円卓

  • 文藝春秋 (2011年3月8日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784163299808

みんなの感想まとめ

子どもならではの純粋な視点と独特の感性を持つ主人公、渦原琴子の成長を描いた物語は、読者に深い共感を呼び起こします。彼女の視点から描かれる日常の出来事や家族、友人との関係は、笑いや涙を誘いながらも、心に...

感想・レビュー・書評

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  • 「円卓」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか?

    かつてそれは「アーサー王物語」における上座下座のない円卓を囲む騎士たちの呼称”円卓の騎士”という答えが多かったのかもしれません。しかし現在多くの人の頭に思い浮かぶのは、恐らく中華料理店で仲間と囲む丸いテーブルでの食事の光景ではないかと思います。中国伝来と思われがちなその円卓。1932年に東京・目黒雅叙園で生まれたという実は身近な円卓の起源。見るだけでなんだか気持ちが高揚し、会話も食欲も増しそうな赤の丸いテーブル。そんな円卓をなんと自宅の居間に設置した家庭があります。『とても大きいから、居間のほとんどを、占拠している』というその円卓。『とんでもない存在感、深紅だ』というその円卓。『卵焼きも野菜炒めもそうめんの薬味も、円卓をくるくる回り、家族に届けられる』というそんな円卓を囲む渦原家の人たち。この作品は、そんな家族の中で愛され、日々成長していく小学三年生・こっこの物語です。

    『香田めぐみさんが、眼帯をして登校してきた』という『三年二組』のある朝。『どうしたんそれ、取ってみて』と騒ぐ皆に『うん、ものもらい』、『さわったら、うつるんよ』と大人な態度で席に着いた めぐみ。『学級の中でも背がうんと高』いこともあって『自分たちより自動的に大人に近い』と見られる めぐみ。そんな めぐみに『モアッとした「憧れ」を、一番、胸に秘めている』のが主人公の渦原琴子。『ことこ、が言いにくいので、こっこ』と呼ばれる小学三年生。そんな こっこは『ジャポニカの「じゆうちょう」に「ものもらい」』と書きながら『ものもらいという病気を患ったら、あの、白くて格好のいい「がんたい」を目に装着することができる』と考えます。『わたくしにちかづいたら、うつるのよ。どうか、ひとりにして』と言いたいと思う こっこ。『それによって得られる孤独を思って、うっとりする』こっこ。『香田は眼帯が取れるまで、体育休みやから』と担任教諭であるジビキが言うのを聞いて『そ、そ、そそれは、ええ、え、えらいこっちゃ、なぁ!』と興奮して、リズムに拍車がかかるのは、吃音の男子児童で幼馴染のぽっさん。『あそこに座りたい。みんなと私は違うのだということを噛みしめながら、片方の目だけで、みんなを見つめていたい』と思う こっこ。『好きな言葉、八歳にして、「孤独」だ』という こっこ。そんな彼女の家庭は『六十八歳の祖父と、七十二歳の祖母、三十五歳の父と、三十九歳の母と、十四歳の三つ子の姉』という八人の大家族。『青い屋根と波打った白い外壁』の公団住宅の三階に暮らす渦原家。そんな こっこに『「孤独」は訪れない』と三つ子の姉と六畳の部屋を共にしています。『あの三つ子の妹』とずっと言われてきたことを大嫌いだと思う こっこ。『姉らを「こっこの姉の三つ子」と呼べ、と思う』こっこ。そんな 渦原家の居間のテーブルは『潰れた駅前の中華料理屋、「大陸」からもらってきた、円卓』、それは『とんでもない存在感、深紅』というその『円卓』を囲む八人の家族。そんな家族の中の一番年下としてみんなに可愛がられる こっこの成長の物語が描かれていきます。

