- Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163534404
感想・レビュー・書評
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映画「砂の女」、アニメ「ムーミンの声」の岸田今日子さん(1930.4.29~1006.12.17 享年76)の「妄想の森」、1997.10発行のエッセイです。都内のマンション、オスとメスの猫がいて、屋上に庭が。群馬の高原に住む姉の隣りに小さな山小屋を。1968年生まれで幼稚園の先生になった娘のまゆさん。大の友だちの吉行和子さん・冨士眞奈美さん。そして佐野洋子さん。いろいろな思い・想いをエッセイに綴られています。
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914.6
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(2013.12.02読了)(2013.11.24借入)
岸田さんが亡くなってから本をあれこれと読んできました。俳優で作家でエッセイストで俳人です。この本は、エッセイとして一番厚いのでは。
図書館から借りてきました。雑誌『一枚の繪』に1989年1月号から1996年12月号まで8年間連載した物から抜粋し再構成した物とのことです。
雑誌の題名に相応しく、美術館や絵の話もありますが、俳優としての仕事や朗読、交友関係、旅行、等、テーマは色々ですが、どのテーマでも最後には、妄想の世界へと入りこんでゆきます。本の題名は実に的確です。
【目次】
ムッシュ・ブラン
硲伊之助美術館
わたしのメキシコ
楽屋
飛びたい猫
忘れられた家
カラスの事情
「いけません」
ジプシーの画家
暖爐に炎が踊るとき
「ランスへの旅」と「ヴォツエック」
頭文字
客席にて
悪道仲間
鏡の中の女
ダフニスとクロエ
あの年の西瓜
クレオパトラの花
ある奥さんの話
真夜中の散歩
……
決闘する男たち(あとがきに代えて)
●生きる権利(30頁)
わたしは、他の生物だって人間と同じように生きる権利があると思っている。ネズミだってゴキブリだって、必死で生きているのだ。好きになれるかどうかは別にして。けれどもカラスというものは、あれは何の権利があって人が一番大事にしているものを持って行くのだ。友だちが植えてくれた白いクリスマスローズを、根っこごと抜いて持って行ってしまったのだ。
●兄は満州に(116頁)
小学生の頃、作文に「家族」という題が出た。「わたしには兄と姉がいて、兄は満州に行っています」と、わたしは書いた。「満州」というところが時代を反映している。先生は、わたしには姉しかいないことを御存じだったから「作文には、なるべく本当のことを書きましょうね」とおっしゃった。それでわたしはあまり作文が好きではなくなった。
●ムパタ(169頁)
動機が何だったにせよ美しいものは美しい。自分の世界を見つけた人の創るものは力強い。
●毛皮(243頁)
ある時わたしはエッセイの中で、「皆、毛皮を羽織って外に出た」というようなことを書いた。冬季オリンピックのあった、カナダのカルガリーでのことだった。すると、それを読んだ米国在住の日本女性から抗議の手紙が来た。「毛皮を着るなんて信じられない。動物愛護の精神がないのか」という趣旨だった。
☆岸田今日子さんの本
「一人乗り紙ひこうき」岸田今日子著、角川文庫、1983.09.10
「ラストシーン」岸田今日子著、角川文庫、1989.01.20
「時の記憶」岸田今日子著、マガジンハウス、1992.09.25
「外国遠足日記帖」岸田今日子著、文春文庫、1994.11.10
「スリはするどこでする 続・外国遠足日記帖」岸田今日子著、文春文庫、1997.01.10
「ここはどこ 時に空飛ぶ三人組」岸田今日子著・吉行和子著、文春文庫、2000.05.10
「大人にしてあげた小さなお話」岸田今日子著、大和書房、2000.07.05
「あの季この季」岸田今日子著、知恵の森文庫、2002.08.15
「パンツのはきかた」岸田今日子さく・佐野洋子え、福音館書店、2007.05.01
「二つの月の記憶」岸田今日子著、講談社、2007.12.17
(2013年12月5日・記)
(「MARC」データベースより)amazon
追想の中の出来事や人、ふと頭に浮かんだ物語、芝居から発展した幻想など女優が心の扉を全開にして、大胆かつ繊細に綴ったエッセイ。美しいもの、愛しいものを見ているといつの間にか「妄想の森」の住人に…。 -
美術雑誌?「一枚の繪」に連載されたエッセイ。周りへの視線がちょっと空想的で、と言って少女趣味的と言うのでもなく、、わたしはこういう文章が大好きだ。読み終わるのがもったいない、と久しぶりに思った。本を読んでいるってより、芸術鑑賞してる、って感じ。この人ってしみじみとアーティストやねぇ***
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自らの中に遊び、そして、何かが浮き彫りにされます。