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Amazon.co.jp ・本 (120ページ) / ISBN・EAN: 9784163554006
みんなの感想まとめ
深い愛情と切ない別れを描いた本書は、著者の妻との闘病生活を通じて、愛と死の意味を問いかけます。著者は、末期の病に苦しむ妻を支えながら、彼女との絆を深めていく様子が描かれており、読者はその純粋で美しい愛...
感想・レビュー・書評
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さして「苛烈な愛」とは思わなかった。
この種のものを読みすぎた私に原因があるのだろう。
世間一般で評価されている本旨より別の側面に目が向いてしまう。
記念日や誕生日ごとのホテルでの食事、御木本や和光での高価な宝飾品の買い物、富裕な文筆家の夫をもつ、鎌倉住み専業主婦の妻はお手伝いを頼み、絵やスイミングのお稽古に励む・・・慶應女子から内部進学と、当時の水準でみれば異様に恵まれた人生を送った女性が、死期に及んでこれ以上ないほど献身的な夫に看取られる。一ミリも気の毒な要素の見当たらない、というか随所に嫌味すら感じさせるこの随筆をなぜ江藤淳ほどの人が書いたのか。
自分は夫として完璧な役割を果たしたのだと、それゆえ妻の人生は一点の曇りなく輝くものであったはずだと、言わずにいられなかったのではないか。ふとそんな印象を受けた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
江藤淳さんは本書発行(1999年7月7日)の2週間後の21日、鎌倉市の自宅で自ら命を絶ちました。享年66。
テレビのニュースで知り、すぐに書店に駆け付け、「江藤さんが何故、自殺したのか」知りたくて、この本を手にしました。
『妻と私』。簡潔でシンプルな表題のなんともいえない奥深さ。そこには末期の転移性腫瘍(がん)で他界した慶子夫人との闘病の記というより、ご夫婦のあまりにも純粋で美しい、そして私にはとても近寄りがたいあふれ出る愛情の表現が詰まっていました。
しかし、まだ若かった私の「何故に自殺?」という疑問には答えがみつかりませんでした。
だが遺書とも言っていい江藤さんのこの本『妻と私』は、私自身が年を重ねた時、どうしても読みたくなる、人生の必読本になると直観的感じ、これまで本棚の片隅で主役でもわき役でもなく、忘れ去られたわけでもなく、じっと存在し続けていました。
今年1月末ごろから、私は突然、両手首から指先、両足首から指先にかけて痺れ、むくみ、寒暖や触覚の感覚すらなくなり、約1か月、入院治療しました。がんではありませんでしたが、『妻と私』に書かれている病名や治療法などの専門用語が話され、さらに他人事と思っていたリハビリや介護制度の現実にも直面して、初めてのことにまともに考えることすらできませんでした。脳裏にあったのは「これで第二の人生が終わった」ということだけ。
であれば、ドストエフスキーも夏目漱石も、シェイクスピアも、私のこれからの人生に読むべき書籍は必要ないだろうと思っていた。が、自宅療養、外来診察になって精神的に安定してほぼ1か月半、惹かれるようにこの『妻と私』に手が伸びていました。
でも、分からない。江藤さんの人生の最期に、生と死の時間と空間が、日常と非日常の混濁の中でどのように流れていたのか。またはその流れが断ち切られたのかが。
今、ただ一つだけ分かったのは、大切に所蔵していた『妻と私』が、自分自身の長い人生の読書体験の中で初めて出会った唯一無二の貴重な体験であったということだった。 -
こんなに深く優しく生涯愛してくれる連れ合いに出会えて慶子さんも幸せだったろうなと思う。
残り少ない時間を言い争地に費やしたくない。
一旦死の時間に深く浸り、そこに取り残されてまだ生きている人間ほど絶望的なものはない。家内の生命が尽きていない限りは、命の尽きるその時まで一緒にいる、決して1人ぼっちにはしないという明瞭な目標があったのに、家内が逝ってしまった今となっては、そんな目標などどこにもありはしない。ただ私だけの死の時間が、私の心身を捕え、意味のない死に向かって刻一刻と私を追い込んでいくのである。 -
これが愛だと思う。何度、読み返しても涙が出る。
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初めて読んだとき、嗚咽を押し殺しながら読んでました。
江藤さんという人について、詳しく知らなかったのだけど、この本を読んだ後に、自殺されたと知りました。
その後図書館で、江藤さんの死について考えるという内容の本もみて、
江藤さんの自殺は是か非かみたいな議論もあったみたいだけど、
ひとつだけ言えるのは、江藤さんがとってもとっても奥さんのことを愛していたということは事実だなと思います。
やっぱり読み返すと、涙がポロポロ出てきて本当に悲しいのだけど、
天国で奥さんと一緒にいれたら、江藤さんは幸せだろうなと思います。 -
最初の1行目から最後の頁まで涙が止まらない。どんな気持ちでこれを書き上げたのか考えると、胸が詰まる。
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漱石評論家として名を知られる氏の自殺を知ったときは、衝撃だった。それから数年たち、この本を読んで、胸が熱くなった。
なんという、愛の形か。
妻亡き後、この世をさった氏は、あの世というものがあるのなら、そこでまた夫婦として暮らしているのだろうと信じられるような、一作である。 -
50歳になり、間違いなく人生後半、最初に読んだ本がこの本になった。私にとってはとても心を打つ本でした。
それぞれのシーンがとても印象的で、感じ入るというか、考え込んでしまう。
私自身は妻を残すわけには行かないので、看取る覚悟でいたのですが、妻がいないこの世にいるということをどう受け止めてその後の人生を送ることができるものなのか、この本を読んでしまうと分からなくなってしまった。 -
長年連れ添った愛妻とのわかれを文芸評論家の江藤淳の書いたエッセイ。同じような本でガンセンター総長の垣添せんせいの「妻を看とる日」歌人の永田和宏の一連の妻への思いを書いた本など、長年の生活を経た熟年の人の描いた本には教えられます。
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妻の死、葬儀、自分の病気、入院、手術。怒涛のような日々が筆者に襲い掛かります。
退院し、執筆活動、大学院生の研究指導も再開して日常を取り戻され、庭師の方や編集長など周りのサポートもあったのに、奥様の死からわずか半年あまりで自ら命を絶ったのが非常に残念だと思いました。 -
うーーーん、要するに、身分が違うということか?
