はじめての文学 林真理子

  • 文藝春秋 (2007年10月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (248ページ) / ISBN・EAN: 9784163599205

みんなの感想まとめ

女性の心の奥深くに触れる短編集であり、著者の独特の視点が光ります。自選アンソロジーとして構成されたこの作品は、林真理子の「THE女」の視点から描かれた物語と、人生や人間関係を考察するノスタルジックな話...

感想・レビュー・書評

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  • 文学の入り口用に作られたシリーズ。自選アンソロジー。
    林真理子編。
    『モデルのみちる』『二人の部屋』『駅』『一年ののち』
    『赤い鳥』『玉呑み人形』収録。

    林真理子の入門書として、
    よく作品を選び、構成されてるなあと思いました。

    山田詠美と並び、林真理子はTHE女の思考から描く人です。
    二人とも、良い意味でも悪い意味でも、やらしい話を描く。
    そして、読んでしまえば、読後感のあとも、
    読者の日常に侵食する魔力をもつ。

    この短篇集は入門編を意識して、
    あまり侵食力(ショック)が強くない物を選んでる気がします。
    だから物足りなさはあったけど、読みやすい短篇集でした。

    短編集なのだけど、二部構成を感じます。
    前半は、林真理子イメージである「THE女」系の話。
    後半は、文学的でノスタルジックな「人生や人間とは」系の話。
    前半と後半で本質が違う短編集なので、
    林真理子を知るための入門書には最適。
    「THE女」のイメージを敬遠している人は、後半を読んで一新されるかも。

    個人的には、戦後の少女時代を舞台にした
    『赤い鳥』『玉呑み人形』が良かったです。
    ノスタルジックで少女時代特有の温かく穏やかな世界観なのだけど、
    働く女性や学歴のある女性に対し時代は冷ややかで、
    男尊女卑の概念が静かに潜んでいる。

    そして戦争の置き土産について考えさせられました。
    爪あとほど鋭利ではなくとも、
    戦争のせいで邪魔臭いものが残ってしまった。
    そういう戦争のデメリットは考えもつかなかった。

    兵隊に行っていた頃の習慣で、父は食事の取り方ががめつい。
    その食べ方を気に入らない母と喧嘩をする。
    兵隊時代は生き残る術だったものが、過ぎたあとでは、
    家庭の食卓を円満にさせない原因になっている。

    赤い鳥は 『本を読む女』の抜粋でした。
    著者林真理子の母親をモデルとした女性の半生を描いた作品、らしいです。 『本を読む女』も手にとってみようと思います。

  • 初めて林真理子さんの作品を読みました。ブクログのオススメに出ていて、図書館で見つけました。

    こちらの作品は短編集。それぞれ主人公の女の子が、人生の危機にあったり、なんとも言えない現状を飲み込もうと奮闘したり。
    6つの物語で、赤い鳥は林真理子さんの幼少期がモデルとのこと。ラストシーンで、いつもいがみ合っている母と祖母が笑顔でいる、それだけで幸せな気持ちになる、というフレーズが自分にも重なってとても共感と、キラキラした余韻に浸った。

    どの物語もとても入り込みやすく、早く続きが気になる!と一気読みした。林真理子さんの作風なのかも。他の作品も読んでみようと思う。

    • めるさん
      訂正。赤い鳥のモデルは林真理子さんのお母様。
      追記。玉呑み人形のモデルは林真理子さんのお父様。
      訂正。赤い鳥のモデルは林真理子さんのお母様。
      追記。玉呑み人形のモデルは林真理子さんのお父様。
      2021/04/05
    • めるさん
      ※はじめての文学シリーズ。他にも著名な作家の方々がこのシリーズで本を出している。
      ※はじめての文学シリーズ。他にも著名な作家の方々がこのシリーズで本を出している。
      2021/04/05
  • 「はじめての文学」全12巻の中の最終巻は林真理子。
    恥ずかしながらお名前しか存じ上げないままに今日まで生きてきてしまったので、私にとってもまさに「はじめての林真理子」です。

