- 本 ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163433202
感想・レビュー・書評
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一度、王座に就いた者にも、必ずそこから下りなければならない時がやってくる。スポーツ界の王者たちの陥落の時、その後を描いたノンフィクションです。
大場政夫(ボクシング)、瀬古利彦(マラソン)、和島功一(ボクシング)、ジョー・フレージャー(ボクシング)など。1989年の作品だけに、彼らを知らない世代が多くなったとは思うが、この時期の若き沢木耕太郎の筆と目線は切れ味抜群ですね。王者たちの凋落の瞬間を描き切っています。短い文章がノンフィクションの基本と聞いたことがありますが、まさにそれ。言葉で映像をこれほど輪郭ハッキリと描けるって凄いことです。
ネットの煽るような見出しで何でもわかったような気になりがちなこの時代。時には良質なノンフィクションを読むのもいいものです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ボクシングの大場、輪島、マラソンの瀬古など、頂点を極めた者たちの下降していく姿。今いち深みに欠けたか。
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『敗れざる者たち』以来の、スポーツ選手に焦点を当てた沢木耕太郎の短編ノンフィクション集です。「ジム」や「ガリヴァー漂流」では、その後の『壇』等に生かされる一人称での語りという実験的手法が試みられていて新鮮。そして特に「ジム」は名作!必見です。
絶頂期から下りていく(いかなければならない)選手の儚さ、物悲しさを強調して勝負の世界を描いています。「コホーネス<肝っ玉>」に出てくる輪島功一の生き様は、衝撃的ですらありました。
ジム
普通の一日
コホーネス<肝っ玉>
ガリヴァー漂流
王であれ、道化であれ
著者プロフィール
沢木耕太郎の作品





