のりたまと煙突

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 110
感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163679501

作品紹介・あらすじ

不器用に生きる大宅賞作家が懐かしく、愛しく、切ない「記憶」の扉を開く。

感想・レビュー・書評

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  • 星野博美さんの随筆。2006年頃に単行本が出版されているので、主に星野さんが生まれた1960年代後半以降の子供時代から、2000年代前半までの話になる。時代もトピックもさまざまだが、共通して非常に濃い随筆ばかりだと感じた。子供時代の話などは手にとるように情景が分かった。子供の頃から一貫して感受性の豊かな方であるということも感じた。大学以降〜少なくともこの随筆集が出されるまでは武蔵野市に住んでいたようで、中央線沿線の場所の話や武蔵野の話も良かった。生死などのテーマも取り扱っていたが、決して暗い読後感ではない。淡々と書かれているが洞察力鋭い随筆は、とても読み応えがあった。

  • かわいいねこの親子の表紙につられて衝動買いしてしまったけど、すごくまっとうなエッセイの本だった。

    写真家さんらしく、普通なら見過ごしてしまいそうな街角の風景からその奥にある物語を読み解き、日常のふとしたできごとから自分のルーツや日本の行く末に思いを馳せ、お花見でにぎわうのどかな公園や懐かしい母校のむこうに、過去に歴然と存在したゼロ戦の工場や軍需工場の姿を見る。。。

    そのひとつひとつに、とても内省的に接しているのに、ねこ達には過剰なほどの愛情を注いで振り回されているところが、とても好き。

    ねこの習性をまるっきりわかってない(であろう)二階の住人から子猫の兄妹を奪還しようと、子猫が閉じ込められたドアの外から毎日声をかけて慣れさせ、窓から救出するために手を使わずに脚立をするすると昇り降りする練習を重ねるその姿に、胸が熱くなりました!

    • まろんさん
      星野博美さん、確かに信頼できる人です。
      だって、事故にあって無残な姿になった、見知らぬ猫まで
      抱き上げて、葬ってあげたりするのです!
      猫好き...
      星野博美さん、確かに信頼できる人です。
      だって、事故にあって無残な姿になった、見知らぬ猫まで
      抱き上げて、葬ってあげたりするのです!
      猫好きの鑑のような方ですよ~♪
      2012/08/05
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「猫好きの鑑のような方ですよ~♪」
      じゃぁ図書館で借りずに本屋で購入!
      気になってる「コンニャク屋漂流記」も、、、文庫になったら。
      「猫好きの鑑のような方ですよ~♪」
      じゃぁ図書館で借りずに本屋で購入!
      気になってる「コンニャク屋漂流記」も、、、文庫になったら。
      2012/08/06
    • まろんさん
      わ~い♪
      読まれた暁には、ぜひレビューを書いてくださいね!楽しみ~(*'-')フフ♪
      わ~い♪
      読まれた暁には、ぜひレビューを書いてくださいね!楽しみ~(*'-')フフ♪
      2012/08/06
  • 猫との話、家族の話、自分を取り巻く周りのことを飾ることなく、淡々と表現していて、共感することも多く好きな文章だった。 忙しさに紛れて、社会のおかしいことをおかしいと思うことすらしなく(できなく)なってしまってはダメだと実感。戦争のこと、死のこと、老いのこと、見ないふりにしたい、そのまま見過ごしたいことも、ふと立ち止まって考えることは大事だなと思う。

  •  とても上手な文章だと思う。とりたてて特別な事件が語られるわけでなく、飼い猫のこととか子ども時代の家族の思い出などだが、引き込まれてしまうのです。

  • つだにある

  • 作者の周りに透明な枠があり、そこからはみ出したものについては、攻撃するような感じのエッセイ集。あまり共感が感じられないので読むのをやめる。

  • 戦争を知らない戦後世代の私たちが読んでおきたい本。

  • 著者が猫とともに生きてきた生活を振り返るエッセイ。
    「どんな人も、墓場に持っていけるのは思い出だけ。このことだけが、人間に与えられた、唯一無二の平等かもしれない。だからいつか消えゆく日まで、思い出をたくさん作って生きていきたい。それだけが、誰にも奪うことができない、自分だけの宝物なのだから。」との後書きは本当にそのとおりだと思う。

  • 著者の猫に対する想いが伝わってくる。
    そして、愛するっていうのはこういうことなんだなと思った。
    最後の部分がとても好きだった。
    とても共感した。

  • 猫好きのエッセイだと思っていたが、それ以外にも盛りだくさん。この人の視点がとてもユニークで引き込まれます。ちょっと懐かしの昭和時代の話など世代が同じなのでより親しみを感じるのかも。
    特に猫好きではなかった作者が、成り行きで多くの猫を飼うことになり、やがては猫たちを見送る立場に。猫を飼っている人には、微笑ましくもちょっと切なさも・・・

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著者プロフィール

1966年、戸越銀座生まれ。ノンフィクション作家、写真家。著書に『転がる香港に苔は生えない』(2000年、第32回大宅壮一ノンフィクション賞)、『コンニャク屋漂流記』(2011年、第2回いける本大賞、第63回読売文学賞随筆・紀行賞)、『戸越銀座でつかまえて』(2013年)、『みんな彗星を見ていた』(2015年)、『今日はヒョウ柄を着る日』(2017年)、『旅ごころはリュートに乗って』(2020年)など多数。

「2022年 『世界は五反田から始まった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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