はじめての文学 宮本輝

  • 文藝春秋 (2007年2月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784163598406

みんなの感想まとめ

青春や生死をテーマにした短編が収められたこの作品は、昭和の香り漂う物語が特徴です。著者の作品に親しんでいる読者は、親近感を持ちながら物語に引き込まれ、懐かしさを感じるでしょう。特に登場人物たちの抱える...

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で、『はじめての文学』シリーズの存在を知った。
    宮本輝さんの小説は、自伝的大作『流転の海』を読んでいたので、内容は親近感があり、すぐにその世界に入ることができた。
    逆に、その色が薄い『五千回の生死』、『星々の悲しみ』が新鮮だった。
    宮本輝さんの世界は今は遠い昭和、『俺たちの旅』いやそれ以前の昭和の香りが漂う。時々『男はつらいよ』が観たくなるように、宮本輝さんの小説が読みたくなる。そうそう、今回の映画『俺たちの旅』も観てきた。

    舞台はほとんどが大阪。
    富山が舞台の話も読みたくなってきた。

  • あとがきに「井上靖のあすなろ物語を読んで、人間真っ直ぐに生きなきゃいけない、卑怯じゃいけないな、と感じた」という筆者のエピソード(乱暴に略した)があって、借りることにした。最近己の汚さに嫌気がさしているので…。(ついでにあすなろ物語も借りた)

    10年近く前に螢川・泥の河を読んで、文章に癖がなくてきれいな作家って印象だった。
    期待通りで、読んだ後は「良いものを読んだな」という感覚で満たされた。
    でも、この人が何を伝えたいのか私にはわからなかった。どういうことなんだろう?と考えさせられた。収録されている話の確か全てで登場人物が死ぬ。多かれ少なかれ死というものについての問いかけがベースに流れている。というか、この本の中ではあまりにも死が身近で問いかけるって表現が大げさに感じられるほど。
    私は死について考えたことがほとんどない。身近に死んだ人もほとんどいない。現代、そうそう人が死ななくなって死んだらビックリしちゃうけど、死ぬってほんとはもっともっと普通のことなんだろうな。

    どの話も良いんだけど、「サビだけ集めました」みたいなメドレーって感じで、個人的には少々目まぐるしかったので、もう少しゆったりと個々の作品を味わえると良かったなと思います。まあそれが短編の醍醐味なんですが…。

  • 読みたいな、という気持ちは何年も前から抱いているものの、なかなか実際の行動には移せないままズルズル生きてきてしまった……という作家さんや本が私には無数に、下手したらこれまで読んだ数よりもたくさんあるんですけど、宮本輝氏もその1人でした。本棚には『春の夢』の文庫本が積みっぱなしになってるし。
    ところが、先日図書館で『はじめての文学』シリーズの存在を知り、何気なく手に取ったよしもとばなな編が大変に面白かったこと、そしてこのシリーズが自選集であることなどに心動かされ、遂に、と云うか、満を持して、と云うか、そういう感じで宮本輝デビューさせていただきました。

    「文学の入り口に立つ若い読者へ向けた」アンソロジーということもあってか、本書に収録されている短編はどれも“青春”がテーマ。
    舞台となっている時代はいずれも昭和で戦後で日本がまだ貧しかった頃で、登場人物はほぼ全員きつい関西弁を喋ってて、若くはないけど老成してもいない私にとっては、なんだか昔の映画を見ているようでした。
    でも、主人公たち(少年or青年)が抱く不安や焦燥や閉塞感みたいなものはやっぱり普遍的なもので、なんだかわかんないけど足掻かずにはいられない姿には打たれるものがすごくあって。

    ああ青春って「据わりの悪さ」のことなんだなあ。そこからどうやって抜け出そうかってガチャガチャやることなんだなあ。

    なんて、読み終わって余韻に浸っているところです。読んでよかった。欲を言えばもっと早くに読めばよかった。
    『力』『五千回の生死』が特に好き。

    【収録作品】
    星々の悲しみ
    真夏の犬
    力道山の弟
    トマトの話

    五千回の生死
    道に舞う

  • 処分前にはじめての文学シリーズ再読 パート2
    宮本輝!
    昔、大好きだった作家。この短編集は流転の海シリーズをベースにした父と自分の自伝から何編か独立した話になっている。
    何十年か前の宮本輝みたいに、作家のピークと時代がうまく重なる奇跡のような時があるよね…
    昭和中期の山崎豊子とか有吉佐和子とか。
    時代が変わったのか自分が変わったのか。今は、宮本輝はあまり読まないけれど、読むとたしかに夢中で読んだあの時の自分を思い出して、少し嬉しいような寂しいような気持ちになる。

