円卓

著者 :
  • 文藝春秋
3.93
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本棚登録 : 1463
レビュー : 270
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163299808

作品紹介・あらすじ

世間の"当然"に立ち止まり、悩み考え成長する物語。うるさいぼけ。なにがおもろいねん。平凡やしあわせに反発する琴子、小学3年生。好きな言葉は、「孤独」。

感想・レビュー・書評

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  • 忘れていたことを思い出すような、言葉に出来ず随分昔に流れていったものに触れられるような、そういうよさがあって大好き

  • 再読、二度目。西加奈子さんの作品の中でも、安定感、ユーモア、クオリティーが抜きん出てる作品。あっさりさっぱり読めるのに決して浅くなく、面白いのにちょっぴりホロっとくる。きっとこれから先、何回読んでも面白いと思う。

    何が魅力的って、これでもか!というくらい個性的な登場人物たち。主人公の小3女子こっこはもちろん、その家族、同級生、学校の先生、はては変質者まで、被りなしの個性が散りばめられててきらきらしてる。すごい。それぞれ決して軽くない事情を抱えてるのに読者を深刻にさせない、それすら愛すべき個性である!と感じさせる軽妙な語り口。すごい。でもこれは想像力(イマジン!)の足りないこっこ視点だからこそなのかもしれない、が、「吃音」「難民」「在日韓国人」という単語だけでわけもなくソワソワしてしまうよりも、よっぽど素直で誠実なのかもしれない、とも思う。

    あと個人的に、うさぎが散歩のときに「外やで外やで」と歌う、この表現の仕方がめちゃくちゃ好き。何が好きって具体的に言えないけどめちゃくちゃ好き。多分うさぎは本当に歌ってると思う。こういう西加奈子節がみっちり詰まってるのも「円卓」の魅力の一つ。「外やで外やで」「外やけどー」

    自分以外誰も気付かないけれど、決定的に過去の自分と隔たってしまった瞬間、というのは誰にでもあるだろう。その瞬間を切り取って、丁寧に、切実に、寂しく、愛おしく、悲しく、まるでコマ送りのように、文字に起こすこと、それが一等上手なのが西加奈子という作家である。この「円卓」はまさにそれ、こっこが憧れていた「孤独」を本当の意味で知ること、「寂しさ」を経験すること、成長すること。それでも、大丈夫だよ、という、そんな物語である。

    ところでこの「円卓」、実写映画化されているのをTSUTAYAで発見、微塵も期待せず観たみたのだが、どちゃくそ面白かった。主演は流石の芦田愛菜さん、演技力がすごいです。拍手。

  • めちゃよみやすかった。西加奈子は読みやすいの読みにくいの別れるなぁ。

    こっこちゃん、普通じゃないのがかっこよくて、小難しい言葉を使いたがって、なかなかかわいかった。かっこよさ求めて常識わかんないって、こどもながらの素直なこっこちゃんの気持ちもわかるんだけど、説明するの難しいなって。ぽっさんの考え方大人なとこ、ちゃんとこっこちゃんのことわかっててじっくり話してくれるとこ、惚れてまうわー。

  • 大いに笑ってしまう。こっこのノートの内容が特に秀逸。
    「ししゅんきはだれにもやってくる
    おまえにもおまえにもおまえはだれだ
    ししゅんきです」

  • 小説ってこんなにおもしろいのかとおもった。

  • これまで読んだ小説のなかでもかなり面白かった。
    個性豊かな登場人物たちの会話、心の声、戯曲のト書きのような、ちびまる子ちゃんのナレーターのようなツッコミまじりの巧妙で軽快な関西弁ですすむ文体。わたしが関西人ということを差し引いても読むのがかなり楽しい。
    ストーリーもちゃんとあって。
    読んでよかった。
    しかし映画化するらしいけど、映像でこの面白さ、表現できるのかな…

  • すごくよかった!泣けた!ぽっさん、最高。孤独になりたいほんとは幸せな小さな女の子が、少し大人になっていく姿が、元気でた。真摯に生きるってすごい。また読みたい。

