王の闇

  • 文藝春秋 (1989年1月1日発売)
3.83
  • (2)
  • (1)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 29
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • 本 ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163433202

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 一度、王座に就いた者にも、必ずそこから下りなければならない時がやってくる。スポーツ界の王者たちの陥落の時、その後を描いたノンフィクションです。

    大場政夫(ボクシング)、瀬古利彦(マラソン)、和島功一(ボクシング)、ジョー・フレージャー(ボクシング)など。1989年の作品だけに、彼らを知らない世代が多くなったとは思うが、この時期の若き沢木耕太郎の筆と目線は切れ味抜群ですね。王者たちの凋落の瞬間を描き切っています。短い文章がノンフィクションの基本と聞いたことがありますが、まさにそれ。言葉で映像をこれほど輪郭ハッキリと描けるって凄いことです。

    ネットの煽るような見出しで何でもわかったような気になりがちなこの時代。時には良質なノンフィクションを読むのもいいものです。

  • ボクシングの大場、輪島、マラソンの瀬古など、頂点を極めた者たちの下降していく姿。今いち深みに欠けたか。

  • 『敗れざる者たち』以来の、スポーツ選手に焦点を当てた沢木耕太郎の短編ノンフィクション集です。「ジム」や「ガリヴァー漂流」では、その後の『壇』等に生かされる一人称での語りという実験的手法が試みられていて新鮮。そして特に「ジム」は名作!必見です。

    絶頂期から下りていく(いかなければならない)選手の儚さ、物悲しさを強調して勝負の世界を描いています。「コホーネス<肝っ玉>」に出てくる輪島功一の生き様は、衝撃的ですらありました。

    ジム
    普通の一日
    コホーネス<肝っ玉>
    ガリヴァー漂流
    王であれ、道化であれ

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

1947年東京生まれ。横浜国立大学卒業。73年『若き実力者たち』で、ルポライターとしてデビュー。79年『テロルの決算』で「大宅壮一ノンフィクション賞」、82年『一瞬の夏』で「新田次郎文学賞」、85年『バーボン・ストリート』で「講談社エッセイ賞」を受賞する。86年から刊行する『深夜特急』3部作では、93年に「JTB紀行文学賞」を受賞する。2000年、初の書き下ろし長編小説『血の味』を刊行し、06年『凍』で「講談社ノンフィクション賞」、14年『キャパの十字架』で「司馬遼太郎賞」、23年『天路の旅人』で「読売文学賞」を受賞する。

沢木耕太郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×