大仏破壊 バーミアン遺跡はなぜ破壊されたか

著者 :
  • 文藝春秋
4.05
  • (15)
  • (15)
  • (10)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 83
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163666006

作品紹介・あらすじ

それは、9.11のプレリュード(前奏曲)だった。9.11-同時多発テロの前に、タリバンが支配するアフガニスタンにおいて大仏遺跡の破壊が行なわれた。その背後には、ビンラディンとアルカイダの周到な計画があった。バーミアンの大仏破壊に秘められた衝撃の真相とは…。『戦争広告代理店』の著者が放つ、本格ノンフィクション第二弾。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • タリバン政権により行われたバーミヤンの大仏破壊の内幕を綿密な取材により明らか何した力作。「キリスト教」世界という言葉と「国際社会」という言葉が限りなく同義に近くなっているのが今の世界の現実である。安全保障常任理事国の5カ国のうち4カ国は欧米・キリスト強国で中国は異なる価値観を代表いることを期待されているが、その役割を果たしているとは言いがたい。ましてや、イスラム国など1つもないではないか、「国際社会」など所詮、西欧社会が作りあげたマヤカシに過ぎないのではないかと、ビン・ラディンの主張は鋭く突いている。ジャーナリズムとはこういうものかと唸らせる力作。

  • [ 内容 ]
    それは、9.11のプレリュード(前奏曲)だった。
    9.11―同時多発テロの前に、タリバンが支配するアフガニスタンにおいて大仏遺跡の破壊が行なわれた。
    その背後には、ビンラディンとアルカイダの周到な計画があった。
    バーミアンの大仏破壊に秘められた衝撃の真相とは…。
    『戦争広告代理店』の著者が放つ、本格ノンフィクション第二弾。

    [ 目次 ]
    二つの破壊
    隠遁者
    姿の見えないカリスマ
    オサマ・ビンラディン
    大仏・第一の危機
    オマルの激怒
    ビンラディンの贈り物
    「アメリカ」の衝撃
    ムタワキルの抵抗
    アメリカ帰りの新政策
    ビンラディンのメッセージ
    蜜使
    破壊を阻止せよ
    アッラー・アクバル
    届けられたテープ
    大仏は、なぜ破壊されたのか

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 「ましてや、イスラムの国などひとつもないではないか、「国際社会」などというものは、しょせん西欧社会がつくりあげたまやかしにすぎないではないか、というところをビンラディンの主張は鋭くついている。」

    バーミアンの大仏が破壊されるまでに、タリバンが歩んできた過程とアフガニスタンにおけるビンラディンの存在感について書かれている。

    多くの地位の高い人々が赴くのだから、タリバンは大仏破壊の命令を中止するだろうとすることこそ、西欧社会の驕りではないか。その点では、それら権威に流されなかったイスラムの指導者はイスラムの指導者としてふさわしかった。もちろん、大仏破壊がイスラムの教えとして本当に信じて行われた場合は、である。

    ビンラディンの私念を果たすために行われたのなら、その大仏破壊は間違っていただろう。個人の野望のために、世界中の人々の宝が壊されて良いわけがない。

  • ISISの存在が謎過ぎて、イスラム教徒のことをもっと知りたくなり、手に取った一冊。今まで自分の中で整理されてなかったタリバンとアルカイダの関係もクリアになった。そして大仏爆破が9.11のプレリュードであり、防ぐチャンスもあったということだ。兎にも角にもビンラディンの存在が、運命を変えてしまった。関係者をつぶさに取材して事実関係を積み上げた一冊。登場人物が多いため、構成も難しかったと思うが、読みやすくまとまてあると思う。
    タリバンはアフガンのはびこる軍閥から治安を回復させ、統治したら宗教学校に戻ると言っていた。タリバンは治安回復に一役買うも、勧善懲悪省の存在、田舎の原理的宗教観の押し付けで、リベラルなカブール女性の自由を奪う。
    さらにビンラディンが、各地を追われて客人としてロシアとのジハードの功績から受け入れられる。アラブ人がテロリストとして、養成される。ビンラディンが海外でテロを起こしてもやってないと言い張り、ビンラディンをかくまう形となっているタリバンは国際社会から非難される。
    やがてオマルの妻と子どもがテロに遭う。そして次第に現世のことを考えて物事が判断できなり、すべて来世のことが基準になる。こうした変遷を丁寧におっているのは、取材力の賜物だろう。

