今までと若干雰囲気が違う、毒々しさの少ないあっさりした作品でした。

     ミステリー?かな。いくつかの話が並行で進んでいるように見せかけ、徐々にそれらの繋がりが分かってくる。Kとは誰なのか、最終的にどう話がまとまるのか、というところが見せ場かな・・?

     ん~、新しい作風に挑む試みは買いますが、正直個人的にはイマイチ・・。登場人物も分散してるので、あんまり感情移入も出来ず、作者さんの頭の中ではきれいに出来上がった物語かもしれませんが、それが読み取りづらい・・。

     きっと、次も読むと思いますが、1作目が大ヒットしてしまったツケが若干きてしまったような・・・。がんばってほしいです。

  • 久しぶりの湊かなえ作品。
    今出てる中では新作かな?
    図書館でかなり予約待ちしました。

    読み終わった感想としては「え、本当に湊かなえ作品!?」
    今まで湊さんの作品ってミステリーというイメージが強かったのですが、それを覆される作品でした。
    最初は3視点あるので話を理解するのに時間がかかりますが、トリックわかってからの中盤からは一気読み。

    主人公である梨花(りか)、美雪(みゆき)、紗月(さつき)の3人の視点で展開されていきます。
    キーワードは

    ・『梅花堂』のきんつば
    ・『山本生花店』(りんどう、コスモス・・・etc)
    ・登山
    ・ミスアカシア
    ・香西路夫(画家)
    ・K

    これらの共通点で次第にどういう事か気付き始めました。
    3章あたりかな?
    でも時系トリックはやっぱり気づきにくい・・・。

    どろどろなんだけど、今回は湊さんにしてはスッキリ終わりました。
    ラストの6章は訳もわからず涙が止まりませんでした。
    美雪さんの視点がやっぱり一番ぐっときました。
    和弥さんがステキすぎる・・・涙
    そして美雪さんの女性としての決心。
    母になる強さに感動しました。
    あとは美雪さんと紗月さんのつながりかなー。
    ドナー決心したときのやりとりは涙無しでは読むことができませんでした。

    展開が伊坂幸太郎さんの十八番の展開と全く同じでしたね。
    3つのバラバラな話がひとつにつながるところでそう感じました。
    回収がとてもきれいで最後のまとめ方私は好きです。
    新しい湊さんの一面を見ることが出来た1冊でした。
    『告白』しか読んでない方はこれを読んだら確実にびっくりするでしょう。
    そして無性にきんつばが食べたくなる作品でしたw
    私も『梅花堂』きんつば(生クリーム入りコスモスも!)食べてみたい・・・!!
    これからの湊かなえ作品にも期待!
    新作出たら絶対に読むでしょう。



    「そうですね。人って思いがけないところで繋がって、一度その鎖を断ち切っても、別のところで繋がっていたりするんですよね。」


    雪月花――親と子の名前にこんな美しい繋がりを持つことができれば、どんなにすばらしいでしょう

  • 第5章くらいでやっと人間関係がわかりました。読後感はそんなに悪くない。

  • 湊かなえ「花の鎖」を読んだ。セカンドステージと銘打つだけあり、底に横たわる悪意みたいなものは感じられず、一線を画した感はある。一見ばらばらの話が鎖のように絡まっていくのだが、斜め読みの私にはどの話が誰のエピソードかわからなくなってしまい、ちょっと混乱した。注意深い読者だと絡まりつつある所でもっと楽しめるのだと思う。

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著者プロフィール

1973年広島県生まれ。2007年『聖職者』で「小説推理新人賞」を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビューする。2012年『望郷、海の星』(『望郷』に収録)で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞する。主な著書は、『ユートピア』『贖罪』『Nのために』『母性』『落日』『カケラ』等。23年、デビュー15周年書き下ろし作『人間標本』を発表する。

湊かなえの作品

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