    『こっこ』というあだ名で呼ばれる小学三年生・渦原琴子の数ヶ月の日常を切り取ったこの作品。解説の津村記久子さんが『何かが起こるようで起こらないことと、何かが起こらないようで起こるという状況を絶えず行き来している』と書かれる通り、大人の目からすると、事件が起こりそうに見えて何も起こらない一方で、小学三年生の こっこの目からは日々大きな変化が起こり、また起ころうとしている、そんな視点のギャップを上手く整理しながら物語は進んでいきます。そんなこの作品の一番の魅力は、”言葉のシャワー”の中に こっこと共に飛び込むということだと思います。学習指導要領によると小学校三年までに習う漢字の数は1年(80字)、2年(160字)、そして3年(200字)。この作品で描かれる夏休み前後の時期であれば、まだその総数は300数十字程度に過ぎません。私たち大人は、知らない言葉、初めて聞いた言葉であっても、まずは知っている漢字を組み合わせて理解しようとします。日本語はその方が理解しやすい言語だからです。しかし、知っている漢字の総数が少ない小学三年生は、そのまま平仮名で理解する他ありません。『がんたい』、『ふせいみゃく』、そして『こどく』と言葉を平仮名のまま自身の中に吸収していく こっこ。そして、次にその意味合いを辞書からの知識ではなく、自身の経験によって理解していく こっこ。そこには、この年代ならではの”言葉を知る”ことへの貪欲な姿と、”言葉を知って”成長していく一人の人間の姿を見ることができます。そして、そんな こっこを見守る読者は、知らないうちにそんな”言葉”の持つ魅力を再認識する、そんな機会を与えてくれる、そんな作品でもあるのだと思いました。

    そんなこの作品の中で、こっこの一つの転機となるのが作品後半に登場する『鼠人間』だと思います。この作品は解説の津村さんが書かれる通り『まずは、登場人物たちのとんでもない個性に心を奪われ』ます。小学三年生の こっこ視点で描かれるこの作品では、学校のクラスメイトも、渦原家の面々も多種多様な個性あふれる人物揃いです。『こっこの好きな言葉、八歳にして、「孤独」だ』という こっこがごく普通の小学三年生に感じられる位に多彩な人々に囲まれるその物語。そんな物語を読んでいると、どこか自身の感覚も麻痺してしまって、『鼠人間』という三文字が出てきても違和感を感じられなくなってしまいます。『こっこはひとりで遊んでいた』というある日。『ひとりで遊んではるのん』と声をかけるのは『暑いさなか、長袖鼠色のつなぎを着、肩ほどまでの脂ぎった髪を、真ん中でぴたりと分けた』といういかにも怪しい人物、それが『鼠人間』。改めて読むと違和感満載のこの人物に『お名前、なんて言いはるのん。』と『大人の対応』をする こっこ。そんな こっこが『鼠人間』のなんたるかを”言葉”をもって知るのはしばらく経ってからのことです。そんなしばらく経ってからの こっこは、『鼠人間』のなんたるかを知らなかった少し前の こっことすでに同じではありません。”言葉”を知ることによって、短い間に、どんどん成長を見せていく こっこ。無垢な子供が大人になるということを感じさせる一つのエピソード、それが『鼠人間』の登場なのだと思いました。

    そんな こっこ視点で展開するこの作品ですが、視点が担任のジビキに移動する瞬間が一箇所存在します。『夏休みを過ぎると、教室には、すっかり様変わりした児童らがいる』という大人視点の登場。『夏の一ヶ月半が、子供を劇的に変えるのだ。だがその変化に、本人は気付かない。気付くのは、いつも成人である』というその視点が見るもの。そのあまりの変化に『自分だけが取り残されているような気分だ』とさえ感じるジビキ。『この子らの延長に、自分のような人間がいるのか。では自分も過去、こんなに眩しかったのだろうか』と過去の自分を重ね合わせるジビキ。自分の一番古い記憶は何なのか?時々そんなことを考えることがあります。この作品の主人公・こっこと同じ年代に自分は何を思い、何を考えていたのか?今となっては、はっきりしたことは思い出せません。しかし、一つ言えるのは、そんな時代の自分も こっこと同じように日々、刻々、新しい”言葉”に出会い、それを経験とともに身につけていく、そういったことの繰り返しをしてきたということです。そして、今の自分は間違いなくその延長線上にいる存在だということ。あの時代、その時代は誰にでも一度きりのものです。そんな時代をとうに過ぎ去った人間から見ると、眩しい時代を過ごす彼らと過去の自身を重ね合わせるのは難しいかもしれません。しかし、そんな大人にも同じような時代は、確かにあった、だからこそ、そんな彼らを眩しいと、今、感じることができるのではないか、そんな風に感じました。

