物乞う仏陀

  • 文藝春秋 (2005年10月14日発売)
3.75
  • (24)
  • (28)
  • (38)
  • (5)
  • (0)
本棚登録 : 224
感想 : 35
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784163677408

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 世界を知った気になってるだけだ、と作者も本文でちらりと言ってましたね。
    こういう本を読んで、貧困層の暮らしぶりを知って衝撃を受けて、でも私は翌日も普段と同じように出社してご飯を食べてコンビニでおやつ買ったりして帰宅したらお風呂入って温かい布団で寝るわけですよ。身銭を切って何か貢献する訳でなし、身一つでボランティアに向かう訳でなし。「ああ、本で読んで知ってるよ?貧しい国の子供は大変だよね」と神妙な顔で言って、それが一体何だというんだ。
    大人になったら無知も罪だというけれど、なんか遣る瀬無い気持ちでいっぱいです…。

  • アフガニスタンとパキスタンの国境付近にある難民キャンプで、物乞いをする眼球のない少女と出会った石井さん。
    “物乞いして生きる障害者”の存在を目の当たりにし、彼らのことが知りたくなった石井さんは、カンボジア、ベトナム、タイなどの東南アジア諸国に旅に出ます。
    そして、たくさんの障害者の物乞いと出会います。

    戦争や地雷や不発弾で障害を負った人、小児麻痺や知的障害などの先天的な障害を持った人、マフィアに腕や足を切り落とされ物乞いをさせられている人。

    行った先々で石井さんは彼らと友達になり、酒を飲んだり安煙草を吸いながら、自分の中に沸いた素朴な疑問を投げかける、そういう形の取材方法で彼らの今と過去を調べていきます。
    そして、そのときに感じた正直な感想を綴っています。
    だから、身構えた“ルポルタージュ”というよりは、旅の日記に近い印象を受けました。

    憤りを覚える残酷な現実もあります。
    でも、それだけじゃない、ほっとする温かい現実もたくさんありました。
    前に読んだ『地を這う祈り』でも感じたことですが、道行く人に薄汚れた手を差し出して物乞いをする人たちが、逞しく前向きで生きることを諦めない強い人に思えてきます。
    石井さんの文章がそう思わせてくれます。

    一日かけて稼いだ金で、酒を買い、娼婦を買い、明日の分はまた明日稼ぐさと笑う男たち。
    義足の物乞いが冗談を言ってストリートチルドレンを笑わしている。
    そんな姿を見て、「金持ちや裕福な外国人の何倍も生命力にあふれ、活気のある笑い声をだしている」と感じた石井さんの感性。

    「物乞いは生きるための糧を得る正当な手段であり仕事なのだ。いわば物乞いとは仕事に就けない人の仕事だといえるだろう」
    という一文に読み当たったとき、私がこの人の作品に惹かれるのは、この人の感性に魅了されているからだと気づきました。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「仕事に就けない人の仕事」
      そう言う当り前のコトを失念してしまう。職業に貴賎なし。。。物乞いは勿論、ヤクザも坊主も、訳の判らない弁護をして普...
      「仕事に就けない人の仕事」
      そう言う当り前のコトを失念してしまう。職業に貴賎なし。。。物乞いは勿論、ヤクザも坊主も、訳の判らない弁護をして普通の人を唖然とさせる弁護士も、役人や政治屋も立派な職業である。
      石井光太の本を読んでみよう、、、
      2013/04/10
    • NAEさん
      石井光太さんはオススメです♪
      石井光太さんはオススメです♪
      2013/04/30
  • 貧困の中で暮らすアジアの障害者に関する本。
    普段の生活に疑問を投げかけてしまうような本。
    世界が違うって言うのはこういうことなんだなと思う。
    戦争で、負傷して生き残った人たちとか、生きるために障害を負わされる人たちとか。
    今の暮らしが贅沢なのか?と考えてしまうけれど、きっと幸せなんだろう。

  • <再読>2005年10月初版。カンボジア、ラオス、タイ、ベトナム、ミャンマー、スリランカ、ネパール、インド各地の底辺ともいえる物乞いの生活のルポルタージュ。

  • インドの交差点で、窓ガラスに手を当てて車の中の僕の目をじっと見てきた少女のことが忘れられない

  • 知らない方が幸せなことってあるなぁ…と思いました。
    この本が書かれてから13年弱、少しは状況が良くなっているとよいのですが。
    何もできない無力感に襲われます。

