ぼくはこんな本を読んできた―立花式読書論、読書術、書斎論

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 434
レビュー : 41
  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163510804

作品紹介・あらすじ

膨大な本との出会い、実戦的読書論、書斎・書庫論など本の整理学、書評論、読書日記など立花隆の「知の世界」構築のノウ・ハウ。

感想・レビュー・書評

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  • 立花隆のエッセイ・講演集。
    佐藤優が、ここに書かれている立花隆の本の読み方が、KGBやモサドなどの諜報機関のものと類似しており、自分自身もインテリジェンスのメンバーに推奨している、と書いているのをどこかで見かけて興味が湧いて読んだ。

    上記に関するエッセイのほかに、人類がこれまで発見してきた知全体を個人的に把握する方法論の話(自分なりの地図をつくる)と、著者が新卒入社後出版社を2年ほどで辞めるときに会報に載せた(ここでこのまま仕事を続けていては知的生活が酷いものになり、人間が一向に駄目になっていくだけなので、それを防ぐために辞める、ということを、辞めるときにわざわざ社内に向けて発信した)エッセイが特に面白かった。

  • 著者の読書総論(読書に関しての四方山話)をまとめた本。

    目次
    <blockquote>1 知的好奇心のすすめ
    2 私の読書論
    3 私の書斎・仕事場論
    4 ぼくはこんな本を読んできた
    5 私の読書日記
    </blockquote>
    正直、読んでいてすごく疲れた。5章の「私の読書日記」なんて、急に3段構えになるものだから、1ページあたりの滞在時間が延びる延びる……。
    もうそのあたりで読むのを止めてもよかったかもしれん。

    さて、この本は著者ならではの読書に対するアプローチ、書斎論に書評をセットでつけたお得感の溢れる本です。ただし、この初版は1995年。今の本とは違った雰囲気の文章だった。

    まずは独学について吠える。
    <blockquote>そして、本はいちどきに購入してしまったほうがよい。独学で一番難しいのは、志を持続させることだが、そのためには、<u>前もって相当のお金を使ってしまったほうがよい</u>。たいていの人はケチだから、<b>先にお金をかけてしまうと、元手をかけた分くらいは取り返そうと勉強するもの</b>だ。
    </blockquote>
    経験からとはいえ、恐れ入る。先にお金をかけてしまうと元を取ろうとしてしまうのは認知心理学の認知的不協和からきている。だからこそ、これは誰にでも確実に有用だ。お金に困らない人は別として。

    <blockquote>家に帰ったら、買ってきた本は書棚に入れないで、<u>机の上に積み重ねる</u>。書棚に入れてしまうと、なんとなしそれですんでしまったような気になるが、<b>机の上に置いておけば読まねばならぬ気がしてくる</b>。
    あとはただひたすら読む。まず軽い概説書を読みとばす。教科書的入門書を読む。一冊読むとだいたいの輪郭がつかめるから、二冊目からは楽になる。
    <b>精読する必要はない。ノートもとらないほうがよい</b>。<u>はじめからそんなに張り切りすぎると、必ず途中で挫折する。</u>ノートを取りながら精読したりすると、二時間で読める本に二日もかけてしまうことになる。一冊の入門書を精読するより、五冊の入門書をとばし読みしたほうがよい。<b>ノートをとらなくても、ほんとに重要なことはどの本でもくり返されているから自然と頭に入る</b>。
    </blockquote>
    やってることは多読なのですが、「ノートをとらなくてもいい」なんてかなり極端です。
    著者はかなりのスピードで多くの本を読み飛ばして多読してますねー……。たしかに重要なことはくり返されるのですが、微妙な記述は取らないのでしょうか?
    読後のメモに関しては、賛否両論なので、ここは個人の主義に任せる事にします。
    ちなみに自分はこのようにメモ取る派です。

    一方、独学のデメリットも述べています。
    <blockquote>以上のような独学の過程で、なによりも注意すべきは、独学においては、<u>質疑応答というプロセスがないために、</u><b>ひとりよがりの解釈をしたまま、まちがったことを覚えこんでしまう</b>危険性である
    </blockquote>
    自己解決の怖さは、仕事でもありえます。著者も述べるように、その対策には多読する事で多くの人が支持している解釈を取る事と、専門家に訊ねることで勘違いを払拭するしか方法はないでしょう。
    まぁ、それでもかなり前線の、微妙な解釈のありうる領域では難しいですが……
    あ、今ならwikipediaでほぼクリアですね。「微妙な解釈のありうる領域」が必要になるのはあまり無いですし。