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初恋の人、慶応の同級生、三浦慶子さんと卒業と同時(1957年)に結婚した江藤淳氏の「妻と私」、1999.7発行です。1998.11.7、41年連れ添った妻をガンで亡くし(告知せず)、以降、著者自身も病気で入退院を。「妻と私」は1998.2、妻の検査入院から1998.11の妻の死までを中心に著者の妻への愛と哀しみを記した作品です。江藤淳氏は、1999.7.7本書発行の2週間後の21日、鎌倉市の自宅で自ら命を絶ちました。享年66。
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自分の心境をこのように文章に表現できる力は、
ほんとうにすごい。
全ての人が、著者のように妻がなくなって、
抜け殻のようになるとは、思わないが・・・。 -
「咲く花」がテーマですが、満開に咲く花というより、ひっそりと咲く1輪の花が思いうかびました。内容は病気の妻との2人の世界は花のように美しく書かれています。決して重たくはなく、心の模様が書かれています。
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五月二十二日の、午後六時頃であった。平成十年のことである。
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妻が癌になってから亡くなるまでをつづった手記。
冷静な文章なだけに、どんどん妻の死の時間に引き込まれていっているのを感じられる。
江藤氏は妻の死後すぐにこの本を執筆し、出版直後に自殺をしたという。 -
本屋で、文庫版になった著書を見つける。
実は、何年か前、この本が単行本で出された。私は、城山三郎の亡くなられた奥様のことを書いた本だと知りながら、どうしても手を伸ばすことはできなかった。気になってはいたが、文字通り、手にとってみることさえできなかった。
江藤淳の「妻と私」がトラウマになっているからだ。
「妻と私」は、江藤淳の奥様ががんで亡くなられた、その間の経緯や二人の思い出などが簡潔に温かく綴られたものだ。その後、江藤は自ら命を絶つことになる。
してみると、「妻と私」は江藤本人が意識していたかどうかはわからないが、夫人に対してのレクイエムであり、江藤自身の遺書である。
大学の先輩でもある江藤の著作は、そんなに多くではないが、私は好んで目を通していた。特に、新聞や雑誌に出されるエッセィや文芸時評は気骨のあるもので、間違いなく私はファンの一人でもあった。
江藤自殺の報にいくばくかの驚きを感じながらも、妙に納得もしたことを覚えている。子供のいない江藤夫婦にとって、妻の逝去というものは、そのまま夫の死に繋がるであろう事は、そうなってみればそうなってみたで、容易に想像ができよう。
「妻と私」が出され、私はすぐに読み終える。妻の死がそのまま夫本人の死に直結したことを、既に知って読んだせいもあり、大変切ない思いにとらわれる。
私には二人の子供がいる。二人とも私の命よりも大切な宝物である。そうであっても、私の妻に万が一のことがあったら、私もやはり江藤淳と同じ人生の選択肢を選ぶであろう。「妻と私」の読後感、いや、読んでいる最中から、確信に近い思いを持つ。
「そうか、もう君はいないのか」を読むと、また、同じ思いにとらわれるのではないか。一流の作家の書き上げるものは、それだけの力を持っている。だから、最初に刊行されたときは、手に取ることさえしなかった。
先般、本屋さんで文庫版を目にする。家に帰り、なんとなく気になり、「妻と私」を再読。翌日、「そうか、君はもういないのか」を購入し、一気に読み終える。 -
この本の分類は何? 確かに最後の気力を振り絞って執筆されたのだろうが、世に出す必要があったのか。自殺されたと読後に知り、後味が悪く感じた。
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文藝春愁にも載った”江藤淳”氏の著作
この本が好きな人におすすめの本
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