  • 貧しい暮らしをしている人々についての短編集でした。
    子供の頃の主人公の話が多かったです。
    舞台は大阪が多かったです。

  • とても綺麗な文章を書く人だなと思った。おばあちゃんにおすすめされたけど難しそうで読む気になれなくて、でも読んでみたいと思っていたので、ちょうど良かった。
    短編集だったから、読みやすかった。
    最初の『星々の悲しみ』という話がとても美しいと思った。小説を美しいと感じたのは初めてかもしれない。
    今の自分と、将来の自分で、大分読んでいる時の感じ方が変わってくると思ったので、宮本輝さんは大人になってからも読みたい小説家だと感じた。
    他の話も読んでみたいと思った。

  • 久々の読書。初手で長編のものはきついので、
    とりあえず手に取った作品。

    ↓以下、感想文 ネタバレなど自己責任でお願いします。
    宮本輝 『はじめての文学』

    ・全体的に昭和の色が濃く、大阪が舞台になっている。当時のことを知っているわけではないから物の名前であったり、話し言葉にも知らないものが多かったりする。そのため没入しづらい部分はある。
    かなり人間味に溢れている内容が多い。人間味という言葉で済ませるにはもっと泥っぽくて、汗の匂いがしてくる感じだ。NHKの朝ドラに似ている。こういうものを大衆的とか世俗的とか、そう表現されるんだろう。
    多くの物語は家族間でのやり取りや出来事が題材になっている。登場する大体の父親が借金だったり、
    蒸発したり、ギャンブラーだったり結構ろくでもない。自分がそう感じるのは平成の人間だからだろうか。
    真偽は不明だが、まるでその時代の『父』という存在がテンプレ化されているようだった。

     個人的に『五千回の生死』は収録されている中でも毛色が違うような気がして好きな物語である。
    前述の通り、家族・友人間の物語が多い中で全くの他人同士の物語であるのもそうだが、主人公が体験した出来事を知人に語りかけている、口語文で書かれていることが大きな特徴だ。
    語りかけている相手(主人公の友人)と主人公が語る出来事の中で出会った男は別人であるため、
    具体的な友人の性格だったり、主人公との関係性はわからないようになっている。
     このような書き方によってどのような影響があるのか考えてみた。
    友人との出来事は話の本筋の前振りとして使われている。この出来事も主人公が語っている今現在の時間軸からは結構昔だと推察できる。順番としては「友人との出来事(Aとする)」→「男との出来事(本筋=Bとする)」→「主人公が現在軸で友人に語る(Cとする)」になっている。BのためにAがあるが、口語文にしなくても物語はできるはず。そうしたのはAを簡潔に済ませるため。というのが理由の一つとしてあるのではないかと考えた。
    全てを現在軸で書こうとすると友人との会話や出来事の描写もする必要があるため、量が増える。
    もっと簡潔にしようとして、こういう状況でこうなった、では淡々とした説明ばかりになってしまうように思える。
    口語文にすることで文章に温度を持たせられるし、友人の性格もチラつかせることができ、柔軟に対応できるからではないだろうか。
     死にたくなったり生きたくなったりを繰り返す男だが、私は死にたくなる方が多い。というより、
    生きたくなる感覚がよくわからないから無意識にそう感じられていたとしても気づいていないのだろう。少し考えたが、天気の良い日に散歩している時や、自然の美しさに触れている時、旅行の計画を立てている時などは精神的にいい意味で凪いだ状態でいる。
    これが生きたいに値するのかは知らないが、ずっとこの時間が続けばいいのにとは思う。生きたいと感じられるのは感受性が豊かというか、己の精神を反芻して考えてその気持ちに名前をつけられるくらいの認知能力がある人間じゃないと気付けないものなのだろう。

     