  • うわ、これたまりません。
    内側を直球で攻めて来る話。

    こっことぽっさんの
    「ふせいみゃく」とーくがごんごん来ます。
    (“いまじん”でまとめちゃう所は微妙に不満)

    可愛くない子どもの話は
    本当に可愛いよ。

  • こっこの成長。

    ごそんがんをふんでくれはるのん。

    言いたくなるフレーズ。

    ごそんがんをふんでくれはるのん。

  • これも「ブックマーク」の本のアンケートで書かれていた本。小学3年の「こっこ」こと渦原琴子(うずはらことこ)という、もしかしたらフツーの発想では理解できへんかもしれへん子どもが主人公。

    例えば、こっこは、眼帯をして登校してきた級友・香田めぐみさんへの憧れを、人一倍胸に秘めている。
    ▼ものもらいという病気を患ったら、あの、白くて格好のいい「がんたい」を、目に装着することが出来る。そして片方の目だけで、世界を見ることが出来るのだ。
     こっこは言いたい。
     わたくしにちかづいたら、うつるのよ。どうか、ひとりにして。(p.5)

    先生の隣で三角座りをして、体育を休む香田めぐみさんのその場所に、こっこも座りたい。片目だと遠近感が分からないという先生の説明はよくわからないが、そのわからなさもまた魅力に思える。
    ▼こっこは、あそこに座りたい。みんなと私は違うのだということを噛みしめながら、片方の目だけで、みんなを見つめていたい。
     えんきんかんが分からぬことなど、皆様には理解できないでしょう。いいのです、放っておいて、ひとりにしてくださいませ。(p.7)

    こっこは、幼なじみのぽっさんの話し方にも心底から憧れている。吃音のぽっさんの話し方は、歌を歌っているような、何か大切な説教をしているような、独特の、格好良いリズムがある。こっこは事あるごとにその話し方を真似てみるが、ぽっさんのように格好良くはいかない。

    こっこは、朴君の不整脈も羨ましい。ちょっとしたパニックの症状らしいという担任が説明した言葉に完全にとらわれた。そして、うう、うううと教室の真ん中で、朴君のように苦しい苦しいと真似してしゃがみこんだ。それを担任に「お前はちゃうやろ」と言われて、こっこはめっちゃ恥ずかしさを感じた。なんでや。

    朴君の家へ数人で行ったこっこは、「死ぬかと思ったなんて、めっちゃ格好ええやん」「死ぬかと思うことなんて、普通ないやん」と羨ましげな発言をして、朴君に、ほんまに苦しかったんや、もう二度と嫌やと言われ、なんでじゃと思う。

    そのことを、ことこはぽっさんと話す。
    朴君の不整脈が羨ましくて真似したのが、なんで怒られるのかわからんと言うこっこに、ぽっさんは諭す。
    ▼「ば、馬鹿にしてるように、お、思う人も、おるからや。」
    「馬鹿になんてしてへん。うちは、ほんまに、不整脈になりたいんや。」
    「こ、ことこの気持ちは、分かる。お前は、ば、馬鹿にしてへん、て、お、俺やったら知ってる。でも、そ、そういう風に思てまう人も、お、おるんや。あんとき、ぱ、朴君はおらんかったけど、め、目の前で、ことこが、不整脈とち、違うのに、苦しい、真似しとったら、ぱ、ぱ、朴君は、嫌な思いをしたかも、せーへん。」
    「なんでじゃ。うちは、羨ましいから、やってるのに。格好ええ人の真似するのんが、あかんのけ。」
    「お、お前は格好ええ、と、お、思うかもしれへんけど、ふ、普通の人は思わへんのや。ふ、不整脈のひとは、しんどいなぁ、て、思てはるんや。」
    「普通の人はそう思てはるかしらんけど、でも、うちは、格好ええと思うねん。苦しい、死ぬくらいに苦しい思いするなんて、滅茶苦茶格好ええと、思うねん。」(pp.109-110)