    帯の煽り文句が「女の子だったら、きっとわかる。」だったのですが、読んでみて納得。
    女性が密かに抱いている見栄や劣等感や狡猾さ、したたかさ等が、作品の重要なファクターとなっているのですね(斯く云う私も、共感・同情・同族嫌悪なんかで頭グルグルしながら読み進めました)。

    山梨県出身の著者は長らく「地方出身の女子の悲哀」をテーマにしてきた、と仰っていましたが、ここ数年の社会の状況はどうなんですかね?
    “花の都大東京”(by長渕剛)みたいなものに対する憧れって、みんなまだ持ってるのかな?
    近年は特に「東京で成功してやる!」系の立身出世願望よりも、地元で穏やかに家族に囲まれて暮らしたい……みたいに思う子が増えてるらしいとも聞くので、林真理子作品に登場するような野心的な女の子は少なくなっているのかも。

    個人的に、私小説的な後半2編が好きです。
    『本を読む女』、『胡桃の家』も借りてこようかな。

    【収録作品】
    モデルのみちる
    二人の部屋

    一年ののち
    赤い鳥
    玉呑み人形

  • https://opac.lib.hiroshima-u.ac.jp/iwjs0027opc/BB01780649 西図書館2階・開架  913.6/H-48

  • 父が昔 買ってくれた はじめての文学全集12冊。
    そろそろ、処分しようかな?と思って,再読、
    懐かしい。
    林真理子って、日常を切り取った小さな小説を書くのはほんとうに上手。
    でも、地方出身の女の子の田舎の母の描き方が…?
    典型的な無教養でがさつな言葉遣い。まだ、若い母親がこんなことって無いんじゃない?会話文が下手なんですよね。

    後半の母親モデルの小説は、いろいろな小説で似たような話を書いていらっしゃいますので、ちょっと辟易。

  •  今の作品ほど生臭くない爽やかであった頃のハヤシさんの作品は、書道の達人がさっと筆を置くような潔さが感じられるものばかりでした。
     宮本輝さんの作品のような知らん間に終わってしまったなぁという心細い感じの作品もありました。

  • 子供向け…ではなく、子供だった私たち向け。

    地方出身者の東京への憧れ。
    今はどの都市も似たようなもので、そういうものが薄まってきているのではないか。

    後半の女の生きづらさを読み進めると、単に昔は良かったなんて言えないと感じた。
    振り返れば歴然とした違いを感じる。
    今はどんな時代なんだろう。

    他の作家のシリーズもぜひ読んでみたい。
    著名作家の初読みにはいいかも。

  • 林真理子センセイの作品に初めてふれました。ご自身の根っこにつながる部分が垣間見え、作家としての覚悟のようなものを感じました。人に何かを伝えるには、まず自分がオープンにならないとだめですね。

  • 林真理子をちゃんと読んだのは初めてでしたが、
    人気がある理由がわかりました。面白くて読みやすい。
    なんとなく「女性は!女性は!」というイメージを持っていたのですが、少なくともこの本に関してはそういうところは全くありませんでした。

    『モデルのみちる』
    順風満帆だった大学生でモデルのみちるが、誕生日に買ってもらった新車で人を轢き殺してしまう。
    それによって、今までの自分がいかに幸せであったか、そしてもう二度とそこに戻れない自分を知る。
    この事件でみちると真逆のベクトルを向く彼氏は、「そんな彼女を見捨てない俺」という気持ちに取り憑かれてか、みちるとの駆け落ちを計画する。待ち合わせ場所に現れなかったみちるからの別れの手紙を受け取り、憑き物が落ちたようにそれを受け入れた。
    (敢えて直さなかったとの記述がありましたが、文中の「ザ・バブル」な言葉や服装はこの機会に直した方が良いと感じました。