  • プロローグ、14章、エピローグの16の小節に分けられているが、その区分けが、前作の「戦争広告代理店」と同様、意味のある緻密さによって区分され、前後の関係が整理され、説得力のある章立てになっている。この点で、前作同様、ドキュメンタリーの教材として、時系列と論理との二つの軸を巧みに組み合わせた展開を学ぶべきである、と思った。そのうちまとめるかもしれない。

  • あの無力感とあまりにもの分からなさによる困惑がやっと解けた。ただツインタワー倒壊の映像を連日見せ付けられ、意味不明な単語と繋がりが分からない様々なストーリーを必死で理解しようとした中学生の自分に、やっと決別ができた気がする。

    9/11の前に起きた、当時のアフガニスタン政権であるタリバンによるバーミヤンの大仏破壊を中心に据えて、ビンラディン率いるアルカイダとタリバン政権の力関係を細かに描写していく。
    決して総論ではなく順を追って、力の変化のゆれも、国際社会の認識も添えて丁寧に丁寧に描写していく。

    タリバンの本来の起源はただただ治安のよい土地を創出したかったということ。文化を守り国際社会の一員であることを誰よりも願っていたこと。そして国際社会があまりにも要所要所でしか動かないこと。
    具体的なデメリット、キャッチーな保護すべきものがないと動かないのは、自分の国家でない以上仕方がないのだが、なにをしたら、どうしたらwarningを共有できるのだろうか。国家元首レベルではなく、政治の優先順位をあげてくれる市民レベルで。
    高木さんはその解をPRに求めに行ったから次作があったのだろうか。

    あの頃、ニュースは実行犯の顔写真、彼らがどこで訓練を受けたのかをことつぶさに報道していた。ビンラディンとアルカイダとタリバンがセットになって報道され、時によって名称が変わるもの、なにがなんだかさっぱり区別できなかった。
    あれから、石油がバックにあると言われて中東の石油利権についても読んだし聖戦を知りたくそれに関係する本も読んできた。色んな歴史的な背景も学んだ。それでも、あのカオスは最後まで理解できてないという恥ずかしさをいつも隠してきたのだ。自分の知識と理解が限られていると知っていたから、議論になると黙るようにしていた。
    本当に、ちゃんと整理された本書に会えてよかったと思っています。

  • オマルはもともと映画の七人の侍のようなもので、小銃一丁背負って山道を歩いていて戦闘を始めた。それがたまたまリーダーになってしまった。
    タリバン時代、パキスタンとのサッカー試合で、パキスタン選手が半ズボンをはいていたということで拘束した。これらのようなばかばかしい規定はほとんどイスラム教とは関係ない。
    ビンラディンの教養も国際性もオマルにはなかった。ビンラディンがイスラムの発祥地であり二大聖地を持つ国、サウジアラビアに生まれたのに比べ、アフガニスタンはあとからイスラムの教えが広がった辺境の地である。
    アフガニスタン人は皆どこの地方のどの部族の出身か、ということが知れ渡っている。地縁、血縁がとても大きな意味をもつ社会なので、誰もがそれを気にするし、そういうバックグラウンドなしには生きていけません。

  • 丁寧に取材し、論理的に組み立て、きちんと仕上げた1冊。正統派ノンフィクション。

  • 2/23読了

  • ★正統派ノンフィクション★奇をてらった表現やスパイもどきの活動はない。国連など関係者の証言を丁寧に集め、真っ当な取材活動からタリバンがアルカイダに飲み込まれ大仏破壊に至る道筋を極めて平明な文章で描く。著者の取材力とNHKの度量の深さに感服する。文章表現でも、見てきたように場面を書くのではなくきちんと証言として提示する姿勢が潔い。再現映像を邪道と感じるのか、映像制作者としての自負を感じる。

全13件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1965年、東京生まれ。1990年、東京大学文学部卒業後、NHK入局。ディレクターとして数々の大型番組を手がける。NHKスペシャル「民族浄化~ユーゴ・情報戦の内幕」「バーミアン 大仏はなぜ破壊されたのか」「情報聖戦~アルカイダ 謎のメディア戦略~」「パール判事は何を問いかけたのか~東京裁判・知られざる攻防~」「インドの衝撃」「沸騰都市」など。番組をもとに執筆した『ドキュメント 戦争広告代理店』(講談社文庫)で講談社ノンフィクション賞・新潮ドキュメント賞をダブル受賞。二作目の『大仏破壊』(文春文庫)では大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した。

「2014年 『国際メディア情報戦』 で使われていた紹介文から引用しています。」

高木徹の作品

ツイートする