  • 昭和時代を思い出させるような情景だ。少年、青年期の思い出。

  • 昔の大阪を舞台に描かれる青春。
    自分が幼かったときのことを思い出す。

    何気なく手に取った本だけど、どんどん著者の世界に引き込まれていった。
    もっと他の作品を読んでみたくなった。

  • 読書会の題材を選ぼうと思って読んでみました。高校生のときに『避暑地の猫』を読んで衝撃を受けて、しばらく宮本輝にはまったのですが、それ以来久しぶりに読みました。芥川賞~~っていう感じがします。感覚的。

  • 嫌に現実味を帯びていて、妙に物事は上手く運んで……運ばれてしまう。
    昭和と大阪弁が織り混ざって出来上がる物語は自分の体験したことの無い雰囲気に飲み込まれ、衝撃を受けた。
    「星々の悲しみ」「トマトの話」が特に印象に残っていて、自分がオススメとして、挙げるとなればまずこの2作を選択する。

  • 職場の先輩が「文章がうまい」と言っていた、宮本輝の作品をいつか読みたいと思っていた。作品が多すぎて選べないまま、そのままきた。今回『はじめての』の言葉に惹かれて手に取り、読み終わって、人生の機微を感じさせるじんわりとした読後感が残っている。次は長編を読もうと思う。

  • 図書館って素晴らしい第2弾

    読んでみたかったけど
    なにを読めば良いのかわからない作家に
    手を出してみる

    短編だけどタイトルを見ただけでストーリーが甦る
    もっと読んでみよう宮本輝

  • 宮本作品は全読しているものの、編を改められたら気になるのがファン心理・・・というもの。
    しかしさすがに買うまではせず、図書館に配本してあったものを借りて読んだ。
    「はじめての」というだけあって、宮本作品の代表的な短編が7編。
    一話読み終わるごとに、人のきもちにざわめきのようなものを残していくような話ばかり。

    大きな活字で、難解な漢字にルビをふり、「はじめてな」気持ちであらたまって読む宮本作品にまたあらたに魅きこまれる。
    なんどわたしはこの作家に揺らされれば気が済むのだろうか。
    読み返すたびにわたしの解釈は右に左にいったりきたり。いつか、この作家を読み解ける日がくるのかなあ。
    でも、そんな日が来ないことも願う。わたしは、この作家に翻弄されていたいのだ。

    この短編7作が、「はじめての」宮本輝となる若い読者に軽く嫉妬すら覚える。これから宮本作品を山のように読めるのか…うらやましい。
    この7作を押さえた上で、流転の海シリーズを読み始めると世界のリンクでより深く楽しめるだろう。
    「はじめての」あなたに強力にオススメ。

  • お得

  • 面白かったけど、同じパターンの話しが一冊に複数入ってて、気になった。

  • おそらく本人推薦短編集。食事中はきついなあ、てのが多かった。戦後の貧乏な大阪少年ものが多かった印象が。
    ああ、芥川賞作家だなあていう雰囲気が。ゆっくり読めるときがあれば多少きついことが発生しても読めたかなあ。

  • 『トマトの話』が特に印象に残った。すごく鮮烈な色彩と、微妙だけれど人生に於いていつまでも心に引っかかるような感情。手元に置いて何度も味わいたい作家。『泥の河』は全部、『蛍川』は途中まで読んだはずだがこの本に収録されている全ても含め、ものすごく〝本物〟を感じる。

  • 子どもでも読めるということになっているこのシリーズ、宮本輝さんの比較的、読みやすい短篇を集めてあるので、私のような宮本輝作品初心者にはぴったり。

    文章に品があって、貧しい家族の描写も、そこはかとなくすがすがしい印象です。

    「五千回の生死」が、短篇の中で一番楽しめました。語り口が巧妙で躍動感があってさわやかなお話でした。

    けれど、実は「あとがき」が一番好き!
    著者が中学生で「あすなろ物語」を初めて読んだ時の衝撃の表現が美しくて、私もぴりりと身体がしびれるような思いがしました。

  • お父さんは、事業に失敗して・・・って設定がやけに多い。
    「トマトの話」「道に舞う」が泣けた。

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著者プロフィール

1947年兵庫生まれ。追手門学院大学文学部卒。「泥の河」で第13回太宰治賞を受賞し、デビュー。「蛍川」で第78回芥川龍之介賞、「優俊」で吉川英治文学賞を、歴代最年少で受賞する。以後「花の降る午後」「草原の椅子」など、数々の作品を執筆する傍ら、芥川賞の選考委員も務める。2000年には紫綬勲章を受章。

「2018年 『螢川』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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