1970年の狂気 滝田修と菊井良治

  • 文藝春秋 (1987年6月20日発売)
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  • / ISBN・EAN: 9784163415604

感想・レビュー・書評

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  • 和46年(1971年)に勃発した『朝霞自衛官殺害事件』を題材にしたノンフィクションである。

    おそらく、私の年代も含めて、この事件を記憶に留めている方の数は多くないだろう。私としても今更という感は拭えない。初版は昭和62年(1987年)で、この時代ならともかく、今の時代背景から当時の事件を眺めること自体に無理があるかも知れない。

    70年代は、私の青春時代でもあり、全共闘、べ平連が華やかな、ある意味で狂気が支配した部分が多い時代だった。その狭間で起きたこの事件を、当時、新聞記者だった作者は、15年の歳月をかけ丹念に事件を浮き彫りにしている。

    残念なことに、その大半の事柄が、この年代を生きた者にしか理解できない内容であるため、行間に含まれている怒りや悲しみは伝わりにくいだろと思う。

    しかしながら、その瞬間にその場に居あわせたというだけで、刃渡り30センチの柳包丁で刺し通されて命を落とした21歳の青年がいたという事実と、事件に関わった犯人はすべて刑期を満了し、社会復帰しているという事実に、私は憤りを感じてしまうのである。

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