  • ベトナム、カンボジア、タイ、スリランカ、インド、ネパールの最貧民層である乞食や、物売りの人々を取材した物。地雷や、先天性のものや、犯罪で物乞いにならざるをえない人々がただ、淡々と描かれる。最後のインドの話が一番悲しくなり、むなしくもなる。

    乞食をする事しかできない人々のために同じ人間である自分は何ができるのか。何をすべきなのか。
    まぁ自分だってホームレスにならない保証はどこにもないんだけど、あまりにもこの本に描かれている人々とは環境が違う。日本は平和だ。今の日本にも暗部はあるんだろうけど、日常生活している限りそんな部分はほとんど出会わないしね。

    やはり世の中は不公平である。もし神がいるのなら何故このような世界にしたのか。
    なにか意味があるのか。あるのは現実だけか。人は何のために生まれてくるのか、
    よくわからなくなりますな。

  • 鎌田實さんの紹介で興味を持って読了。各国の暗部を淡々とルポ。上から目線でもなく、同情の視点でもない。そんな作者にも背けたくなる、一歩踏み出せない事もあった。国や立場が違えば、考え方も常識も変わる事を身を以て伝えてくれた。

  • 日本ではあまり目にしない障害者や底辺に生きる貧困層の人々。アジアを旅すれば、至るところに彼らはいる。
    アジアの闇を描いたこういう本を読んでからでも読む前でもいいから、日本人はまず自分の目で見るべきだと。世界遺産巡りもいいけれど、その遺産の前にうずくまる手足のない目の見えない子どもたちから目を逸らさず、喜捨をする前にもう一度「なぜ?」と考えてみる。
    現実を見れば重いものを抱えて帰って来ることになるけれど、己の無力さを知るだけでも意味があると思う。少なくともアジアに「無関心」ではいられなくなるはずだから。

  • ノンフィクション作家石井光太氏のデビュー作です。アジア諸国の障害者、物乞い、マフィア、娼婦への取材を彼らの生活の中に自ら入り込んで行っています。


    決して、道徳観を説教されるような内容ではありません。目を背けたい、信じがたい事実がただ書かれています。

  • 2012年のネパールで見た少年の姿が記されていた。この本2005年出版なのに…何も変わってないんだな。

  • いろんな意味で衝撃。

  • ◆カンボジア
    ポル・ポト政権→毛沢東敬愛、共産主義、都市から地方へ、ユートピア建設、知識人・僧侶・障害者から虐殺、「何百何千という死体の上にバナナを植えた」、密告

    ◆ラオス
    ・共産主義→北ベトナム+反米・反政府勢力(人民解放軍)vs米国、米国による空爆、不発弾
    ・モン族→漢民族の迫害で中国から南下、インドシナでも迫害、ベトナム戦争では米国に利用、戦争後は米国の手先として差別、中越戦争では「中国のスパイ」

    ◆タイ
    障害者の仕事→①宝くじ ②演奏家・歌手 ③物売り
    ①は税金があてられないかわりの社会福祉事業 ③はマフィア絡み

    ◆スリランカ
    ・国民の7割が仏教徒→輪廻転生
    業をどうとらえて生きていくかは人による。昔の日本もそうだった。
    両親が障害児の誕生に絶望すれば子は鬼子となり、支え合って前向きに育てることを選べば子は福子となる。親の受け止め方でどちらにもなる。
    ・医療と福祉が充実→身体障害者向けの施設は多いが、知的障害者向けの施設は不足

    ◆ネパール
    ・麻薬中毒者→障害者に。「臭うもの」=自ら選んで乞食となり、人生をあきらめた人、「臭わないもの」=乞食とならざるを得なかった人
    ・ザグリ→呪術者

