書物の運命

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 87
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163680606

作品紹介・あらすじ

時を経て残る書物とは何か。イスラームと西洋、そして日本-書物の中に時代の「相」を見出す気鋭の中東研究者による初の書評・文化論。

感想・レビュー・書評

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  • 書評自体はイスラム関連本多数なので、読む人いるのかな⁉︎と思いながら、しかも薦めてるのか貶してるのかよくわからない文章が持ち味で私は好きですが好みは分かれそう。

    それより書評の合間に出てくる金沢のお祖父さんの話とかエジプト留学時代の話が興味深い。エジプトにいる時はほとんど息をしない。とか。

    私がロシア語を選んだ理由に近い。別荘地に立て掛けてある窓枠とか、なぜこんな場所にベランダが⁉︎とか、このドアから出たら道路に転落しますけど?みたいないつ完成するかわからない家がその魅力を象徴してるってコトね。

    Facebookの書き込みが面白すぎるので本も読み始めたけど、学者さんなのでイスラム関連本はかなり読むのに時間がかかります…。この本がいちばん気楽に読みやすいかも。

  • この人の文章がいま一番好き。エッセイ部分もすごく良い。

  • 天満駅近くの古本屋で購入した本。
    池内恵の本は初めて購入した。
    池内恵はドイツ文学者でエッセイストの池内紀の子息。
    書評をまとめた本ではあるけれど、池内恵が専門がアラブであることから、アラブ、イスラエル関係の本が多くを占めている。
    書評本は好きで結構読むのけど、載っている本をわざわざ買うところまで中々行かない。しかし、この本は、何だか読みたくさせるものを持っていて、何冊か注文してしまった。
    知的で誠実、何だか信頼感のある著者で他の本も読みたくなって、そちらも購入してしまった。
    ただし、時間が経つとタイムリーさは無くなるかもしれない。今ならまだ、そういった面でもお勧めできる。

  • 普段は殆ど注目されることのない分野から、いきなり頭角を現して世間の耳目を集める本がある。藤原正彦や福岡伸一など。池内恵もその一人に加えられる人物である。

    http://d.hatena.ne.jp/sessendo/20110320/p1

  • ★深さの違いを痛感★『現代アラブの社会思想』で著者が登場したとき、池内紀の息子で同年代ということだけで、なんの接点もないのにくやしく焦ったことを思い出す。同書では我々がふだん触れることのない現代アラブの風俗を描いた印象ばかりが強かったが、この本を読むと蓄積の深さに彼我の距離の遠さを思い知った。子供のころからテレビをほとんど見たことがなかったとは。知識の積み重ねと思想の枠組みを分かりやすく提示する能力はもちろん、イスラムを特殊なもとのとして囲い込む「アラブ屋」研究者社会の偏りを指摘し、この年齢で立ち向かう気力が素晴らしい。

  • 著者の博覧強記にして明快な文章、結論を保留する柔軟な思考に感心しきり。局地的なアラブ現状知識から発展する普遍的な思索が凄い。サイードとその追随者への批判は目から鱗。

  • 遠い宗教といった感があったイスラーム。理解できなくて当たり前かも。でも知ろうとする努力は必要なコトでは。
    完結な書評・文化論でもっと色んな世界を知りたくなりました。

  • 最近ハヤリの「イスラーム」がどんだけ曖昧模糊で都合良くでっちあげられた概念かがわかる。その他中東にまつわる言説に対する批評や批判を読んで書評で紹介される本に直接あたっていけばかの国の理解は深まるでしょう。まあ書評自体はお堅い文体だし内容も池内恵が書評という枠組みでやろうとしている事が(あの短い字数の中で)上手くいっているかどうか、それはちょっと疑問。もちっと字数をあたえてやって下さい。その一方あいまあいまに挟まれる中東に関するエッセイは気楽によめて楽しくトリビア満載。全体はうまくバランスが取れている。

  • イスラーム専門家に依る書評集。単に一文化へのいざないに終らない、むしろ「文化」という意味そのものの真を貫くような深淵さを随所にもつ。「古典がわかりにくいのは、問いの難かしさと共に、その問いが発せられてる条件が理解されない」という著者の記述に対する渇望と、人間生活の総体を凝視し恒常的パターンを抽出して客観視しようとするスタンスが感じられる。

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著者プロフィール

東京大学先端科学技術研究センター教授。専門はイスラーム政治思想史・中東研究。著書に『アラブ政治の今を読む』(中央公論新社)、『増補新版 イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社)『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、『サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』(新潮選書)、『シーア派とスンニ派』(新潮選書)など多数。

「2022年 『UP plus ウクライナ戦争と世界のゆくえ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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