アンネとヨーピー わが友アンネと思春期をともに生きて

  • 文藝春秋 (1994年1月1日発売)
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本 ・本 (104ページ) / ISBN・EAN: 9784163485805

感想・レビュー・書評

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  • 日記では、隠れ家生活の中の人間関係やそれに対する彼女の悩み、意見、考察など個人的な心情を知ることができるけれど、客観的な視点から彼女を見るとこんなに違うのかって驚きました。
    アンネだけでなく、当時少女だった著者が経験した、あるいは見聞きした様々な事柄が、私の中に初めてリアルな"戦時中のオランダ"を初めて広げてくれたと思います。
    通常の生活の中に常に不安を含む少女時代、青春時代…友人や親戚が突然姿を消すことが当たり前だった頃の、圧迫の中の密やかな息づかい。
    終戦後当然帰ってくるはずの友人や親類が、とうに収容所の煙になっていたと知ったときの――なんといえばいいのか。声を失って立ち尽くすしかない感覚。
    それにしても、アンネの何事もめいっぱい楽しもうとする生活ぶりには感心した。
    15年で人生を断ち切られることなんて考えもしなかったに違いないけれど、彼女の活発な好奇心、社交的な振る舞い、何事にも前向きにあたる姿勢は、短い時間を思いきり生きようとする輝かんばかりの生命力を感じさせます。
    日記以上に彼女を魅力的に感じた。
    強い勇気と決意を持ってこの本を著してくれた著者に感謝します。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「短い時間を思いきり生きようとする」
      今を生きる私達だって、何時何所でどんなコトと遭遇するか判らない。
      だから、日々精一杯生きたいと思う。そ...
      「短い時間を思いきり生きようとする」
      今を生きる私達だって、何時何所でどんなコトと遭遇するか判らない。
      だから、日々精一杯生きたいと思う。そして生きられなかった人の分も、頑張りたい。。。
      2013/08/26
  • オットー・フランクは1980年に91歳で死去した。後半生の全てを愛娘の著作に関わり、それに打ち込むことで過ごしてきた。「アンネの日記」を読んで、感想を伝えたいと望んだ多数の子供たち、大人たちからの手紙に対し、彼は返事を書き続けてきた。またアンネの名前にちなんだ学校を各地に開校したりもした。アンネの、あるいはアンネのための像や記念碑が建立される都度、彼の列席の元に除幕式も行われた。アンネの本の売上からの収益が経常的に流れ込んでくるようになると、オットー・フランクは「アンネ・フランク財団」を創設した。この財団の目的はユダヤ人迫害を1つの例としながら、あらゆる差別と闘うことであり、アンネはそのためのシンボルの役割を果たした。またもう1つの目的は「日記」の形で世界に示された。アンネの理想の実現をはかることだった。アンネの語っている8人が隠れ住んだプリンセンフラハトの家が財団の本部となり、やがて関係資料を展示する資料館となった。

  • (自分の友達である)アンネの日記が有名になったばかりに困惑する著者の心の葛藤が綴られている。この人もアンネに負けず劣らずまっすぐで曲がったことが許せない人なんだと思った。

  • アンネ・フランクが隠れ家に潜行する直前、1941 年の終わりから半年ほどアンネの 「親友」 だったジャクリーヌ・ファン・マールセンによる回想録。
    前半はアンネとの思い出、アンネの人となり、ジャクリーヌ自身の戦時経験がメイン。後半は世界的ベストセラーとなった 「アンネの日記」 を売名や金儲けの道具に使おうとする多くの人々 (驚くべきことに、アンネ・フランクの父オットーの後妻とその連れ子もその立役者に含まれる) への違和感と義憤を述べた内容になっている。
    ミープ・ヒースの回想録 「思い出のアンネ・フランク」 は、ミープ本人がプロのライターであるアリスン・レスリー・ゴールドの協力を得て書き上げたものなので、その読みやすさはある意味当然のものだが、こちらもかなり読みやすく仕上がっている。書くことについては素人のヨーピー (ジャクリーヌ) が独力で著したのだとしたら見事なものだ。
    ここまで 「アンネの日記」、「思い出のアンネ・フランク」、「アンネとヨーピー」 をすべて深町真理子さん訳で読んできた。文中にしばしば古風な (もしかしたらやや難解な) 語彙や言い回しが出てくるので、 「アンネの日記」 の感想で 「やや癖がある」 と評したが、深町さんご自身が 1931 年生まれ、アンネやヨーピーと同年代なのだということを最近知った。なるほど、それならば納得である。

  • アンネのお父さんは日記の出版とか色んなことがあってアンネにかかりきりのように思えたかもしれないけどお姉さんのマルゴーのことも同じぐらい愛してた、って語るヨーピー。
    悲劇の少女ではなくて、好奇心が強くて嫉妬深くて、本当に私たちと少しの変わりなく生きていた女の子としてのアンネを感じる本でした。ヨーピーの中では相変わらずアンネはアンネなんだ、と。

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