「マルサの女」日記

  • 文藝春秋 (1987年8月1日発売)
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感想 : 4
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  • 本 ・本
  • / ISBN・EAN: 9784163414102

作品紹介・あらすじ

こんなに分厚い本を作るつもりはなかったんですがね。取材から脚本、キャスティング、ロケハン等諸準備、クランクインからアップまでの全撮影日記、それに仕上げまで入れたらこんなになってしまった。映画って大変なのよ、やっぱり。

感想・レビュー・書評

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  • 読書室ポワロでよませてもらった原田ひ香「古本食堂 新装開店」で珊瑚さんが映画を撮りたい若者に「「マルサの女」日記」はキャスティングの話も書いてあって、それもすごくおもしろかったの。芸能界の裏話的なことも書いてあって、わくわくした。」と勧めてるのを読んで、俄然読みたくなった一冊◆心身を削って、各所に借りを作り、億単位で私財を投じ、リスクを負って苦労して映画を作り、それが幸い客に受け入れられて、ようやく手にした収入を、さも当たり前のように65%持っていく、これはおかしいんじゃないかという気持ちから「マルサの女」を制作。取られる方ではなく取る方を描くのがアイロニーだけど。税務関係者や査察に入られた方たちへの取材は綿密かつ濃厚。シナリオを読んだあとだと、あのシーンもこのセリフもここでもそこでも盛り込まれているのがよくわかる。キャスティングも、スケジュールから役者の役へのこだわりから、撮影時のイメージまで様々な事情が絡み合い、くるくると入れ替わっていく苦労。ロケハンも制作スタッフ集めも一筋縄ではいかず。これは「マルサの女2」まで撮りたくなるだろうなあとクランクイン前の状態で早くも思ってしまう。撮影が始まっても、ロケ時間、役者のスケジュール、天候などの制約を受けつつ、どういう映像になるか、演技はどうか、細かくさまざまにこだわりと妥協がせめぎ合い、観客がちょっとしたことでは気づかないことまでこだわりぬいて作られた映画であることがわかって収穫。映画もひさびさに見返したくなった。◆この映画は、日頃外国映画を見ては「同じフィルム、同じカメラでどうしてこう光も色も影も違うんだろう」と地団駄踏んだ連中が集まって、まるで勉強会のようにして作っている映画なのだp.190

  • 絶版のこの本。お葬式日記よりもプレミアム価格で古本が販売されてるのは、シナリオに書き込みが再現されてるからなんだろうな。
    (文藝春秋は早くkindle化して欲しい)

    勿論、私も収録されたシナリオの書き込みに見入ってしまった。

    この映画の勝因は、シナリオだったのがよくわかった。読んでいて面白い!ヒットするかは他の要因が関係するだろうけど、映画としてのクオリティは、脚本が良く出来た時点で、半分はクリアされてると思う。

    台詞の修正や場面の削除など、結構手が入ってて、現場での試行錯誤の跡が何となく分かるような所が良い。

  • 伊丹十三による「ある映画の物語」川谷拓三降板のくだりはスリリング。大勢のスタッフからの様々な問い合わせを瞬時にジャッジして自信を持って答えを出すのが映画監督の仕事であるなら、伊丹は間違いなくそうだろう。

  • マルサの女の製作から公開までの伊丹十三監督による日記。大ファンなので手に撮ってみたが、あまりの文量に読み疲れた。ただ、何度も見た者としては裏側にあるドラマを垣間見ることができて満足した。

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著者プロフィール

1933年生まれ。映画監督、俳優、エッセイスト、テレビマン、CM作家、商業デザイナーなど、興味のおもむくままに様々な分野の職業に分け入り、多彩な才能を発揮。翻訳も多数手がけた。1997年没。

「2020年 『ちょこっと、つまみ おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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