    『こっこの前で、円卓がくるくると回る。麻婆春雨茄子豆腐も、残りわずか。なんたる健やかで、デリカシーのない食べ物であろうか』という渦原家の幸せそうな団欒の場が繰り返し登場するこの作品。それを『大家族の幸せそのものではないか。なにがおもろいねん』と冷めて見つめる こっこの日常が描かれるこの作品。それは『新しい単語に、皆また夢中になる』と日々、刻々、新しい言葉を身につけていく、そんな今を生きる こっこの成長を垣間見るものでした。

    活き活きとした”こてこての大阪弁”の魅力と、それを使う個性あふれる登場人物の魅力、そしてその中で少しづつ成長を見せていく こっこの魅力をたっぷり感じさせてくれるこの作品。これぞまさしく西加奈子ワールド!、そんな作品でした。

  • 主人公は、小学3年生の「こっこ」こと渦原琴子。
    本作は彼女の世界観を存分に愉しめる作品だった。

    いやぁ〜それにしても読書しながら面白すぎて涙を流したのは久しぶり。
    純粋無垢な子どもならではの着眼点や、物事の見方、感じ方がたっぷり。私自身もはるか遠い記憶を手繰り寄せながらたくさん笑った。

    個人的に、若手の作家さんで子どもの目線を描くのが抜群に上手なのは辻村深月さんだと思うが、西加奈子さんはまた毛色の違う味わい深さがある。一つ一つの言語や、響きがストレートに胸に刺さる。この感覚が作り出せるのは言葉を紡ぐプロならではだと思う。

    「神」の視点のように第三者視点で進む本作。
    初めはなんとなく違和感があったが、読み進めるにつれ独特のテンポ感にすっかりハマった。

    こっこの家族や友人も、個性が際立っているのでとても読みやすい。わたしは特に、こっこの親友である
    ぽっさんのファンになってしまった。
    中盤、鼠人間の登場により、不穏な空気感に包まれたが、この話の落とし所もすごくリアルだった。
    ぽっさんが一緒に居られなかったことを詫びる一方、こっこはずっと憧れ続けたある感情を抱く。
    ユーモア中心だと思っていたので意表をつかれた。

    一冊読み終えただけで、こっこの成長ぶりをハッキリと感じて胸があたたかくなった。
    自分の幼少期を思い出しながら、泣いたり笑ったり感動したり・・・
    いい意味で心のデトックスが出来る作品だった。

    深紅。深紅。
    ジャポニカ学習帳!
    (確かに動植物の接写が多かったなぁ笑)
    西加奈子さん、もう絶対楽しい方だと思う。

  • ぽっさんが、こっこに、ジビキが怒った理由を一生懸命説明する場面がなんだかすごく良かった。
    周りと違うことをカッコいいと思うこっこと、周りと一緒でないことを苦しいと思う子のギャップに、こっこ本人が最後の方で気が付きつつある感じでしょうか。

  • 琴子みたいな子供、意外といると思います。
    何か悟っているような雰囲気がとっつきにくくもあるけれど、
    どこか憎めない可愛らしさもあって、クスッと笑えて楽しい物語でした。

  • フォローしている方のレビューで絶対面白いに違いない!と図書館で借りた。大正解!!笑いのツボにドはまり。ありがとうございました。
    西加奈子さんの本、どうしてこれまで読まなかったんだろう。「この凡人が!!」とこっこと石太に言われそう(;'∀')

    こっことは、この本の主人公・琴子。
    小学校3年生。家族は、祖父母、両親、三つ子の姉。
    みんな琴子のことが大好きで愛されてるけど、不満。
    憧れは「孤独」とか「同情」とか。8歳にして中二病っぽい。クラスの大人びた女子が「ものもらい」で「眼帯」をしてくれば、じゆうちょう(ジャポニカ!『だれおもあけることならぬ』と書き込んだ)に「ものもらい」と書き留める。別名を教われば「ばくりゅうしゅ」も追加。そして、どうにかして眼帯を手に入れられないものかと考える。
    「こっこは孤独になりたい。誰からも理解されず、人と違う自分をもてあまし、そして世界の隅で、ひっそり涙を流していたいのだ。」

    前半はとにかくもう笑いすぎて、近くにいた家族が引くくらいだったのだけれど、後半は急展開。
    「ものもらい」の真似はいいけど「ふせいみゃく」や「きつおん」の真似はダメなのはなぜか。こっことぽっさんの対話を読み進めながら、自分も一緒になって考えた。

