ジョン・ウェインはなぜ死んだか

  • 文藝春秋 (1982年12月25日発売)
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本 ・本 / ISBN・EAN: 9784163377407

感想・レビュー・書評

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  • 160pに「ハリウッド王家の谷の人命禄」というのが乗せられている。全部書き写すと大変なことになるので、一部だけ。61年から82年にかけて癌でなくなったハリウッドスターと監督を並べているのである。
    61年 ゲイリー・クーパー(前立腺癌)
    62年 マイケル・カーティス監督(癌)
       トーマス・ミッチェル(癌)
    69年 ロバート・テイラー(肺癌)
    73年 ジョン・フォード監督(癌)
       エドワード・G・ロビンソン(癌)
    75年 スーザン・ヘイワード(脳腫瘍)
    79年 ジョン・ウェイン(腸癌)
    80年 スティーヴ・マックィーン(肺癌)
    82年 ヘンリー・フォンダ(癌)

    その数、なんと59人。これらはみんな、西部劇になじみが深い人ばかりだった。しかもおそらくこれは氷山の一角である。脇役や映画スタッフはここには載っていない。スターたちは基本、癌の死亡を隠したがる。衰えて死んでいったイメージを持って欲しくないからだ。だからヘンリー・フォンダが癌で死んだことはあまり知られていない。マックィーンは例外だ。癌との闘病がニュースになっていたから。そして、ジョン・ウェインも例外の中に入る。

    ジョン・ウェインはなぜ死んだか。

    西部劇の主なロケ地はネバダ、ユタ、アリゾナの三州だった。そしてネバダ核実験の主な被災地はネバダ、ユタ、アリゾナ州なのである。1951-58年にかけて、ネバダでは、大気中の98発の核実験が行われた。そんなとき、「征服者」という映画の一団がハリウッドから車を連ね、ユタ砂漠で二ヶ月の撮影を行ったのである。その時の主役がジョン・ウェインだった。

    当然近くの住民にも影響がある。しかし、そのことに気がついたのは、ずっと後だった。セント・ジョージの住人1200人近くが訴訟に立ち上がり、24人に絞って訴えたという。この本ではその結果は出ていない。

    広瀬隆の本を初めて読む。あまり科学的ではないが、無視できない内容。

  • 戦慄を覚えながら読んだ記憶があります。今まさに福島第一原発事故後の日本では架空の絵空事ではなくなってしまいました。

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著者プロフィール

京都府生まれ。1986年、京都府立大学文学部卒業。
1991年、大阪市立大学大学院臨床心理学分野後期博士課程(単位取得退学)。2006年、ISAP (International School of Analytical Psychology), Zurich修了、ユング派分析家。
現在、帝塚山学院大学人間科学部心理学科教授、北大阪こころのスペース代表、臨床心理士、公認心理師。

共著書に『キーワードコレクション カウンセリング心理学』、『現代社会と臨床心理学』、『心理療法ハンドブック』、『心理臨床大事典』ほか。共訳書に『ユングの世界』。

「2021年 『セラピーと心の変化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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