ノモンハンの夏

  • 文藝春秋 (1998年4月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (360ページ) / ISBN・EAN: 9784163539805

みんなの感想まとめ

戦争の悲劇とその背後にある人間の思い込みが描かれ、深い考察を促す作品です。特に、外国人記者と将校のやり取りを通じて、戦争の目的や意義についての疑問が浮かび上がります。「何もない場所で戦う理由は何か」と...

感想・レビュー・書評

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  • ちょうどロシアがウクライナに侵攻して、日夜凄まじい映像がテレビで報道されていますが、80年前には日本も同様の状態にあった。
    しかも大草原の国境線を守るために1万数千人の方が亡くなった。
    それも相手のことを軽く見た指揮官二人とその暴走を止められなかった参謀本部のせいで。
    読みながらどうにも悲しくなり、読み進むのが苦痛になりました。
    決して本の評価を貶めるつもりはなく、今の私にはきつかったという評価です。

  • この戦役の全てが詰まったやりとりが、一番最後に紹介してある。
    「この下にダイヤモンドがあるのか。石油があるのか。石炭があるのか」
    「何もない」
    「じゃ、何でこんなところで戦うのか」
    「それは満州国の国境を守るという日本の節義から戦っているんだ」
    「節義?よくわからない。ほんとうにそれだけで戦うのか」

    外国人記者と将校の会話として出てくるが、ノモンハンについてはこれ以上的確な表現がない。日本から遠く離れた草原で散っていった先人に、ひたすらに慰霊の想いが募るが、それにも増して図上演習だけでなんとかなると思い込んでいた参謀達が許せない。

  • ひとり、旧帝国陸軍だけてなく、組織における指導者層のいわゆるエリート集団の思い込みによって、動かされる末端の人々はたまったものではない。そして、自らの非を認めるどころか、反省のはの字も感じていないところには、強い憤りを感じる。

  • 怒りの1冊

  • 2021/1/18

    210.7||ハ (4階歴史・地理)

    1939年連戦連勝の日本陸軍は、旧 ソ連(現 ロシア)機械化部隊に完敗し、悲劇的な最期を遂げた。 
    それ以後 日本は、無謀な戦争に突入していく事となる。
    これらの事件を徹底的に調べ、歴史を日常に結び付けて考えた作家 半藤 一利さんを偲んで…。
    「民主主義のすぐ隣にファシズムはある」
    (天声人語 2021.1.14より)

  • 1939年夏、モンゴルと満州の茫漠とした国境線を争ってソ連軍と日本軍が正面から激突し、のちの太平洋戦争の結末を占うように日本が大惨敗を喫した。このノモンハン事件を戦闘の詳細ではなく、当時の複雑な世界情勢の中におけるその位置づけから、特にヒトラーとスターリンの丁々発止とした心理戦を主題に据えながら描いた、数あるノモンハン事件関連本に新しい視点を提示した一冊である。
    日本国指導者たちの当時の、そしていまだに続く外交音痴ぶりは日本人の民族性からでた永遠の宿痾なのだろうか。日露戦争当時の小村寿太郎らの鮮やかな外交術をみると、必ずしもそうとは言いたくないのだが。
    日独伊三国同盟を目指す陸軍の策動の尻馬にのって、新聞マスコミが国民を扇動して後日の大戦へと引きずっていく雰囲気も、事件を背景に記されている。昨今の東京オリンピックをめぐるマスメディアの過熱報道ぶりが、何かそれと重なって感じられた。

  • いや、半藤一利史観というべきものですな。
    個々人にフォーカスを当てすぎている。

  • 関東軍はいったい何のために戦ったのか。もし戦いに勝利したとしても、具体的に得られるものは何もない。あるとすれば軍参謀の手柄あけであろう。まさにその目的のために多くの命が失われたのだ。これを犬死と言わずして何と云うのだろう。
    驚くのは、無謀な戦いを起こし、指揮した辻参謀などは責任を負うどころか、その後出世して太平洋戦争を引き起こし、終戦時に責任逃れのために逃亡し、その後参議院議員になっている。首相として一旦責任を投げ出して混乱を招きながら、また首相に返り咲くというのもこれに似ていないだろうか。

  • 戦争における上層部の蛮行。戦争さらにはこのような悲劇は繰り返してはならない。

  • いくつかのドキュメンタリーを読んだ後だったので、あまり面白さを覚えず。果たして史実が何処にあるかはわからないが、小説としては、独ソ不可侵条約やゾルゲ事件をからめて描けば、もっと面白くなっただろうに… という点で残念。

  • 昭和14年の日ソ間の国境紛争「ノモンハン事件」を描いた傑作である。独ソ不可侵条約の締結から第二次世界大戦に至るヨーロッパの情勢とも関連しながら進むこの事件の真相が,余すところなく活写されている。当時の日本陸軍の無責任さ,愚劣さがひしひしと感じられる一方,現地で戦死した人々のことを考えると胸の詰まる思いがした。ひさびさに良書に出会ったという感想を持った。

  • 陸軍参謀本部と関東軍の双方の幹部の無責任さには目に余るものがある。彼らは自国の軍事力の過信とソ連軍の過小評価の心情を持ち、その評価は観念的で客観的分析に欠けていた。これでは、初めから勝てるわけがない。日露戦争での教訓がまったく忘れられているのだ。このあり様では、犬死した者たちは本当に浮かばれない。 ただ、軍人ばかりかこの時代に生きた国民のなかにも、無敵を幻想して戦争遂行を望んだ者がいたことを忘れてはならない。

  • 「ノモンハン敗戦の責任者である服部・辻コンビが、対米開戦を推進し、戦争を指導した全過程をみるとき、個人はつまるところ歴史の流れに浮き沈みする無力な存在にすぎない、という説が、なぜか疑わしく思えてならない。そして人は何も過去から学ばないことを思い知らされる。」

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著者プロフィール

半藤 一利(はんどう・かずとし):1930年生まれ。作家。東京大学文学部卒業後、文藝春秋社入社。「文藝春秋」「週刊文春」の編集長を経て専務取締役。同社を退社後、昭和史を中心とした歴史関係、夏目漱石関連の著書を多数出版。主な著書に『昭和史』(平凡社 毎日出版文化賞特別賞受賞)、『漱石先生ぞな、もし』(文春文庫新田次郎文学賞受賞)、『聖断』(PHP文庫)、『決定版 日本のいちばん長い日』(文春文庫)、『幕末史』(新潮文庫)、『それからの海舟』(ちくま文庫)等がある。2015年、菊池寛賞受賞。2021年没。

「2024年 『安吾さんの太平洋戦争』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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