本の枕草紙

  • 文藝春秋 (1982年11月1日発売)
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  • 本 ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163377001

感想・レビュー・書評

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  • 相変らず左翼根性まるだしの井上ひさし
     「背文字の問題」や「索引で本が化ける」など、本についての蘊蓄はおもしろいものもある。辞書に書きこむとか、本に赤線を引いて表紙の裏に索引をつけるとかは、実践してみたくなった。
     だが、下ネタは低俗で下品でバッチイ。再販制やISBNなど本にまつはる社会派の論難は、相変らず息苦しく感じられる。
     なにより、時をりひょいと顔を見せる天皇制だの護憲だのの話は井上のもっとも悪い十八番で、左翼根性を剥き出しにしてゐる。
     本書の欠点もそこにある。本の話の連載だと思ひきや、突然「読物としての新憲法」で、改憲論者は棄憲論者あるいは新・新憲法制定論者と名乗るべきだと書いてゐて面喰らふ。しかしさう呼ぶことになんの意味があるのか。
     だいたい三大原則のうち、一原則でもなくなってしまへば新憲法破棄だと書いてあるが、その三大原則なるものは井上自身が設定したものだから、議論も何もない、井上に都合のいい論理である。

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著者プロフィール

(いのうえ・ひさし)
一九三四年山形県東置賜郡小松町(現・川西町)に生まれる。一九六四年、NHKの連続人形劇『ひょっこりひょうたん島』の台本を執筆(共作)。六九年、劇団テアトル・エコーに書き下ろした『日本人のへそ』で演劇界デビュー。翌七〇年、長編書き下ろし『ブンとフン』で小説家デビュー。以後、芝居と小説の両輪で数々の傑作を生み出した。小説に『手鎖心中』、『吉里吉里人』、主な戯曲に『藪原検校』、『化粧』、『頭痛肩こり樋口一葉』、『父と暮せば』、『ムサシ』、〈東京裁判三部作〉(『夢の裂け目』、『夢の泪』、『夢の痴』)など。二〇一〇年四月九日、七五歳で死去。

「2023年 『芝居の面白さ、教えます 日本編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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