    『二人の部屋』
    お金持ちの友達・雅子の東京のマンションに居候して浪人することになった広美。
    しだいに裕福な雅美に対する劣等感が募り、雅美は自分をバカにしているのではないだろうかという気持ちに苛まれはじめる。
    その反動か、予備校仲間に自分はお金持ちでマンションも自分の親の物だとウソをつきはじめる。
    広美は、つじつま合わせの為に雅美がいない時を狙って予備校仲間を家に招待するも、そこへ予定が変わった雅美が帰ってきてしまう。
    「自分は広美の親戚で遊びに来た者だ」とウソをついてくれた雅美の目は、子供の頃広美が「泥まんじゅうを食べろ」と意地悪を言った時と同じいたわりに満ちた目をしていて、切なくてやりきれなくなった。

    『駅』
    一人暮らしをしている娘の部屋に、母親が1週間泊まることになった。彼氏のことを話そうとしてもそれとなく会話をそらす母親。
    「生まれて初めて、母の無力さを知った」のだ。毛糸のパンツを無理やり履かせようとしていた娘が、今は~。
    一瞬そんな残酷な喜びが沸き起こったものの、翌朝には新幹線に乗って帰る母親と一緒に帰りたいという思いがまた一瞬わいてくる。

    『一年ののち』
    良い会社に努めている男に、彼女が海外から帰ってくるまでの1年間でいいから付き合って、と申し込む主人公。リミットが近づいてきても、彼を彼女から奪えそうになく、嫉妬がつのる。
    しかし実際には彼は彼女に短い期間付き合っただけでフラレていた。どういうことなのだろう?
    彼は好きな相手からはフラれたけれど、会社の名前に群がってくる女ならたくさんいた。しかし遊び慣れていない為に主人公のことをうまくあしらえず、「海外留学中の彼女」という美しいラブストーリーを作り上げてみじめな現実から逃げていたのだ。
    そう冷静に考えてみると、自分もやはり彼の会社名に惹かれていただけのよな気がする。いや、本当は気づいていたのに気づかないふりをしていたのだ。
    彼をかわいそうだと思うし、そんな彼に惹かれた自分もかわいそう。でも惨めな者同士では恋愛はできない。彼の代わりを見つけなければ、と考えてしまう主人公は、自分が悲しいと思った。

    『赤い鳥』
    町の名士である和菓子屋を営む主人公の家。
    父親は遊びまわり、母親は家と店の全てを切り盛りする。そんな中父親が死に、気の抜けてしまった母親に代わって祖母が出張りだす。娘たちの教育に力を入れていた母親を憎々しく思っていた祖母は、主人公を上の学校へは生かさずにすぐに家業を手伝えと言い出すも、
    父の死から1週間ほどで立ち直った母親が、以前のように家事も家業もこなしていく。

    『玉呑み人形』
    エリートだった父が、戦争が終わると嫁の家業を手伝いもせずに、自作のおもちゃを作ったりしている居候状態となってしまった。
    母、祖母、母の妹(叔母)とで父を馬鹿にする日々。
    父親の催した「美人コンテスト」で恥をかかされたと思った祖母と叔母は大いに怒り、
    その夜、母は父に「ここを出て行きましょう」と相談するも、父は黙ってしまう。
    結局母は、父のことを愛していたのだ。
    数カ月後、父はまたおもちゃを作っていた。ピンポン玉を飲み込む人形だ。それを見た主人公は急速に悲しくなり「バカ。バカ。お父さんのバカ」といってこぶしで父親の背中を叩いたのだった。

  • 「少しはやる気が出てきたのかもしれない」

  • 図書館借り。初林真理子。
    半分読んで止めた。

    なんかなー、合わないわ。
    著者選、中高生向け短編集、なんだけど。
    バブル期の小説だからって、東京生まれ育ちの、幼稚舎からエスカレーターの大学に通っているお嬢様は、BMWをベンベーとは言わないし、だべるじゃなく「しゃべる」と言うでしょう。
    うわべだけ取り繕ってる感がww