    次に書斎論。この人はほんとオタクなんじゃないかと思う。
    書斎用の机を求める記述から。
    <blockquote>最終的に私が選んだのは、横浜元町家具で作っている一メートル×二メートルの特大のダイニング・テーブルだった。(中略)きわめてシンプルな作りのものだが、大人二人で持ち上げるのがやっとという重量級で、どんなにゆすってもビクともしない。
    見て歩いた中で最高に気に入ったのだが、値段もとびきりである。約四十五万円もするのだ。いくら何でも机に投じる資金としては高すぎるような気がした。
    (中略)
    <b>これより安いけれどグレイドが落ちるものを買えば、きっと後から後悔するにちがいない</b>と思った。そして、机としては高いようでも、自動車にくらべればはるかに安いということで自分を納得させた。
    (中略)
    この判断は正しかった。今でも私はこのテーブルが日本で入手できる最高の机だと思っている。そして、<b>いい机という条件が、もの書き家業にとってこんなにも大切なもの</b>かということを日々に痛感させられている。
    </blockquote>
    結構長い引用だが、普通日常的に使う家具に大金を投じる例はあまりないだろう。
    そこに敢えてお金をがっつり入れるあたり、「<i>やるな〜</i>」と思った。自分も例外なく同じように買っただろうし。
    つーか、家で今も使ってる机は、新人の時に買ったのだが、近くの大手家具屋で十数万もした。社会人になってお金もできて、今まで使いづらかった環境を一変させようとあれこれ変えていった途中の事だ。
    それ以来、今の家も完璧フルチューン、お金を結構かけて変えていった為、ネタついでに人に見せると、これはオフィスかと言われるLvになってしまったw
    キーボードもREALFORCEかFILCOのキーボードだし、手帳も値のはるモレスキンをはじめ、いろいろ買っては試してみた。まぁ、ライフハック全盛の頃だったので、それが楽しかったというのもあるけれど。
    しかし、それだけいいものを使うと、ケチってグレードの下がる品よりは<b>感じるものとかが全然違う</b>。
    そこはお金かけただけの価値なんだけれど、制約が無い限りはグレードの低い品は使えなくなったなぁ……。


    えー……ちょっと間が空きましたが、さらに著者なりの読書術を。
    <blockquote>本というのは、<u>はじめからオワリまで読むべき本</u>と、<u>必要なところだけ拾いだして読めばいい本</u>とある。仕事の資料というのは、完全に後者だから、要はいかに効率的に、自分に必要な部分を見つけるかです。目次、索引を利用するのはもちろん、<u>これくらいの(一秒に一回くらいのペースでページをめくりながら)スピードでめくっていくだけで、不思議に必要なところが目にとまるんですよ</u>。人間の脳の働きにそういう能力があるっていうことは、脳のことを勉強していく中でわかってきた。つまり<b>人間の脳は、相当部分が意識化されないでもちゃんと働いている</b>んです。
    (中略)
    もちろん、<b>必要な部分に目がとまったら、そこは意識を集中してちゃんと読む</b>んですよ。それと僕は、<b>読む時に徹底的に本を汚す</b>んです。<u>ページを折るとか鉛筆で書き込みをするとか</u>。付箋を付ける時も、色を変えたりとか――。
    </blockquote>
    かなりいろんな読書法の混ぜ合わせみたいな状態だが、こうも実例で述べられてしまうと、有用なのかもしれないなぁ……という気がしてくる。
    1ページ1秒って分速約6万文字ペースですよ……既に速読術のなかでも廃人Lvですって。殆どフォト・リーディングしちゃってる。
    それと本を汚すのは三色ボールペン&レバレッジ・リーディングの主張ではメインですし、ここまで見てきた読書法をまるごとごっそり実践している感じ。
    できる人……いるんだなぁ。だからといって自分にできるとまで夢を見れませんけど。

    あとは間違えやすい論理のパターンについて語っている点は自分としては興味深かった。
    著者が言うには、誰にでも間違えやすい論理のパターンがあり、そのパターンは共通しているという。
    <blockquote>古典的な論理学の中に、正しい推論規則について述べたものがあります。たとえば、虚偽論、誤謬論、詭弁論などと呼ばれているものです。その辺を一応勉強しておくといいですね。(中略)基本的な推論規則を頭に入れておかないと、普通の人はついつい善意の誤謬を犯してしまいがちです。新しいところでは、セマンティクス(意味論)、シンタックス(統辞論)について学んでおく事も必要ですね。
    </blockquote>
    これに関しては、突っ込もうにも全く何も勉強していないので、「そーなのかー」としか言えないんだけれど、何かの折に(とはいってもできるだけ早く)本を読んで勉強したいなと思った。
    こうして書いていても、ひょっとしたらミスを犯しているのかも知れない……そう思うと、未熟だなとこぼしたくなるし。


