少年Aこの子を生んで: 父と母悔恨の手記

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163553900

作品紹介・あらすじ

愛していた。信じてもいた。その14歳の息子Aが、神戸連続児童殺傷事件の憎むべき犯人酒鬼薔薇聖斗だったとは…。両親が2年間の沈黙を破り悔恨の涙とともに綴った息子Aとの全て。

感想・レビュー・書評

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  • 古本で買って読む。1999年刊行。
    神戸連続児童殺傷事件(酒鬼薔薇(聖斗)事件)の加害者(事件当時14歳)の両親による手記。
    自らをも被害者のように主張していることを書いているように思えた。

  • 前から読みたいと思っていた事件の本だったがようやく読むことができた。
    ある程度予想はしていたけれど、犯人の両親の手記をそのまま編集したものなので事件の真相についてはよくわからない。犯人の精神鑑定では少年は母親から虐待を受けていたとあり母親はそんなつもりはなかったと言っているが、たぶん両方本当だろう。厳しい躾と虐待の明確な区分けなんて実際の難しいと思う。同じことをやってたって、子供が精神的に上手く成長できれば躾だし、その結果精神的に歪んでしまえば虐待と評価されてしまうことだろうと思う。また、少年の行動には犯行に結びつく兆候が有ったのに両親はそれを見逃したという評価もあるようだが、それも結果論だと思う。子供時代もっと残虐非道を繰り返していたけど、大事件もおこさずそこそこマトモな大人になったなんて事例はいくらでもあると思う。間違った育てられ方をしたため犯罪を犯してしまった、なんてのもあるだろうけれど、そこまでひどい育てられ方じゃないのに、何でこんな人間ができてしまったのか?この事件はそちらのケースだと思う。昨今は脳科学の発展が著しく、いろいろなことがわかるようになってきたけれど、精神面・心理面の問題の発見や解決方法も早くわかるようになって欲しいと思う。

  • 親子だからこそ
    見えない、見せない部分がある

    09/04/30

  • 被害者のご遺族にお悔やみを申し上げます。
    この本を書いたお父さん、お母さんにも感謝をしたい。とても勇気がいることだと思う。

    神戸連続児童殺傷事件の犯人酒鬼薔薇聖斗の両親が書いた本。読んでいて辛かった、怖かった。私も子供を持つ親だが、子供が死ぬよりもキツイ事が有るんだと知らされた一冊。

    本を読む限りだと、昭和の子育てではあるかもしれないが、当時は当たり前に行われた教育様に思う。未成年の犯罪は親に大部分の責任があると思っていたが、こういったケースも有るのだと。レアケースだが、そういった傾向を持つ遺伝子を持って生まれて来てしまった子なんだと思う。この本を読んだだけで思う感想ではないは、こういったケースは本人も辛いし、レアだが一定数発生するので周りがその事に気付きケアしていくしか無いと思うのだが。

    人類のどう仕様もなく、辛い一面。

  • 逮捕後の父親の手記と少年が生まれてからの母親の手記。
    少年Aがどのように育ってきたかが主なテーマのようだ。

    ・生後1ヶ月でトイレで排泄をさせる。
    ・弟2人に(事件を起こした)兄を恨まず助けるよう促す。
    ・少年が隠し持っていたAVを発見し、友人と共に見ることを禁じ父親と一緒に見ることを強制する。
    などのギョッとする行動があるものの、少し過保護な普通の母親だなぁという印象。

    その一方で、小学高学年から中学生まで問題行動が多く、中でも腕時計を拳に巻いて友人の歯が折れるまで殴るなど、常軌を逸する行動があるのに、息子への評価がおっとりした根の優しい子。
    専業主婦であり、部屋にも出入りしていながら猫やナメクジの解体、凶器の所持など何も勘付かなかったこと。
    など、ちょっと不自然な点もあるが、病院へ連れて行ったり児童相談所へ通ったり、割りと行動を起こしている熱心な母親に思えた。

    絶歌を読んでからこちらを読んだのだが、同じエピソードを両者の視点で見れたので両方読むと膨らみが出て面白かった。

  • 感想
    加害者家族への目。人間には限界がある。自分のことになると言い訳をするが他人の場合にはそうはいかない。完璧を求め失敗に対して罰を求める。

  • 私はまだ生まれてなかったけどあまりにも切ない事件。

  • 悲しいな悲しいな。
    愛情持って育ててた我が子が、罪を犯した。
    親として出来うる限りやっていたんだと思う。
    神の目線からなら、あの時こうすればよかったと言えるけど、当事者がそんな完璧にはできない。
    急な逮捕後生活が一転し、加害者の親として世間とマスコミに追われてビクビク暮らす日々。

    特に印象的なのが、自分(母)はお尻をぶつ位はしてるけど叱っていたつもりだったのに、少年Aの供述では虐待を受けていたという事になっていてそれがのちの犯行に繋がったというもの。
    真実は当然分からないが、私は母の認識の方が真実に近い気がする。

    幼年期の子供の場合自分中心のものの見方だから凄い嫌なことされたというそこの部分だけの感情を、さらに少年Aは記憶力が人並み外れているので延々と持った。
    そして、家庭内で叱られる含めて嫌なこともあれば、家族で遊ぶ、出かけるなど楽しい事もあったはずだが、逮捕後の少年Aの中には嫌な事しか思い出せなくなっているのかもしれない。

    作中で命について触れていたけど、


    亡くなった被害者のお2人のご冥福をお祈りし、怪我された被害者のお2人と全ての被害者家族の皆様にどうか心の平穏が訪れますように。
    そして、加害者家族も救われて欲しい。

  • こんなんどうしようもないよね…という投げやりな感想を始めに持った。何か悪いことが起こった時の原因を日本人は求めたがりすぎだと思うんだよ。やれこの躾が悪かっただの、この変化を見逃しただの、親の生活がーだの。こうだったからこうなった!と決めつけないと収まりが悪い国民性。そんなん誰にも分からんよね。

    手記全てを信じるわけにはいかないけれど、親御さんはとにかく運が悪かった。あからさまにヤバい家でヤバい生活していた訳ではないし、決してネグレクトだった訳でもない。非行の兆候があってからの対応も完璧とは言えなかったかもしれないけど、何もしなかった訳じゃない。ひたすら運が悪かった。最悪に最悪が重なってしまった。

    「遠目からでも淳君(行方不明)のお母さんが心配げで寂しそうな表情をされているのがわかりました(115頁)」
    は顛末を知るだけに悲しくなったし

    「お父さんなんか、心配しすぎて、自分までつわりになってしまいました。でも、お母さんはつわりとか全く平気でした(126頁)」
    は涙が出そうになった。自分を"お母さん"って書けること、どれだけ嬉しかったんだろうな…

    こうなってしまった以上、例え本当に親が悪い訳じゃなくても、世間に対してはお詫びを続けないといけないこの国で、お気の毒に…とひたすら思う。

  • 子育てに正誤も何もないが、個人的にAに同情する部分も多々ある。度々Aが問題を起こした話があるが、すべてのAの言い分を「言い訳」と書いてある。この時点で駄目じゃん!て思う。それにAVを見つけた時何故そっとしてやらないんろう。父親はまだマシだが、全体的に無神経さが感じ取れ最後の方腹が立ってきた。本人任せにも程がある。世界を広げてあげる努力がない。絵本を読ませただろうか? そもそも引用されてる精神鑑定書には異常疾患無しだが、明らかにAはボーダー(サイコパス)でしょう。そこに躾も何もない。

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