    薄めの本なのに、こんなに笑って考えさせられて。
    子ども時代を懐かしく思い出し。。たかったけど、なんだか全然覚えていなくて寂しかった(-_-;)

    映画にならないかなー絶対観るのに。と言っていたら、とっくに映画化されていた。芦田愛菜ちゃん主演。

    • オステオさん
      こんばんは!
      さてさてさんのおかげで、こんなに面白い本と出会うことができました。本当にありがとうございます!
      他に、西さんの本でおすすめ...
      こんばんは!
      さてさてさんのおかげで、こんなに面白い本と出会うことができました。本当にありがとうございます!
      他に、西さんの本でおすすめがあればぜひ教えて下さい。とにかく笑いのツボにはまってしまいまして。加奈子ワールドをもっと堪能したい!!
      私も映画、観てみたいと思ってます。芦田愛菜ちゃんのこっこ、期待できそう~
      2021/03/10
    • さてさてさん
      オステオさん!
      西さんの作品は本物の大阪弁を感じられるのもいいと思います。その線では、「きいろいゾウ」だと思いますがちょっと読みづらいかもし...
      オステオさん!
      西さんの作品は本物の大阪弁を感じられるのもいいと思います。その線では、「きいろいゾウ」だと思いますがちょっと読みづらいかもしれません。個人的には、短編集の「しずく」がお気に入りです。今まで読んだ中では一番好きです。
      ただ、まだまだ私も西さんの読めていないので「サラバ!」も楽しみです。
      どうぞよろしくお願いいたします。
      2021/03/11
    • オステオさん
      さてさてさん、こんにちは~
      ありがとうございます。
      「しずく」ですね。レビュー読ませていただきました。猫の女子ふたり、ユニークで気になり...
      さてさてさん、こんにちは~
      ありがとうございます。
      「しずく」ですね。レビュー読ませていただきました。猫の女子ふたり、ユニークで気になりました!今日は偶然、友人から「きいろいゾウ」のさわりを聞きました。今の私には「しずく」の方が良さそうです。
      またいろいろ教えてください♪
      2021/03/11
  • うわ、これたまりません。
    内側を直球で攻めて来る話。

    こっことぽっさんの
    「ふせいみゃく」とーくがごんごん来ます。
    (“いまじん”でまとめちゃう所は微妙に不満)

    可愛くない子どもの話は
    本当に可愛いよ。

  • 大好き。文章が音楽みたい。
    ほんまに、この本がこの世に在って良かったと思う。

  • 忘れていたことを思い出すような、言葉に出来ず随分昔に流れていったものに触れられるような、そういうよさがあって大好き

  • 「こっこ」と呼ばれている琴子は、大阪の下町に住む小学3年生。
    祖父母、両親、三つ子の姉と 8人家族で狭い公団住宅に円卓を囲んで暮らしているのだけれど、平凡で普通の日常に飽き飽きしている。
    ものもらいになった友だちをうらやましいと思い(この心境、分かる、私もそんな小学生で、眼帯デビューした日に、ようやく体験してみて、不自由さをしったので)、吃音の幼なじみのぽっさんの話し方をカッコイイと考えてしまったり、友達の不整脈をこれまたうらやましいとも思ったり、人と違うことに憧れてしまう。
    少女の心の揺れうごきをユーモラスに描いているので、何度も、笑いをこらえながら読めた。

  • ことこの天真爛漫さが良かったです。また、周りの人達が暖かく見守ってくれているので、きっと健やかに育つのだろうなと思います。

  • 自我が強くて人と同じは嫌な小学3年生琴子と、3つ子の姉と両親と祖父母、クラスメイトに幼なじみと、それぞれ個性的な人に囲まれたひととき。

    ここまで強くはなかったけれど、具合が悪くてみんなに心配されたいがために病気を切望したり、でもいざなると普通に戻りたいと思ったり、誰もが1度は思うことが書かれていて共感した。

    関西弁なのもあるけど、語り口がとても軽快でリズムもよく、どんどん先が読みたくなる文だった!