    無理矢理、山田詠美のようにしようとして失敗してるかな。

    小説家なのに、綺麗な日本語知らないのはサイアク。
    もう、読まないわ…。

    そんなに東京にコンプレックス抱いてるの、なんか田舎者で卑屈です〜と告白してるみたい

  • モデルのみちるは面白かったが、
    全体の文体や話はあんまり好みじゃない。

  • 読んでみたけど文体が肌に合わないや。なんかこう垢抜けないというか
    上京とか田舎のしきたりとか結婚とかあんまり自分に縁がないやつが多いのも原因だろうか
    なんていうか、うーん。

  • 初めて林さんの作品に手をつけたけれど、どうも肌に合いませんでした。

  • はじめての文学シリーズの林真理子さんのものです。

    はじめての文学と銘打っているだけあって、とても読みやすかったです。

    「この気持ち、人には言えないけどとてもわかる」
    と思わされる話が多かったです。


    愛ということや責任についてわかったように話してはいるものの、本当は何一つわかっていないこと。

    女友達同士の変てこな見栄。

    母には内緒の部分のドキドキ感。

    好きな人が数倍良く見えてしまう不思議。

    幼い頃の記憶。


    モデルのみちると、一年ののちが特におもしろかったです。


    秘密を共有しているような気持ちになれます。


    日々の事を女友達と話したいと思っている方、よいかもしれないです。

  • 薄々感じていたけど
    この作家さんとは相性が良くないかも。

    特に前半の4編は好きになれません。
    「地方出身の女の子の悲哀」を書いているのだとか
    テーマからして好みではないのだもの。
    でも、その点では書き切られていると思う。

    子どものころ叔母の本を拝借して読んだ
    エッセイの方をもう一度開いてみようかな。

  • 林真理子さんの本、これがはじめてで、なんだかすごいメッセージ性の強いお話だと思った。
    女の視点で描かれてるのが、同じ性の私にとって嬉しいものであった。

  • 「林真理子」「はじめての文学シリーズ」共に初めて読みました。

    なるほど、これは読みやすい。「はじめて」読む人にとても親切なつくりです。
    すでにたくさんの著作物を出している作家さんの案内としてとても良くできていると感じました。
    他の作品も読んでみたくなりましたからね。

    収録作品は「モデルのみちる」「二人の部屋」「駅」「一年ののち」「赤い鳥」「玉呑み人形」

    前半3作品だけだったら今後、林真理子を読み続けようとは思わなかったと思います。
    「二人の部屋」はとてもおもしろかったのですが、次に繋げるまでの吸引力はなかったと思います。

    私の気に入ったのは後半の「赤い鳥」「玉呑み人形」です。
    それぞれ母と父のことを描いています。
    やはり両親のこととなると力の込め方が自然と変わるのでしょうか。
    他の収録作品と比べて段違いにおもしろかった様な気がします(後半2編の方が後から書いたのでそれだけの実力がついていた、と考えることも出来ますが)


    ところで、林真理子が本屋の娘だったって初めて知りました。

  • いろんな作家が出している「はじめての文学」シリーズの1冊
    前半はいかにも林真理子って感じの、都会の女性奮闘記(笑)
    華やかに暮らしたいって、そんなに思うものかなあ
    これはあたしが東京生まれだから感じることかもしれないけれど。
    後半は自分の親たちを主題にした話
    こういうほうが好きだーー
    でもやっぱりうまい・・・

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著者プロフィール

1954年山梨県生まれ。日本大学芸術学部を卒業後、コピーライターとして活躍する。1982年、エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』を刊行し、ベストセラーとなる。86年『最終便に間に合えば』『京都まで』で「直木賞」を受賞。95年『白蓮れんれん』で「柴田錬三郎賞」、98年『みんなの秘密』で「吉川英治文学賞」、13年『アスクレピオスの愛人』で「島清恋愛文学賞」を受賞する。18年『西郷どん!』がNHK大河ドラマ原作となり、同年「紫綬褒章」を受章する。その他著書に、『葡萄が目にしみる』『不機嫌な果実』『美女入門』『下流の宴』『野心のすすめ』『愉楽にて』『小説8050』『李王家の縁談』『奇跡』等がある。

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