    ぽっさんは、昔、こっこが、ぽっさんの話し方を真似して、幼稚園の先生にめっちゃ怒られたことを引き合いに出す。
    ▼「お、俺はな、お前が、こ、心から、俺、俺のことを、格好ええと、お、思てくれとる、て、分かって、それで、うれしかったんや。で、でもな。」…
    「そ、それは、お、俺が、お前のこと、よう知っとるからであって、な、やっぱり、真似するんは、ふ、普通は、あかん。」…
    「お、俺の話し方はな、き、吃音いうてな、世の中では、あ、あかんことと、されてるからや。ふ、不整脈と一緒や。け、健康な人が、あかんことを、ま、真似するんは、あかん。馬鹿にしてると、お、お、思われるんや。」(pp.110-111)

    こっこは、吃音のことはぽっさんから聞いて知っている。でも、なんであかんことなのかがわからん。こんな格好ええやんか!と思う。
    ▼「お、俺は、お前が、そ、そう言うてくれるから、じ、自分のこと、格好ええって、思えるようになったんや。で、でも、それまでは、お親も、俺の、は、は、話し方を、な、治そうと必死やったし、人に、き、聞き返されるんが、嫌やった。」
    「そうなんや。」
    「そ、そうや。お、おかんも、俺のこと、可哀想に、て、思てはった。お、俺は、そういう風に思われるんが、い、嫌やった。」(p.111)

    「ことこが、ほんまに格好ええと思てても、本人はものすごく嫌に思ってることも、あるねん」と教えてくれるぽっさんの言葉を、こっこは聞く。香田めぐみさんの、ものもらいの真似、朴君の不整脈の真似、ぽっさんの話し方の真似…真似したら怒られることと、真似しても怒られへんこととの違いが、こっこにはわからへん。

    ものもらいの眼帯は真似しても怒られへんかもしれへん、不整脈みたいに死ぬほどしんどくないから。でも、ぽっさんの吃音は死ぬほどしんどいわけやないけど、真似したらあかんと言う。

    ぽっさんは、「本人が、それを、どれだけ嫌がってるかによるんと違うか」と言う。本人が嫌がってるか、格好ええと思ってるか、それはどうやったら分かるのか。「想像するしかないんや」とぽっさんは言う。祖父の石太は、「いまじん」やと言う。イマジンは、年取ったら分かってくることもあると言う。

    相手がどういう思いでおるか、「分からんかったら? うちはあかん人け?」(p.116)

    こっこみたいに感じて、考えて、ものを言う子は、いろいろとタイヘンかもしれへんと思う。祖父の石太は、「きっと彼女の行く末は、なかなか、困難なものになるだろう」と思う。

    大家族の渦原家で、こっこは、祖父母と父母と三つ子の姉と8人で住んでいる。そのたくさんの家族もあれこれとこっこにかかわり、そのことも、この小説には出てくる。孤独になりたいと願うこっこだが、いつも、こっこのそばには誰かがおるなあと思う。

    こっこの学校の保健室の先生がレズビアンで、カミングアウトはしていないが、学校中の教諭がそれを知っている、というのが途中でさらっと出てくる。そのさらっと具合がビミョウな気もしつつ、存在がみえるのはやっぱりええんかなと思った。

    (2/18了)

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著者プロフィール

西加奈子(にし かなこ)
1977年、イランのテヘラン生まれ。エジプトのカイロ、大阪府堺市で育つ。関西大学法学部卒業。雑誌「ぴあ」のライターを経て、2004年『あおい』でデビュー。
2007年『通天閣』で織田作之助賞大賞、2011年咲くやこの花賞、2013年『ふくわらい』で第1回河合隼雄物語賞、2015年『サラバ!』で第152回直木三十五賞を受賞。
その他代表作として、宮崎あおい・向井理出演で映画化された絵本『きいろいゾウ』、同じく映画化された『円卓』、20万部を超えるベストセラー『さくら』、本屋大賞ノミネート作『i』など。2020年初夏、『さくら』が映画化決定。プロレス好きとして知られる。お気に入りの本は『アントニオ猪木詩集』。

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