  • 主人公である琴子と同じ小3ながら、七福神の中でもマイナーな寿老人をこよなく愛するぽっさんは、もはや人生を達観していてその貫禄がすごい。

    22.09.04読了

  • なんだかこっこちゃんの感情を理解することが、難しいと感じた部分が多かったです。
    自分が小学生だった頃のことはもうあまり覚えていないですが、こっこちゃんは色々すごく考えるんだなぁ、すごいなぁと素直に思ってしまいました。

    ぽっさんがとても、素晴らしい人間ということは分かりました。

  • これまで出会ったことのない小説。

    落語でも聞いているような、
    テンポのよい会話。

    何度も声を出して笑ってしまった。

  • 感覚を言葉にしてその言葉が他者の目に触れるとき、おそらく言葉はそこで意味を持ち、また感覚の持ち主だけのものではなくなる。感覚と言葉につながりはあっても、二つは同じものではないし、また永遠に続く結びつきでもない。
    感覚をそのまま伝えることはできない。命は一人きりではない。言葉と感覚の結びつきを強くするには努力と時間が必要で、結びつきの広がりは雨が降る水面のように小さな波紋によって伝わっていく。

  • 再読、二度目。西加奈子さんの作品の中でも、安定感、ユーモア、クオリティーが抜きん出てる作品。あっさりさっぱり読めるのに決して浅くなく、面白いのにちょっぴりホロっとくる。きっとこれから先、何回読んでも面白いと思う。

    何が魅力的って、これでもか!というくらい個性的な登場人物たち。主人公の小3女子こっこはもちろん、その家族、同級生、学校の先生、はては変質者まで、被りなしの個性が散りばめられててきらきらしてる。すごい。それぞれ決して軽くない事情を抱えてるのに読者を深刻にさせない、それすら愛すべき個性である!と感じさせる軽妙な語り口。すごい。でもこれは想像力(イマジン!)の足りないこっこ視点だからこそなのかもしれない、が、「吃音」「難民」「在日韓国人」という単語だけでわけもなくソワソワしてしまうよりも、よっぽど素直で誠実なのかもしれない、とも思う。

    あと個人的に、うさぎが散歩のときに「外やで外やで」と歌う、この表現の仕方がめちゃくちゃ好き。何が好きって具体的に言えないけどめちゃくちゃ好き。多分うさぎは本当に歌ってると思う。こういう西加奈子節がみっちり詰まってるのも「円卓」の魅力の一つ。「外やで外やで」「外やけどー」

    自分以外誰も気付かないけれど、決定的に過去の自分と隔たってしまった瞬間、というのは誰にでもあるだろう。その瞬間を切り取って、丁寧に、切実に、寂しく、愛おしく、悲しく、まるでコマ送りのように、文字に起こすこと、それが一等上手なのが西加奈子という作家である。この「円卓」はまさにそれ、こっこが憧れていた「孤独」を本当の意味で知ること、「寂しさ」を経験すること、成長すること。それでも、大丈夫だよ、という、そんな物語である。

    ところでこの「円卓」、実写映画化されているのをTSUTAYAで発見、微塵も期待せず観たみたのだが、どちゃくそ面白かった。主演は流石の芦田愛菜さん、演技力がすごいです。拍手。

  • この作品の評価が高いのにはびっくり。ちびまる子ちゃんの現代版かと思った。自分には合わない。

  • めちゃよみやすかった。西加奈子は読みやすいの読みにくいの別れるなぁ。

    こっこちゃん、普通じゃないのがかっこよくて、小難しい言葉を使いたがって、なかなかかわいかった。かっこよさ求めて常識わかんないって、こどもながらの素直なこっこちゃんの気持ちもわかるんだけど、説明するの難しいなって。ぽっさんの考え方大人なとこ、ちゃんとこっこちゃんのことわかっててじっくり話してくれるとこ、惚れてまうわー。

  • 「ひ、ひとりにして、す、すまんかった。」
    ああ!そう言って透明の涙をはらはらと落としたぽっさんが男前すぎて泣ける。
    肉子ちゃんを抜いてわたしの中で西加奈子No.1に躍り出た小説。

  • 大いに笑ってしまう。こっこのノートの内容が特に秀逸。
    「ししゅんきはだれにもやってくる
    おまえにもおまえにもおまえはだれだ
    ししゅんきです」

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著者プロフィール

1977年、テヘラン生まれ。2004年、『あおい』でデビュー。07年、『通天閣』で織田作之助賞を、13年、『ふくわらい』で河合隼雄賞を、15年、『サラバ! 』で直木賞をそれぞれ受賞。その他の作品に『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『まく子』『i』など多数。

「2018年 『おまじない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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