    ▽再版本
    ・<a href="http://mediamarker.net/media/0/?asin=4167330083" target="_blank">ぼくはこんな本を読んできた―立花式読書論、読書術、書斎論 (文春文庫) (文庫)</a>

  • 立花隆氏を知ったのは、スタジオジブリの【耳をすませば】でした。
    この時、この本に出会う1年前

    この本は、表紙と、題名にインパクトを感じ、大学1年時に購入

    氏の好奇心、物を知りたいという欲求には、心の底から尊敬する。

    自分も本を読まなくては、いろいろなことに好奇心を持たなくてはと感じたのが、この本

    読書の仕方、書斎、書庫、そして膨大な蔵書の写真・・・

    氏の強いジャンルは多岐にわたり、それが私の心を大きく刺激した。

    高校生までは、そんなに本を読まなかった・・
    この本との出会いが、本に対する考え方を一変させたといっても過言ではない。

    この本に大学生の時に出会えて本当に感謝

  • "立花隆さんの生活のほとんどが活字を読むことなのだろう。その一部をかいま見られる本。読んでみたい本がいっぱい出てくる。読書案内ともいえる。
    読んでみたいと思った本をあげておく。
    トリノ聖骸布の謎
    犬たちの隠された生活
    詐欺とペテンの大百科
    ファインマンさんは超天才
    大絶滅
    ドラゴン
    トロイアの秘宝
    奪われし未来
    証言731部隊の真相
    南京の真実
    日本軍の小失敗の研究"

  • 1995年刊行。

     著者の読書遍歴、週刊誌連載の書評、読書の姿勢、多読・速読術などを網羅的に叙述したもの。文科系に偏重気味の斎藤孝とは異なり、書評については、理科系・風俗・ノンフィクション等広く目配せされている(もちろん、今となっては古い本、稀少本も多いが)。

     これら(特に理科系)にも目を向けさせてくれた一書で、多読の方法なども含めて個人的には影響大だった本。
     読書に飽きた時には、折りにふれ読み返している。

  • 自分の読書術を数年ぶりにバージョンアップするために漁った本の中の一冊。
    他の何かの本に紹介されていたので試しに読んでみた。


    著者の読書に関する過去の記事などをまとめた1冊のようである。
    1970年代からこの本発売の90年代中頃までのそれについての文章や書斎、当時の「新刊」紹介などが掲載。


    個人的に取り入れられる読書術など方法論や参考になる部分という点では、
    P73の「実戦」に役立つ14ヵ条 の部分がズバリであるが、もちろんそれ以外の多数の部分が、良い読書体験となった。
    P31の、習慣化や習得された自動化行動は小脳にしまい込まれる。(そして浮いた意識的な部分を新たな学びに割り当て、内面的成長、より良く生きる)の部分も良かった。
    P142、速読術の脳の働きに言及しており、それが速読術の一種「フォトリーディング」的な読み方や、そのテクニックの一つである「ディッピング」と同様の事柄であり、結果的にその速読技術に対する個人的確信を強める箇所となった。

    読書のプロ中のプロの方であり、まず読む量の桁が違うと知れた。
    インターネットwebが爆発的に広がる以前の本であり、そのネット普及以後の著者の読書論(インターネット+電子書籍込み)なども、もしあれば参照してみたいと想った。
    読了したが、自分の様なレベルの低い者にとっては読んでもいいし読まなくてもいい本だったのかも。
    結局、参考程度に読んでみてもいいかもしれない。

    (破)

  • 読書日記以外読んだ。
    知識欲というのがこんなにも強くある人がいることに驚いたが確かにそんな人々のおかげで、人類がこんなふうに発展してきたのだろう。
    足元にも及ばないが、私も出来る限り本を死ぬまで読み続けたい

  • 著者の圧倒的な知識量に驚く。とともに、そんな中でも自身に応用できそうな部分が見つかったのが収穫

  • 参考

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著者プロフィール

1940年生まれ。東京大学文学部仏文科卒業後、文藝春秋入社。66年退社し、東京大学文学部哲学科に学士入学。その後ジャーナリストとして活躍。
74年、『文藝春秋』誌に「田中角栄研究 その金脈と人脈」を発表。79年『日本共産党の研究』で第1回講談社ノンフィクション賞受賞。83年、第31回菊池寛賞、98年第1回司馬遼太郎賞を受賞。
著書に『中核vs革マル』『宇宙からの帰還』『「知」のソフトウェア』『サル学の現在』『臨死体験』『ぼくはこんな本を読んできた』『天皇と東大』など多数。

「2020年 『自分史の書き方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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