    ◆インド
    ・レンタルチャイルド→

  • 読むのが本当に辛かった。でも向き合おうとなんとか読み切った。

  • 対談指定本。ルポルタージュは普段なかなか読まないので衝撃だった。「真実」も大切かもしれないけれども、「事実」をきちんと見つめることも大事だと思った。

  • 東南アジア、南アジアの障害者、乞食に関するノンフィクション。その国は地雷、不発弾、内戦、都会と田舎の格差、身分制度と言った問題を抱えており、国も手が回らないし、どうしてよいか分からないんだろう。取り残された人は貧しい人生をおくる。その劣悪な衛生環境と健康に関する無知により障害者が増える。その世話に家族が忙殺され更に貧しくなり、乞食となる。その繰り返し。何の希望も持てない、と思うけど日々の暮らしの中に楽しみを見つけて僅かの光を浴びるものもいる。そういう方には、かわいそうといった憐れみを持たず認める必要があるんだなと感じた。
    インドのレンタチャイルドの行き先に胸を痛めた。マフィアにさらわれて来た子供達は五歳くらいになると手足を切断され、『憐れな』乞食にさせられる。そこには本人の意思は全く存在しない。
    僕自身が著者のような経験はできない(恐い)ので、このような今の世界を書いた本をできるだけ読み、子供らに伝えていきたい。
    この本読むとパラリンピックが余計にピースフルな大会に思えてしまうね。

  • なんでしょうね。

    小学生の頃に、学校の勉強では
    戦争とかの愚かしいことは、いろいろ
    教育が行き渡っていなかった過去の
    ことで、いまは全然だいじょうぶ
    これから未来に向かって
    平和な日本でレッツゴー

    的なことを習った

    でも
    いやいや、ぜんぜん虐殺ばんばん
    やってますし世界はまったく
    平和に向かってません

    と、いうことが世界のリアルなんだと
    知ったのは中学生の頃だったと思う。

    それから幾十年

    いろんな本を読んで
    いろんな事を知ったつもりに
    なっていた自分がほとほと
    嫌になる、というのはこのことですか

    というくらい打ちのめされた。

    インドでは、赤ん坊を抱いている方が
    物乞いの成果が高いので
    農村などからさらって来た赤ん坊を
    物乞い担当のおばさんやらに貸し出す
    のだそうだ。
    そして、抱いてて同情される年齢を
    越えた子どもは、ただの子どもでは
    利用価値がないので、目をつぶしたり
    手や足を切断したりして
    障害児の物乞いにするのだと

    その事実をつぶさに見た著者が
    取材にこたえてくれた
    物乞いを束ねているマフィアの
    青年に、非道さをなじろうとする場面で

    おれもレンタルチャイルドだったんだ

    というようなことを告白され

    怒りの矛先をどこに向けていいのか
    わからなくなったところに

    この世界の悲しい事が起こる
    原因のどうしようもなさ

    がわかって、身震いするのだった。

    身震いする。

    このような世界に
    してしまった自分に+

  • カンボジア
    ラオス
    タイ
    ベトナム
    ミャンマー
    スリランカ
    ネパール
    インド

    以上の国で生きる、障害者、乞食、慰安婦、ストリートチルドレン…社会の矛盾により生み出された人々がどのような状況にあり、どのような生活を強いられているのか、描写されている。

    貧困→捨て子→マフィア→レンタチャイルド→乞食・慰安婦…

  • 内容はレンタルチャイルドと似ており世界にある格差社会のことが書かれています。
    日本人からしたら壮絶なことだけどその社会からしたら普通のことが、なんとも言えない。
    すごい勉強になる。

  • 貧困が何を生むのか。

    アジアを回った著者の本は、著者と同じ歳ということもあり心に触る。

    アジアの貧困は昔からある様式で、日本の貧困と変わりがある気がしてならない。

    ああ、貧困からくる悪を、しょうがないと思うのか、許せないと思うのか。

    なんにせよ、日本に生まれてよかったという言葉は日本人にしか使えん。

    これを、この現実をどのように受け止めるのか。アジアが好きなら知るべきだ。

    ただ体験記に見えるので、アジアの深部を探りたいなら別の本を。

全30件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

1977年東京都生まれ。作家。国内外の貧困、災害、事件などをテーマに取材・執
筆活動をおこなう。著書に『物乞う仏陀』『鬼畜の家』『43 回の殺意』『本当の貧
困の話をしよう』『ヤクザ・チルドレン』『ルポ 誰が国語力を殺すのか』『ルポ ス
マホ育児が子どもを壊す』など多数がある。2021年『こどもホスピスの奇跡 短い
人生の「最期」をつくる』で新潮ドキュメント賞を受賞。

「2025年 『最期は一日中抱っこさせて(叢書クロニック)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

石井光太の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×