地ひらく 石原莞爾と昭和の夢

  • 文藝春秋 (2001年9月25日発売)
3.86
  • (5)
  • (8)
  • (8)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 66
感想 : 7
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (776ページ) / ISBN・EAN: 9784163577807

みんなの感想まとめ

歴史の深層を探る本書は、満州事変を起点に日本の戦争の目的やその過程を新たな視点から考察しています。従来の見方では捉えきれなかった戦争の背景や、石原莞爾の理想と現実との葛藤が描かれ、読者はその複雑さに引...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 読み終わるまで一ヶ月かかりました。

    本書を読むまでは、満州事変こそが太平洋戦争の起点になった出来事と思っていましたが、実際は満州事変そのものは第一次世界大戦後の戦後処理で決められたワシントン体制と言う欧米列強の欺瞞との決別と言う考え方は新しい視点になりました。
    そう言った点からも、確かに満州事変には目的がありましたが、支那事変以降は戦争により達成しようとする目的への目論見も甘く、時には目的すら無く戦争が拡大し、日独伊三国同盟や日ソ不可侵条約や東南アジアへの侵攻と、過ちを重ねていったように見えます。
    また石原莞爾にとっては満州事変と満州国の建国は理想に向けた第一歩だったかもしれませんが、そうは思わない人たちも多かったのでは?とも感じました。一度動き出した球がもはや自分の意図に反しても転がり続けてしまうような感覚です。
    その他にも、組織の指揮命令系統を無視した軍隊の秩序意識の乱れ、ソ連と言う最も注意を向けなければならない相手がいるにも関わらず日中で争うと言う指導層の国際感覚の無さ、国際感覚のない市民の世論に迎合するような政治家の態度など、日本が戦争をする目的がないまま戦争を続けてしまったことなど、現代に生きる我々にとっても、しっかりと考えなければならない問題と思いました。

    本書を読んで、石原莞爾と言う人を、理想を追い求め、またその理想を追い求める事ができる頭脳を持った人だったと理解するようになりました。
    石原莞爾の目は理想像として世界の全体最適が見えていましたが、普通の人間にはせいぜい2手3手先の部分最適しか理解できないと思います。
    私も部分最適は時として全体最適のためにならない事の方があると十分に理解しているつもりですが、だからと言ってより大きな問題に向き合うために、目の前の問題を放置することも難しいです。
    人間の営みや歴史と言うものが、ここからどこに向かうのか心配でもあり、また楽しみでもあります。

  • ふむ

  • 地ひらく―石原莞爾と昭和の夢
    (和書)2010年01月02日 23:20
    2001 文芸春秋 福田 和也


    石原莞爾「最終戦争論・戦争史大観」を読み「石原莞爾全集」を古本屋で買ってしまった関係で、石原莞爾の著書以外にこの人がどのような人物なのか評伝のようなものを読んでみたくなったので丁度良かったと思います。佐高信「黄沙の楽土―石原莞爾と日本人が見た夢」も合わせて読んで、石原莞爾崇拝者とそれから距離を置いて見る者との好対照の本を読めて疑問点などが明確になりました。

  • 全780ページくらい。読了しました。
    石原莞爾...その名前だけで「おら、ワクワクするぞ!」って人もネガティブなイメージを持つ人も多い人でしょうけど。
    その評伝を読み終わりました。
    明治〜大正〜昭和の激動を生き抜いた戦略家・思想家の生涯であります。
    日露戦争時に幼年学校に育ち、関東大震災で殺された大杉栄と知り合いで、大杉栄を殺した甘粕正彦とも親交があったり…。
    満州事変、満州国建国、国際連盟脱退、226事件、支那事変、東京国際軍事法廷と歴史の表舞台を歩いた人ですね。
    よっちんもこれまで「石原莞爾」という人はイメージでしか理解していなくて….この評伝を読んではじめてにその時代を考えながら「石原莞爾」という稀有な(あえていわせていただくなら)英雄の生涯を通してあの時代を透かし見ることができました。
    まったく無駄な仮定だけれども「石原莞爾」クラスの戦略家がもう4,5人いたら昭和の歴史も変わっていたのでは?とおもいます。
    日本人として忘れてはいけないことをひとつ学んだのは
    第一次世界大戦後のベルサイユ条約会議において、日本は人種差別撤廃を世界史上初めて掲げ提案した国となった。しかしこの日本の人種差別撤廃提案は、アメリカを中心とする反対によって葬り去られた。
    「五族協和」満州国においてどの程度のリアリティがあったのか今や、時間と主義・主張のバイアスがかかっていて正確には判断できないけれどもしスローガンどおりならばやはり「石原莞爾」はとてつもない巨人だといえるのではないか?と思います。
    一瞬にして張学良を沈黙行動不能にさせた戦略は後人の追随を許さないと思います。
    日露戦争での乃木希典の愚策から学び、ノモンハン戦争から謙虚に反省をし、石原莞爾という稀代の戦略家の踏襲をしないで、「兵站」ということを大事にしえたら昭和から今に至る歴史は違ったものになったのではと愚考するよっちんであります。
    今の時代からすると「世界最終戦争」という考え方はチャンチャラおかしいものかもしれませんが共産主義と資本主義と有色人種國家というカテゴライズしかない時代から俯瞰してみると充分ありえるのではと思います。
    でもこの本、少年が読むとよくないです。
    山口二矢的人間(浅沼稲次郎暗殺事件)的なことが多発しそうです。

    暴発するおそれのない枯れた老人が読むべき書です。

  • 石原莞爾と昭和の夢、まさにタイトルまんまの内容だった。戦争のことだけでなく、この頃の世界情勢や日本の世論などを交えながら書いてあるのでこの頃の日本の状況がよく分かった。
    昭和の夢とうたうだけあって幾分感傷的ではあったけれど、作者が精一杯公正な立場から昭和を、太平洋戦争を見ようとしているのが文章から伝わってきた。ただ、日露戦争の件では『坂の上の雲』ファンの私にとって素直にうなずけない箇所があった。

全5件中 1 - 5件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

1960年、東京都生まれ。批評家。慶應義塾大学名誉教授。『日本の家郷』で三島賞、『甘美な人生』で平林たい子賞、『地ひらく――石原莞爾と昭和の夢』で山本七平賞、『悪女の美食術』で講談社エッセイ賞を受賞。

「2023年 『保守とは横丁の蕎麦屋を守ることである』 で使われていた紹介文から引用しています。」

福田和也の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×