- 本 ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163505206
感想・レビュー・書評
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「人の心は、深くて、そして不思議なほど浅いのだと思います。きっと、その浅さで、人は生きてゆけるのでしょう。」
本は、見つけて読もうと思った時が私にとって読むべき時なのだと思うようにしている。
この本もあの本ももっと前に読んでおけば良かったと思い始めたらキリがないから。
しかし、今作は久しぶりに「十代で読んでおけばよかった」と思ってしまった。
この作品を十代で読んでも海外に飛び出したりはしなかっただろうし、その前に私は今の人生を変えたいわけでもない。
ただ、今作をあの頃に読んでいたら、少しは呼吸が楽になったように思うのだ。
強さと美しさを兼ね備えた文章。
何度も読み返したい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
とある冒険家がアラスカへ行く話。アラスカの大地を感じることができる本。冬に読みたい。
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とにかく、星野道夫さんの人生は何もかもドラマチックなのだ。
古本屋で見つけた写真集から村長に手紙を出して(半年後に返事が来て!)、とうとう現地に行ってしまう話も、アラスカ大学に半ばゴリ押しで入学した話も、パイロットや仲間たちとの絆も、すべて小説のようだ。
また、「今、〇〇に来ています。」などという書き出しで始まるⅠ章のエッセーは、まるで個人的にもらった手紙みたいで嬉しくなってしまう。ムース、カリブー、トウヒ、アルパインツンドラなどアラスカの動物や自然の描写が素晴らしい。
突然の事故のことを思うと、「野営の夜、何も恐れずに眠ることができたなら、それは何とつまらぬ自然なのだろう。」という一文に何とも言えない気持ちになった。
今年、犬ぞりが一面、海のようなところをバシャバシャと駆けている衝撃的な映像が世界に流れた。記録的な高温で北極の氷が解けた結果だという。
「千年後は無理かもしれないが、百年、二百年後の世界には責任があるのではないか」
ありきたりな表現になってしまうが、四半世紀を超えて届くこのメッセージを、私たちは重く受け止めなければいけないと思った。
図書館スタッフ(学園前):ノビコ
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帝塚山大学図書館OPAC
https://lib.tezukayama-u.ac.jp/opac/volume/561362 -
旅をしてる最中に読んだら気持ちいいだろうなぁ。
アラスカの透明感のある風景。
あたたかい人と人との関わり。
死が近くにあるから生がキラキラ輝いている。 -
自分自身の存在のちっぽけさと、生きていることの尊さみたいなものを、考えさせられる本だった。
アラスカの大自然、私も見てみたいなぁ。 -
世界について、命について、人間と動物の関わりについて考える私は、まるで星野さんに語りかけられているようにこの本を読んだ。机の上ではわからないこと。頭ではなく心とからだで感じること。
人に出会える本。すごいなあ。わくわくが静かに湧いてくる。
「世界が明日終わりになろうとも、私は今日リンゴの木を植える」P194
世界のなかに人の社会があるということ、もうひとつの時間、この感覚を大事にしていこう。私も世界を体感したい。 -
読み終わった後、爽やかな心地よい風が吹き抜けていったそんな感じがしました。行ったことはありませんが、アラスカを目の前にみているようで、日常を忘れてしまいそうになります。
啓発書のように、何かを教えようとするのではなく、さりげない優しい言葉の中に、ハッと気づかされることの多い、素敵な一冊ではないでしょうか。 -
星野道夫のやさしい言葉遣いとやさしい写真は、なぜか読んでいて&見ていて心に突き刺さります。それは彼が、本当にやりたいことをやった生涯を送ったからこそ表現できる重みがあるからでしょう。思わず線を引いてしまう名文が溢れています。
本書は僕が初めて読んだ星野道夫の本であり、収録されている「もうひとつの時間」と「十六歳のとき」は、全作品の中でも僕が最も好きな文章です。今後も、事あるごとに常に読み返すことでしょう。
著者プロフィール
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